17.冒険者ギルドに行こう
まず、ダンジョンに入るには、最低限しなければいけないことがある。
ダンジョンは、資源の宝庫である一方、死と隣り合わせの場所である。
そのために、一定の力量が保証は必要だし、ルールの順守など必要なこともある。
そのため、『冒険者ギルドへの登録』と講習が必須なのだ。
「本来は、学園生の安全確保のため、3年生の後期に学園の許可を得るまでは、冒険者ギルドに登録はできないの。ただ、あなたアーディル君でしょ?ちょっとまってて」
受付の女性は、2階の一番奥にある部屋を3回ノックをすると、部屋に入っていった。
僕は、ユングさんと顔を見合わせて、首をひねった。
それからしばらくすると、2階から初老の眼光の鋭い男が出てきてカウンターに座ると、僕を値踏みするようにしてから座るように促す。
僕も緊張してたが、エリック達の方が緊張しているのがわかった。
「俺は、ザッカートで”ギルドマスター”をさせてもらっているビュッヘルトだ。
お前さんのことは、ディーンの奴から聞いている。
なんでも、大層な召喚術を使うらしいじゃねぇか。」
そういうと、ニマリと口元を緩める。しかし、眼は全く笑っておらず、僕に有無を言わせないようなそれでかつ反応をみて楽しんでいるような感じがした。
「そんなに緊張しなくたっていい。俺はディーンがまだ新米騎士だった頃、よく剣の指導をしてやってたんでな。この間飲んだ際に、お前さんの話が出たんだよ。
まぁ、いい。それより、話をもどそうか。『太陽の森』に潜りたいんだったな。」
僕は、なぜか視線をそらしちゃいけないと思って、黙ったままビュッヘルト目を見つめて頷いた。
「で、それには冒険者ギルドに登録しなくてはいけなくって、学園生は冒険者ギルドに登録ができないと。まぁ、普通ならそうなるわな。」
「で、こっからは提案なんだが、条件付きでよければ、ダンジョンに行かせてやってもいい。なんなら、こっそり冒険者ギルドに登録してやってもいいぐらいだ。」
ビュッヘルトは顎の無精髭を右手で触りながら、話をしてきた。
「ギルマス特権って知ってるか?ギルドマスターってのは、緊急時に様々なことを解決するために、条件付きで規約を破ってもいいことになっている。まぁ、あんまり乱発しちゃまずいが、今回はこれを使う。」
「いいのですか?」
「ああ、多分構わねぇだろう。ディーンの話通りなら、こっちも助かる話だからな。
条件ってのは、他でもないが1つ目が、テストの実施と、ギルドから護衛兼指導員をつけさせてもらうことだ。それに・・・。おいお前ら。アーディルの知り合いか?」
ビュッヘルトは、顎でエリック達を指すとおもむろに話をつづけた。
「ちょっと護衛が足りん。おまえらも、一緒に行ってやれ。こいつが死んじまったり大きな怪我でもしたら、いろいろと問題が出ちまうからな。」
ビュッヘルトの口調には、拒否権はなさそうだ。
「2つ目だが、素材がそろったら、中級魔法薬を少し多めにまわしてくれ。
いや、代金はちゃんと払う。どうしても時世が時世だからな。入荷したそばから無くなっていくんだ。
そして3つ目。その護衛兼指導員を手伝って、ちょっとした”調査”に協力してほしい。」
一見、どれも大したことが無いような条件に思うのだが・・・
「ギルマス。何か隠してませんか?
その”調査”ってのが、怪しさ満載なんですが?」
「ふん。大したことじゃない。今んとこはな。
ただ、最近低階層に”はぐれ”らしき魔物の目撃例が多くてな。」
「”はぐれ”ですか?」
ビュッヘルトが頷く。
”はぐれ”とは、本来その魔物が住むような場所ではないところにいる魔物の事を言う。
もっとも一般的には、本来深い階層に住む魔物が低階層にまで上がってくる現象をいう。
「まぁ、”はぐれ”の種類も様々ではあるのだが、念には念を・・・と思ってな。
上位の冒険者は哨戒任務とかを優先しちまったし、戦場になるのを嫌って、他の町に行っちまった奴とかもいて、ちょっと手薄なのよ。依頼を出そうと思っていたところだったんだが、はぐれってのは油断できねぇからな。そう思ってた時に、お前らが来たのさ。
ディーンから聞いたのが本当なら、渡りに船ってやつだしな。」




