22.炎の巨人との戦い-エリック目線-
目線が、エリック目線になります。
(今日は短めです。)
炎に包まれた巨人は、ある程度経験を積んだ冒険者にとっても、厄介な相手だった。
物理的な刃で切り裂くような感覚がまるでなく、付与された氷の刃がかろうじて効いているかどうかというような状態で、手ごたえがなかったからだ。
ただ、こちらは防御魔術で耐熱対策をしているにもかかわらず、少しでも触れれば火傷は避けられないだろうし、魔狼が薙ぎ払われたように物理的にも少なくないダメージを受けそうだ。
なんとも理不尽な話だが、魔物というのはそういうものなのかもしれない。
「エリック!セドリック!!、下がって」
そういうと、アーディルがその炎の巨人に向かって槍を突き刺し、魔法を唱える。
「ギャァァ!!」
明らかに、今までとは違う苦悶の表情を炎の巨人は行って怯んだのがわかった。
”効いている”。だが、致命傷には程遠いに違いない。
反撃のために、巨人が大きく腕を振り上げようとしたときに、すかさずアーディルはもう一度魔法を唱えると距離をとった。
情けないが、戦闘という事だけとってみれば、既に俺達の数段先を行っているかもしれない。
いや、魔法薬など3人のうち誰も作れないのだから、戦闘に限ってどころではないか。
たった一年ちょっと学園生活をしただけで、こんなに成長するとは・・・。
驚きや嫉妬を感じなくもないが、喜びの方が大きい。
ティアの”水球”の魔法が当たると、アーディルほどではないが炎の巨人が嫌そうな顔をした。瞬間、魔狼が絶妙のタイミングで飛び込み、ダメージを与えるが薙ぎ払われた。
あのアルキラ帝国の部隊を蹂躙した魔狼ですら、あまりダメージを与えられていない。
このままではジリ貧か・・・・
そう思った瞬間、アーディルがまた槍を突き刺し魔法を使う。
そして、炎の巨人が苦悶の表情を浮かべたかと思った瞬間、炎の巨人が消えさった。
「ガァ・・ぁぁぁ・・・・・」
アーディルの全身が一瞬で燃え上がり、大きく痙攣をして跳ね上がると、地面に吹き飛ばされたように地面にたたきつけられた。
急いで、駆け寄るが炎の勢いが強くて近づけない。
「ティア!水を」
ティアの”水球”をアーディルにかけるが、炎の勢いは衰えなかった。
ただ、不思議なことにアーディルの身体を一向に燃やしている感じはしない。
”炎の盾”の影響か、アーディルの皮膚は炭化するどころか、爛れることすらなかった。
「大丈夫。”生命反応”はしっかりしている。」
エリーが安心させようとそういっているが、大丈夫かと言われれば、明らかにそうは見えない。
アーディルは、炎に包まれながら、意識を失って時折大きく痙攣したり、うなされるように叫んでいた。
おそらく、時間にすると10分ぐらいだろうか・・・。
もっとも、俺達にはとてつもなく長い時間に感じたのだが。
「あ・・・」
炎が一際大きく揺らめいたかと思うと、次第に小さくなって吸い込まれるかのように炎が消えた。
そして、そこには安らかに寝息を立てたアーディルが横たわっていた。




