19.はじめてのダンジョン
「なるほど・・・だから”太陽の森”っていうんですね。」
「はじめてにしては、意外と驚かないんだな。」
「いや驚いていますよ。まぁ、授業で一応習いましたからね。」
いや、本当に驚いていないわけではなかった。
まさか、洞窟に潜っていけばいくほど天井が高くなって、まるで本物の森にいるのと変わらなくなっていくとは・・・。
”太陽の森”・・・そう、太陽が洞窟の中で輝いているのだ。
もちろん本物ではない。だが、目隠しをされてここに連れてこられたら気づかないだろう。
ダンジョンとは、いまだ謎に満ちているシステムだ。
誰が作ったのかも、どういう仕組みなのかもほとんど解明されていない。
自然に魔物が発生したり宝が発生したり・・・。
なぜそのようになっているのか、だれがそのようにしているのか。
学者の中でも様々な意見がありながらも、有力な説はあっても正しいかもわかっていないのだ。
「ダンジョンは、自然の森よりもはるかに資源が豊かだ。その分魔物なども多い。
しかも、通常は階層によって採れる資源や魔物の強さも一定なので、ちゃんと自分の実力を把握していれば安全な狩場になりやすい。」
「だから、質のいいダンジョンは重要な資源になっていて、街の発展に寄与するんでしたっけ。」
「ああ、その通り。ただし、ちゃんと管理して魔物を適度に間引かなければ、魔物があぶれ出ちまって危険極まりない存在になっちまう。」
「大反乱でしたっけ。」
「よく勉強してるわね。大反乱まで行かなくても、魔物があふれ出て村を襲ってきたりすることはあるの。よくわかっていないけれど、ダンジョンで子供や赤ちゃんの魔物って見つかった記録がないのよ。自然の中で繁殖する魔物と生態が違うのよね。ところが、これがダンジョンの外に定着すると、繁殖をし出しちゃうの。」
「ダンジョンだと、普通は、階層が深くなるほど強い魔物になるんだけど、自然の中ではそうはいかないのよね。特に問題となるのが、”はぐれ”と言われるやつなど。
正直、ゴブリンあたりがダンジョンから出てきても、正直大したことないのよ。
ところが、本来ダンジョンの奥にしかいないはずの凶悪な魔物がダンジョンから出ちゃうと、被害が広がっちゃうでしょ?」
僕は、雑談をしながら、ゆったり森を散策していた。
とはいえ、結構薬草や薬茸などは回収している。
「アーディルは、意外と器用なんだね。」
エリーも緊張がまったくないように僕との雑談を楽しんでいた。
というのも、マロウがこのあたりの魔物をものすごい勢いで一掃してしまったからだ。
森に入るなり、地面に響くような大きな声で遠吠えをすると、森全体が大きく震え、鳥の魔物が一斉に羽ばたいていった。
その声を聞いて、ある程度の知性のあるような魔物は戦き逃げまどう。
そして、逆に知性の低い魔物は集まって来て、一瞬でマロウの餌になっていた。
僕は、とりあえずほとんどすべての死体を魔封紋にしまっていった。
売れる者は売ればいいし、余ったものは、そのまま”喰えば”いいかな。
「アーディル、そんなに魔封紋にいれて大丈夫なの?」
「あ、うん。魔封紋の容量にはちょっと自信があるんだ。」
なんといってもLV10だし。
エリック達は、前に馬車の荷を入れた件を知っているから驚かないが、エリーは初めてだったか。
「ふ~ん。アーディルっていくつなの?」
「僕ですか?多分12だと思います。」
「多分?まいっか。そうかぁお仲間かとおもったけど違うのか。なかなかやるね。」
エリーは、僕をホビットやエルフなどの長命種かと思ったようだ。
「おいおい、ちょっと気を抜きすぎだぞ。まぁ、俺もこんな展開初めてだけれど。」
エリックは、一角兎を一匹仕留めて戻ってきた。
「だって、周りには一角兎とか巨大蛙ぐらいの生命反応しかもうないわよ。次の階層いきましょうか。」
「エリーのスキルって、凄いわね。どこまでわかるの?」
「生命反応のある位置と生命力の大きさがわかるのよ。その大きさと動き方で慣れるとどういう魔物がいるかがわかる感じ。ダンジョンなんかだと出てくる魔物が大体決まってるから、結構いい確率で当たるわよ。」
「いいなぁ。それってどうやったら覚えられるんだろう?」
「うーん。自然とできるようになったからなぁ。しいて言えば、魔物が多いところで暮らすことかなぁ・・。」
「いや、それ無理ですよぉ。」
エリーとティアさんがそんな話をしながら奥へと進む。
皆、1階層は何度も来たことがあるようで、迷うことなく2階層の入口の階段近くまで歩いていく。
マロウも僕を先導するようにそこへ向かっていった。
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