25.分配をもらった。
狩場には、ゴブリンだったものが散乱していた。
オーガが食い散らかしたあとだろう。足が捕獲用の魔道具に引っかかっていたようだ。
いわゆる虎鋏の構造をしたものなのだが、人間が誤って踏んだ時に大けがをしないように捕獲部分が自動で足の形にあわせて変形をする機構がついていた。
「また、穴掘りだな。」
ドバン先生が、そいうとすぐに狩場のはずれに穴を掘って簡単に死体を埋めた。
他の肉食の魔物が住み着くのを防ぐためだ。
「さて、プラディナ草を集めるぞ。」
狩場の周りを見渡すと、ぽつぽつと赤い実が見える。
群生とまではいかないが、それでもそれなりの数があった。
その他にも、図鑑で見覚えのある薬草がチラホラある。
僕はプラディナ草の他にも、いくつかの薬草を回収した。
帰ったら、ポーションを作ってみたくなったのだ。
簡単なものなら、知識もあるし、これで素材はそろった。
あと必要なのは、経験だろう。
ポーションは弱い効果の物でも、買うといい値段がする。
金策にもなるし、いざという時に作れれば役立つのは間違いないだろう。
最近は、シド兄のこともあって冒険者もいいかなぁと思っているが、あと2年ちょっとで、どうやってお金を稼ぐかということを決めないといけない。
孤児の僕は、選択肢は、少しでも多いほうがいいのだ。
「よし、こんなもんだな。」
ガードナ先生がそういうと、街に戻ることになった。
・・・
冒険者ギルドにつくとドバン先生が、依頼の報告の仕方などを教えてくれる。
とはいっても、今回は特別に依頼を受けたわけでもないので、魔石の買取のみの手続きだ。
「これは、大きいですね。オーガですか。」
「ああ、”冒険者の園”の学園の狩場の近くででた。」
「あら、結構浅い場所ででたんですね。気をつけるように言わないといけませんね。」
「そうだな。いくらになる?」
「えっと、ざっと12,000コルですかね。銀貨と銅貨にしますか?それとも全部銅貨で?」
「銅貨で頼む」
そういうと、銅貨が積まれる。銅貨100コルだから120枚あるはずだ。
それをドバン先生は皮袋にいれると、テーブルに戻ってきた。
「お疲れ様だな。ちょっとイレギュラーもあったが、無事に帰れてよかった。
早速だが、分配をするぞ。まずオーガの魔石分だな。これは、事前の打ち合わせ通り等分にする。」
そういうと、1人銅貨20枚づつを配った。
「あとは、カーミラからの報酬があるんだが、ちょっと金額がわからん。
それに、今回はアーディルは槍を折っちまってるからな。
まぁ、この辺は共通の経費として扱いたい。」
「はい。アーディルがうまく対応してくれていなければ、私はもちろんアッシュ君たちも危なかったでしょう。私たちは魔石分でも十分ですから、あとは任せますよ。」
一般的な宿屋の宿泊料が、朝食付きで大体銅貨4~6枚だから、悪くはない稼ぎかもしれない。
カーミラ先生からもらえる報酬がいくらかは知れないが、折ってしまった槍は第2学園にあるものだからそこまで高くはないだろうが、少なくとも銅貨20~30枚はするのではないだろうか。
そう考えると、ちょっと申し訳なく思った。
その後、一緒に夕飯を食べたが、これは先生方のおごりだった。
エリック達は、護衛依頼が入り次第、またヴィジニアの町の方へ戻るらしく、壮行会を兼ねたためだ。
「しかし、驚きましたよ。アーディルがこんなにやれるなんて。
2年後が楽しみだね。よかったら、一緒にパーティーを組むかい?」
エリックがそう声をかけてくれるのは、正直嬉しかった。
「まぁ、そうあせるな。まだ2年以上あるからな。
おまえらも、そう思うなら、ちゃんと腕を磨いておかないとな。稼げるパーティーになっていないと、アーディルの方から断られるぞ。」
ドバン先生はそういうと、大笑いした。
そういえば、この食事で一つ分かったことがあった。
僕は、お酒に滅茶苦茶強いということだ。
1口だけということで口をつけた酒だが、まったく酔う事がなかった。
まぁ、考え方によっては全くもったいない話なのだが、僕にはジュースとかわらなかった。
僕は、毒とか効きづらいみたいだし、酒はもしかしたら、毒と認識されているのかもしれないな。




