20.ダンジョンの魔物は素材の山
「あれ以来変化はないし、素材の種類も増やしたいだろうから、もう一個下に行くわよ」
「はい。」
ダンジョンの下層に向かうには、階段か坂道などを降りる。
2層から3層に降りる道は、かなり巨大な坂だった。
3階は森というよりも湖と湖畔というような場所で、ここにも太陽があった。
「各階層に太陽があるなんて変な感じですよね。」
「それをいったら、降りた坂の長さと空の高さがどう考えてもおかしい方がねぇ。」
「考えてもしょうがない。それがダンジョンというものだから。」
「それよりも、気をつけろ。鰐とか蜥蜴男とかの魔物がこの階では出るからな。
素材としてはおいしいが、1階・2階より強い相手だからな。」
もっとも、ここは視界が1・2階と比べて良いので、遠距離攻撃ができる僕やティアさんには相性がいい。
それに、水中ならともかく、マロウの敵ではないだろう。
鰐の魔物は確かに強力だが、水中以外では近づきすぎなければ特に問題はないし。
「近くだと、水辺に、何匹か鰐型の魔物がいるわね。あと、湿原に蜥蜴男。こちらは6匹固まっているわ。水中にはかなり大型の魔物がいるみたいだけど、こちらは触らぬ神になんとやら・・・ね。」
エリーが、近くの生命反応を確認をする。
「鰐型の魔物は、基本知能が低くて単独行動しかしないし、肉は鶏肉みたいで美味しいし、皮は色々な素材になるからちょっと狩っておきたいところね。幸いアーディル君やティアさんは、遠距離からの攻撃もできるみたいだし。蜥蜴男は出来ればパスで。
あ、素材の価値が下がっちゃうかもしれないからできればあまり傷をつけないで。」
じゃぁ、マロウに頼まない方がいいかな。
湖畔では、3メートル級の鰐型の魔物が眠っているかのように日に当たっていた。
鰐型の魔物”ワイルドアリゲーター”は通常、陸上でも水上でもあまり積極的に動かない。
しかし、愚鈍かというとそんなことはなく、瞬発力はなかなかのものである。
強靭な顎は、鉄だろうが魔物の素材であろうがよほどのことがない限り一瞬で噛み砕く。
特に水中は危険で、相手を窒息させるべく水中に引くずりこまんだり、デスロールという身体を水中で回転させる技ですべてを喰いちぎる力がある。
「じゃぁ、行きます。”火線”」
僕は、槍を構えるとその先を鰐の額に向けて”火線”を連射する。
当たるたびに、鰐の身体が跳ねるように痙攣をするのだが、効いているのかどうかが良くわからなかった。
「多分、もう大丈夫なんじゃないか?」
「ええ。十分。生命反応はもう消えているわ。」
「そうですか。反応がわかりにくいですね。」
「多分2発目ぐらいで生命反応が消えていたわよ。というかあなた。魔法使いとしても結構優秀なのね。しかも素材もほとんどダメージなし。」
「じゃぁ、収納しますね。」
そういうと、僕は”ワイルドアリゲーター”の死体を封魔紋にしまう。
これは、喰べないようにしないとな・・・。
「じゃぁ、次行くわよ。あっち」
「じゃぁ、次は私がするね」
「なんか、俺達空気だな・・・。」
「まぁ、相性ってありますから。」
そんなことを言いながらさらに2匹ほどの”ワイルドアリゲーター”を狩る。
「楽勝だね。」
「まぁ、中堅と呼ばれる冒険者なら楽勝で当たり前の相手だけどね。」
「じゃぁ、次・・・あ。」
そういうと、エリーが何かに気が付いたのか言葉を止めた。
「ここから1㎞ほど先で、いきなり生命反応が消えたわ。同じ鰐の魔物ね。」
「それは、ちょっと警戒したほうがいいね。」
「気をつけて。」
シャナによると精霊のせいらしいが、説明がしにくい。
まぁ、”名もないような下級精霊”らしいから、大丈夫・・・なのかな。
とりあえず、マロウを先導をしてもらい警戒をしながら、僕達はその場所へ向かった。




