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4.夜襲

”ご主人、起きて”


アウロスから念話が届いて、僕は起きた。

”闇の賢者”の魔法で召喚されるアウロスは、人間の言葉をしゃべることは出来ない。

まぁ、使い魔とかそういう類でも人間の言葉をしゃべれるのはごく稀な高位生命体だけらしいから、当たり前と言えば当たり前か。

代わりに、念話と言われる主人とだけに伝わる無音声の会話ができる。

もちろん距離に制限はあるが、脳に直接働きかける会話なので、音を立てずに意思疎通ができる。


”どうした?アウロス??”

”馬のいる方向に、獣の群れと人影が1つ。こちらを狙ってる”


獣に人影?襲われているのか?

”襲われてない。獣の奥にいて一緒に向かってる。”


とりあえず、エリックやディーン副団長に知らせた方がよさそうだ。

僕が荷台から降りると、既に見張りは、エリック達に代わってしばらくたっていた。


「エリック、獣の群れがあっちから迫ってきてるようなんだ。それに人影もあるらしい。」

エリックは、どうやら寝ぼけてると思ったようだ。

まぁ、確かにいきなり起きてきて、敵襲だといえばそう思うのも無理ない。


”アウロス”

僕は、アウロスを手元に呼ぶと事情を説明する。

「この子は”アウロス”。そうだなぁ使い魔みたいなものだと思ってくれたらいい。

 この子は夜目が効く上、空から周りを一望できるんだ。」

エリックは、最初あっけにとられていたが、すぐに事態を把握したようだ。


「突っ込みどころは、いろいろあるが、とりあえず今はそれどころじゃなさそうだな。」

一緒に聞いていた騎士も頷くとすぐにディーン副団長達を起こしにいった。


流石に、皆こういう事態には慣れているのか、直ぐに集まってきた。

「敵襲の可能性ありと聞いたが」


それに答えるより早く、馬が一斉に嘶く声がした。

僕も、短槍(ショートスピア)(バックラー)を取り出し、構えると”暗視”を唱える。


騎士の皆さんを先頭に馬の方へ行くと、そこには一角狼(ホーンウルフ)が何頭かで馬を襲っていた。

一角狼(ホーンウルフ)は、体格は一般的な狼とほとんど変わらないが、僕の槍にも使われている鋭い一角を額に持つのが特徴の魔物で、牙が刺さらないような自分よりも大きな魔物にもその角で攻撃が出来るためかなり獰猛な性格をしている。しかも、俊敏性は折り紙付きなうえ、夜目が効くと中々の相手だ。初級の冒険者にとってはだが。


急いで駆け付けたが、既に2頭の馬が倒れて一角狼(ホーンウルフ)に食らいつかれていた。

「まずい。いくぞ」

ディーン副団長の掛け声とともに騎士が一角狼(ホーンウルフ)に向かう。

補給部隊とはいえ、騎士の皆さんは流石に手練れだ二人一組で動き一角狼(ホーンウルフ)を殲滅していく。

エリック達も、騎士たちには劣るものの、うまく立ち回っている。

ただ、暗闇なので、少し離れると相手は見えなくなってしまう。

闇から一気に飛び込んでこれる一角狼(ホーンウルフ)は手ごわい相手に違いない。


「そこ!!」

僕は、暗闇に紛れる一角狼(ホーンウルフ)に向けて”火線(ファイアーニードル)”を打ち込む。

実際は、火球(ファイアーボール)なのだが、よりイメージをしやすくするために、名前を変えてみたのだ。

数発撃ったうちの一発が、額近くに吸い込まれるように命中すると、火線(ファイアーニードル)を受けた一角狼(ホーンウルフ)は、倒れこみ痙攣を起こして動かなくなった。

爆発力はないが、貫通力が高いうえ、熱量はその分高いので、脳を一瞬で沸騰させたはずだ。


僕の倒したのも合わせて4匹ほどの一角狼(ホーンウルフ)が倒れたあたりで、急に一角狼(ホーンウルフ)が逃げ出し始めた。


”ご主人。犬笛です。”

どうやら、一角狼(ホーンウルフ)は何者かに統率されているようだ。

やはり、さっきアウロスが報告してきた人影というやつだろうか。


「どうやら、敵は逃げたみたいです。ケガはありませんか?」

「こちらは大丈夫だ。そっちは?」

「こっちも大丈夫だ。」

どうやら、人的被害は回避できたみたいだ。問題は、馬か。


僕は、倒れている二頭に近づくが、一頭は明らかにこと切れており、もう一頭も内臓がはみ出して損傷しており、既に虫の息だった。

かわいそうだが、これは、もう僕にはどうしようもないな・・・。

残り四頭も、牙で噛まれた傷がいくつかあった。これでは、馬車をうまく引くことは厳しいかもしれない。

僕は、封魔紋から魔法薬(ポーション)を数本出すと、馬の傷に振りかけていく

これで少しは良くなるはずだ。


「すまんな。アーディル君。そして助かった。」

「いえ、しかしこのままではまずいですかね・・・。」

「ああ、ちょっと血が流れすぎているからな。臭いにつられて魔物が寄ってくる可能性がある。

 それに馬車を引く馬が足りなくなったな。まぁ、それは夜が明けてから考えるか。

 とりあえず、警戒態勢をあげるぞ。後半組は今からはいってくれ。あとその後はもう一度俺も入る。」


「この獲物達はどうしますか?」

「とりあえず、嵩張らない角と魔石だけは回収する。あと、二日分ぐらいの馬肉は確保しておこう。

 あとは、もったいないが燃やす。」

「よかったら、残りの肉貰ってもいいですか?まだ容量に余裕があるので」

「あ、ああ。それは構わんよ。」

「ありがとうございます。」


ディーン副団長はこの時、数切れ程度の肉と思っていたようで、あとで残りの肉をすべて収納をしたのをみて唖然とした。いや・・・唖然としたのはディーン副団長だけではなかったが。


<火魔法のレベルが上がりました。>






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