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22.初陣を飾った。

困ったことに、プラディナ草は意外と見つからなかった。


「この時期は、赤い実がついているため、すぐにあればわかるのだが。」


たしか、多年草で生存力が強いので、よほどのことがなければ採っても翌年にはまた生えてくる類の草だから、需要と供給のバランスなのだろう。簡単に取れる森の中でも大きな道沿いには、ほとんど見つけることが出来なかったのだ。


「アーディルもいるから、あまり奥にはとおもったが、このメンバーならよほどのことがなければ大丈夫だろう。」

ガードナ先生がそういうと、ドバン先生も頷いた。


「この脇道沿いにいくぞ。たしか初級冒険者用の狩場があったはずだ。」

ドバン先生が獣道というにはほどではないが、今までの道よりも一回り細い脇道をさして歩いていった。


「狩場?」

「ああ。ここの場合は、定期的に、草食動物が好む野菜などを仕掛けておくちょっとした広場だな。

角ウサギなどやワイルドボアのような草食・雑食系の獲物を罠にかけると同時に、それを狙ってくるゴブリンやオークなどを討伐することが出来る場所だ。

もちろん、暗黙のルールがある。

まず、狩場ってのは大体クランが開拓をして管理している場合が多いから、そこに所属していないと使うとまずい。あとは、クラン内でのルールによるな。曜日でパーティー毎に当番を決めているところとか、様々だ。獲物がいてもいなくても、餌の補充は訪ねたパーティーが行うとかな。」

「じゃぁ、今から行くところは?」

「そこは、学園が開拓・管理しているところだ。

主に、Sクラス・Aクラスが偶に使う。だから、我々がいっても問題はないのさ。」

「もっとも、この時期だとまだ授業では使っていない。

だから、誰かが勝手に使っていないかぎりは、罠とかにも餌がついてないだろうから、あまり期待するな。」

「誰かが勝手に使っていた場合は?」

「といっても、この時期授業で使っていないことは卒業生なら皆知っていることだから、別にとかくいう事はないが、まぁ、勝手に使っているのが悪いからな。獲物はいただいて、また罠を仕掛けておいてやればいい。」

先生方とそんな会話をしながら、道を行く。

やはり、本を読んだばかりでは、知らないことも多いのを痛感した。


「お、プラディナ草だ。少ないけれど、流石にこの辺までくれば見つかるな。」

エリックが、道の少し奥に生えていたプラディナ草を摘むと見せてくれた。

うん。これは図鑑で見たとおりだ。

すると、あそこの木に生えているやつは、黒傘絹茸ではなかろうか。同じくポーションの材料だがプラディナ草よりも高級素材だった気がする。


そう思うと、僕は木の根元に生えている黒い小さな茸を数本削り取った。

「ねぇ、これは黒傘絹茸だと思うんだけど・・・」

ティアさんにそれを見せると、頭をなでて褒めてくれた。

僕の方が、頭一つ分ぐらい背は高いので、少し変な感じがするが・・・。


「よく勉強してるわね。それによく見つけたわね。

間違い違いないわ。結構見つけにくいのよね・・・それ。麻痺系の毒の特効薬を作ることが出来るから、いい値段がつくのよ。」

僕は、それを聞くと、ティアさんに差し出した。

僕は、知識はあっても、それを現金化したり調合したりすることができない。

それに、まだ魔風紋がないから、小さいものとはいえ、茸のような繊細なものは、もち運びも不便なのだ。

ティアさんは、最初はいいの?という顔をしたが、なんとなく察したのかすぐにうなずくと

「後で配分しましょう。」

と言ってくれた。


その後も、僕は薬草の類をいくつか見つけて、ティアさんに渡していく。

なかには、ティアさんも知らないようなものもあったが、その辺は流石というかドバン先生が知っていた。


「これは、まいった。大体の物は、カーミラが喜んで引き取るだろう。

 そうか。エリック達が来るといったのに、まだ配分を決めてなかったな。

 いいか、臨時のパーティーの場合、配分は最初にちゃんと決めておけ。

 まぁ、決めておかなかった俺が言うのもなんだが。

 やっぱり、金というのは揉める元だからな。」

「いや、今回は僕らが勝手についてきたんで」

「そういうな。俺もそう思っていたが、プラディナ草の分はともかく、この感じだと、おそらくカーミラから・・・といっても学園の予算だが、ギルドの買取より少し少ないかもしれんが報酬がでるだろうさ。

それに、これもちょっとした授業の一環だ。

命を懸けた仕事をボランティアでやってはいけない。習ったろ?」


これは、僕にもわかる。

なんでも金で解決するのはよくないが、きちんと対価を貰うことが基本なのだ。

良かれと思って、サービスをすると、それは他の冒険者に迷惑をかけることになる。

それが危険度と値段が釣り合わなくなってしまうのだ。

「前の冒険者はこの金額でここまでやってくれた」「これくらいならサービスしてくれる」

などとなれば、無駄に命を散らしたり、大きな怪我をしたりするものが出てしまうのだ。

基本は、冒険者ギルドが、素材を買いとるのも利便性だけではなく、これが理由だ。

要は、個人では足元を見て、買いたたかれないようにしているのだ。

そして、冒険者を守ることが、結局は魔物などから市民を守ることになる。

これも賢王の教えがベースにあるというのだから、すごい。



・・・・

報酬の配分は、単純に人数割りになった。

ドバン先生いわく、ちょっとした小遣い程度にはなるだろうとのことだ。


狩場に近づいたあたりで、雄たけびのような音とともに、道の奥から若い男女が3人ほど走ってくるのが見えてきた。なにか叫んでいるように見える。


「危険だ!オーガが出た。」

オーガ?!確か圧倒的な体格と強靭な腕力を誇る食人鬼だ。

人間はもちろん、ゴブリンやオークなどの人型の亜人や魔物を好んで食べる魔物。


その声を聞いた瞬間、ガードナ先生がすぐさまに指示を出した。







いつも読んでいただきありがとうございます。

やっと、戦闘シーンにたどりつきそうです。

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