18.実験をしてみた。
夏期休暇は、漁業ギルドとパボさんの農園を交互に行くような過ごし方をした。
とはいっても、毎日依頼があるわけでもないので、3日に1日は休みの日ができていた。
その間、シド兄は冒険者ギルド斡旋の素材収集の手伝いなどの受けたりしていた。
僕は、体力クラスが足りないので、その間にちょっとした実験をする。
これも、魚石を毎回もらってかえることができているからこそだ。
大きさは、さほど大きくないが、それでも普通の食事に比べればエネルギー量は桁違いであるため、1粒で10ページは本を”食べれる”のだ。
しかも、消化時間も2時間もすればまた食べれるようになっていたので、あっという間にBランクの体力の教科書を読破してしまった。
そこで、いくつかの実験をしてみた。
1つ目が、武術の教科書を読むと強くなれるかというものだ。
結果から言うと、”多少は強くなる”といったところか・・・。
理論や流れは頭の中で理解されるのだが、それができるかどうかというと別・・ということだ。
棒術の構えや型、初歩的なスキルとその鍛錬の仕方など頭では理解できているため、かなり効率的な動きにはなるのだが、身体がその通り動くわけではないから、一気に力量があがるわけではない。
でも、何が悪かったのかもわかるし、どう鍛錬すればいいかもわかるので、効率よく鍛えられる。
だから、今は多少でも、長い目で見れば”かなり使える”だろう。
2つ目は、難解な本をいきなり読むとどうなるか・・・だ。
これも結論から言うと、”急がば回れ”という感じだった。
Sクラスで習うような魔術書を使ったが、1ページ食べるだけで、一気にエネルギーを消耗した。
すぐに魚石を食べて、消化を待ったが、丸一日かかってしまった。
おかげで、火球の魔法をはじめ生活魔法の着火などを覚えたのだが、後日、Bクラスで覚える生活魔法の浄水のページを食べて、Aクラスで覚える呼水と呼ばれるコップ1杯の飲料を出す魔法のページ経由で、Sクラスで覚える水球のページの順で食べると、大体2〜3時間ごとに吸収できたので、半日で覚えることが出来た。しかも、理解の度合いがこちらのほうが深い。
結果として、着火などもBランクの教科書から食べることにした。
はじめて魔法というものを使った時は感激をしたが、ある種の目標である”生活魔法”だけでなく、”基礎魔法”までこんなに簡単に覚えてしまっていいのだろうかと、ある種の罪悪感を感じた。
しかも、ただ覚えただけではなく、理論がちゃんとわかっているのがすごい。
通常、学園で教わる魔法というのは、だれでも使えるように、ある一定の術式や呪文などを唱えれば、必ず同じ効果が出るように作られている。
しかし、理論がわかれば、より効果的に・・・例えば少ない魔力であったり、無詠唱であったりといったこともできるのだ。特に、魔法文字を理解できるのは大きい。
魔法文字というのは、日常生活で使うのとは違う専門の文字で、普通の文字が1つ情報を表すのに、いくつか組み合わせて表すのに対して、1つの文字で多くの情報を示せるのが特徴だ。
例えば、「火のたまを飛ばす」という言葉は、8文字だが、魔法文字の場合は1文字で済む。
さらに、大きさや指向性なども含めて1~2文字で表せるのだ。
当然、その分文字は複雑で、文字というより紋様に近い形になる。
故に、魔法文字について精通しているといっても、その極一部を把握が出来ている者しかいない。
しかし、僕はその意味を本を食べるだけで正しく理解できた。
もちろん、魔法文字はとんでもない数があるので、まだまだわからない字は多いが、これはとんでもないことなのかもしれなかった。
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