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15.夏期休暇になった

期末テストが終わると、3週間の夏期休暇になる。

明日には、王都から帰省をする人や、学園を卒業する人用に護衛付きの馬車がでるので、今日は寮でささやかながら打ち上げ兼送別会が行われた。


上期で卒業する人自体は少ないのだが、下期に入学してくる人も一定数いるし、家庭の事情やどうしても学園が合わずに上期で退学する人も一定数はいるのだ。

学園自体は3年制であるが、そもそも入学しなくても罰則がないぐらいなので、去る者は追わない主義らしい。

そこまで親しい人で辞める人はいなかったが、レオンやボロン先輩、アドル先輩など同じ部屋や親しい人たちは帰省するらしい。

僕には、残念ながら帰る先がないので、寮で過ごすしかないので、少し寂しくなるな。


「アーディル。明日からの予定はどうなっている?」

食事を食べていると、シド兄が声をかけてきてくれた。

シド兄もテストは手ごたえがあったらしく、上機嫌だ。


「いやぁ、まだ何にも決めてないよ。

 テストでそれどころじゃなかったしね。まだ学生課にいてないんだ。」

「そうか。帰省するやつがいなくなるけれど、帰らないやつは毎日暇だし、稼ぐチャンスだからな。

 いいアルバイトは競争になるぞ。」

「バボさんのところででも働けないかなぁと思ってるんだけど」

「依頼が出てれば、夏は、収穫に手間が難しい野菜とかが少ないからな。

 毎日ってことはないぞ。」

「そっかぁ。できればクズ石でいいから魔石が欲しいんだけど。」

「魔石か?ランプ用なら学生課でもらえるし、なにか特別なら購買部でも売ってるぞ。」

「うん。でも、ちょっと数が欲しいんだよね。」

「いくつぐらいだ?」

「そうだなぁ・・・最低でも100?」

「100?! 何につかうんだ?」

「まぁ、ちょっとね。」


シド兄は、信用しているけど、流石に”食べる”とは言わない方がいいだろう。

「しいていえば・・・研究かな。」

ちょっと言いづらそうに答えると、察してくれたのかそれ以上は突っ込まれなかった。


それから、少し話をしたが、クズ石といえ魔石は500コル・・・だいたい昼食1食分程度の費用が相場だそうだ。100個といえば、これまでのアルバイト代ぐらいにはなる。

これから夏休みだから、必死に働けば貯めれない額ではないのだが、もう少し効率良く手に入らないかと相談をした。


一番手っ取り早いのは、自分達で魔物を狩って手に入れることなのだが、自分達だけで森などの魔物の巣に行くのは、危険すぎる。ならば、冒険者の人たちと一緒にとも思ったが、残念ながら学生の間は、冒険者ギルドに登録は出来ないし、学生課を通さない冒険者との接触は禁止されていた。

どうやら、悪質な冒険者に、修行だとか護衛代だとか言われて低賃金でこき使われたり、最悪の場合逃亡のための時間稼ぎのためにスケープゴートにされるのを防ぐためらしい。

逆に言えば、学生課で受けれる冒険者ギルドがらみの案件は、危険が少なく、信頼できる依頼者であったり、冒険者を同行させてくれたりという案件だといえる。

冒険者ギルドも、未来の優秀な冒険者を大切にしたいという考え方もあるのだろう。報酬は、同行する冒険者に渡すよりも先にギルドで決められた額を分配をし、学生課経由で渡すというような工夫までされていた。


そして、結局出た結論は、「明日の朝一番で学生課に行って、アルバイトを探そう」というものだった。


・・・


学生課は、いつもの週末ほどではないが、意外と人がいた。

皆、アルバイト情報を食い入るように見ている。

時期的に、農作業などは少なくなっており、飲食店や雑草狩り、土木工事などの依頼がやや多い気がする。

今まではあまり気にしたことがなかったが、確かに冒険者ギルド斡旋の依頼も少しはあるようだ。

主には、採取などの依頼で、冒険者ギルドでは常設依頼として受けているような簡単なものなのだが、いずれも体力クラスA以上などの条件が付いていて、シド兄はともかく僕には受けれるものがなかった。


そんな中で、シド兄が1つの依頼を見つけてきてくれた。

依頼人は、漁業ギルド。近距離の船での漁の見習い募集の依頼だ。


『日給 8,000コル。漁業体験を兼ねたお仕事です。

 賄いおよび売り物にならない魚などのお土産までついた夏期限定アルバイト』

と書かれていた。


「それ、気になるかい?

 体力に自信があれば、ぜひ行ってくれると助かるよ。

 漁師の獲得のために漁業ギルドが用意してくれた依頼なんだけど、人気がなくってねぇ。

 昔は、かなり人気があったんだけど、船酔いしちゃうひとの経験談だけが先行しちゃって、

 今年はまだ応募がないんだよ。」


学生課の職員さんが声をかけてきてくれた。


「これって、大型魚の漁ですよね?」

「ああ。1mオーバーのブリやカンパチなんかを網で獲るはずだ。」

シド兄が確認すると、かるく頷いた。


「アーディル。これやってみようか。」




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