21.冒険者ギルドの説明を受けた。
冒険者ギルドというのは、街の門や外壁に近い場所にあった。
住宅街や一般的な商店街からは少し外れた場所だ。
かなり大きな建物がいくつか、渡り廊下でつながっていた。
「こっちが、いわゆる冒険者ギルドの王都支部だ。
隣の建物は、肉や素材の解体場兼買取場。
そして、奥の一番大きな建物が冒険者ギルドの本部になる。
まぁ、本部になんざぁ、普通は用はないから行くことはないだろうがな。」
ガードナ先生はそういうと支部と言った建物の扉を開ける。
ガランゴロンという低いベルの音がギルドに鳴る。
ギルド内には、職員と思われる人が5人ほどの女性がカウンターの向こうで並んでおり、その奥には3人ぐらいの男性が机に向かって座っていた。
そして、カウンターの前のスペースには、6人掛けぐらいのテーブルが4つほどならんでおり、そこには2組ほどの冒険者の人たちがいた。
扉の空いた時のベルの音を聞いて、皆の視線が集まる。
すると聞いたことのある声が、聞こえてきた。
「アーディル?!、それにドバンさんとガードナ先生じゃないですか。お久しぶりです。」
声の主は、エリックだった。
「エリック?それにセドリックとティアさんも。」
学園に来た時以来だから、3ヵ月ぶりだろうか。
ティアさんが小さく手を振ってくれていた。
「なんだ、知り合いか?」
ドバン先生がエリックに問うた。
「いやぁ、アーディルはヴィジニアの孤児院出身ですからね。
顔見知りというか何というか・・・。学園に来るときも一緒でしたしね。
で、ドバンさん達は?」
「いや、アーディルがなかなか優秀なんでな。
ちょっと早いかと思ったが、ギルド見学とフィールドワークに行こうかと思ってな。」
「えっ?アーディルってまだ1年ですよね?」
「そうだな。だが、3年生も顔負けの腕前だぞ。
それに、まぁ、ついでってやつだ。
カーミラから、薬草が切れそうだからちょっと取ってくるように言われてな。
せっかく森に行くなら、連れてってやろうと思たのさ。」
「それは、すごい。
それって、僕らもお供してもいいですか?」
「ああ、別に構わんが、アーディルも一緒だからあまり無理はしないし、儲からんぞ?」
「ああ、別にいいですよ。
今日は、いい依頼もないし、休もうかと思ってたぐらいですから。」
こうして、エリック達3人も含めて6人でフィールドワークとやらに行くことになった。
その後は、簡単に冒険者ギルドのしくみや施設などの説明を受けた。
依頼掲示板や、常時依頼など知識面で走っていたが、実際に見ながら説明してもらうと良く理解できた。
常時依頼とは、食材や薬草などギルドがいくらでも買い取れるもので、特に手続きなどがなくても買い取ってもらえるものをいう。
今回は、カーミラ先生から依頼されている薬草を取りがてら、この常時依頼をこなすという感じだそうだ。
「ああ、いっとくけど今回は俺達がいるから良いが、普段は学生課斡旋の依頼しか受けられないからな。学生同士でギルドに来たりしないようにな。」
とガードナ先生に釘をさされた。
・・・
街の近くの森までは、速足で1時間程度かかった。
途中、エリック達は僕を心配してくれたけれど、流石に入学当時より体力がついているのだろう。
はっきりいって余裕だった。
「よし、森に入るぞ。
まぁ、そんなに奥の方に行くわけじゃないが、森では何があるかわからん。
魔物でなどなくとも、毒蛇や毒虫なども下手すれば命取りになる。
何か違和感があったら、すぐに言うんだぞ。」
ドバン先生が注意をうながすと、
「まぁ、ちょっとした毒なら私が解毒してあげるから、安心して。」
とティアさんがにこやかに言う。
ティアさんは、回復魔法の得意な頼れる綺麗なお姉さんだ。
厚手の服の上に、ローブをまとい長い杖という、見るからに魔法使いという格好をしていた。
森は、何人も人が通って踏み固められた道が何本か伸びていて、流石に街道のようとはいかなかったが、さほど動きずらくはなかった。
街から適度な距離にあることから、木こりに冒険者など多くの人が来るのだそうだ。
「プラディナ草は知っているか?赤い小さな実をつける膝丈よりも少し小さい草だ。
そいつが、カーミラが欲しがっている薬草だ。
まぁ、実が結構目立つから、見つけたら言ってくれ。」
その薬草ならば、僕も知っていた。
結構ポピュラーな薬草で、たしかポーションの原料だったはずだ。
「この時期は、封魔紋の契約をさせるからな。
どうしても、毎年何人か体調不調で倒れるやつが出るんだ。
それによく効くポーションをつくるのに、必要なんだ。」
「ギルドで売ってないんですか?」
「売っているさ。
ただ、第一学園でも需要が高いからな。どうしてもこの時期は値上がりしちまう。
第二学園は、それほど予算に余裕がないからな。これぐらいは、自前で調達するのさ。」
なるほど。先生も結構苦労しているんだな。
ブックマークや評価ありがとうございます。
また、誤字修正すみません。




