13.ブックイーター
教科書の内容が、記憶に吸収されていく。
最初は驚いたが、不思議と納得がいった。
僕に与えられたギフトの効果は、「食べたモノを吸収すること」だった。
孤児院に入った後は、人よりちょっと成長が速いことぐらいしか、実感をすることはなかったので、忘れるところだった。
「食べたものが身体に吸収される」というのは、当たり前といえば当たり前。
あのサバイバルのような環境でなければ、使えない”ハズレ”のギフトだと思っていたぐらいだ。
そして、今の今まで「本が食べれる」ことや「知識が吸収できる」ことなんて、考えたことがなかった。
というか、普通は思いつかないだろう・・・。
それに、今思えば、蛇に噛まれたときに平気だったのも、おそらくあの時食べたスライムか茸かなんかで毒に耐性がついていたからかもしれない。
これは、もしかしたら、”大当たり”のギフトだったりするのかも・・・。
ただ、只でさえ”悪食”なんて呼ばれているわけで。
ちょっと食べる場所とかは考えた方がいいだろうな。
・・・
翌日、僕は朝から体調が悪いといって、学園の授業を休むことにした。
といっても、自慢じゃないが、僕はこれまで風邪も食中毒も一切かかったことがない。
いわゆる仮病というやつだ。
皆に心配されて、ちょっと心が痛んだが、どうしてもテストをしておきたかった。
皆が授業に出た後、僕はCランクの教科書の難しいところを中心に、文字通り”食べた”。
結構堅いし、味も良くないのでそれなりに時間がかかったが、昨日と同じように、飲み込んでしばらくすると紙に書かれた知識が吸収されていく。
そうすると、今までは難しかった箇所が、複雑に絡み合った紐が、すっと解けていくように、何がわからなかったのかすらわからない状態になっていく。
次第に、紙の触感や味にも慣れてきて、ペースがあがっていった。
午前中が終わるころには、Cランクのテキストをほぼ食べつくすことができていた。
そして、その時に、気づくことになった。食べれば食べるほど、空腹になっていくことに。
仮病だったはずが、空腹で眩暈がして本当に体調が悪くなってきた。
対応の仕方は、食べたテキストの中に、しっかりとその知識はあった。
ギフトとは、”神々からの祝福”
スキルと違い、それを得たものは、自ずとその使い方、効果を知覚する。
そして、幸運にもギフトを得た場合には、おのれの中のその力を意識しながら、その力に話しかけるように瞑想していくように、食べたテキストで勧められていたのだ。
倒れこむようにベッドの上で、横になると眼を閉じ丹田のあたりに意識を集中する。
自分の中の”力”を意識しながら、心の中で”何か”に呼びかけた。
最初は、本当にかすかな点のような光を感覚的に捕まえる。
さらに呼びかけると、ゆっくりと光の範囲が広がり反応があった。
そして、その瞬間、川の流れが堰を壊してあふれでるかのように、この力のことが頭に満ちた。
このギフトの効果は、「食べたモノを吸収すること」
「吸収したものは、知識やスキルなどの形として、血肉となる」こと
食べれたものを吸収し血肉とするには、「その難易度によって、一定の時間や休憩時間が必要になる」こと。
そして、吸収を繰り返すことによって、「ギフトは成長する」こと
成長すると、「吸収できるものの難易度や、スキルとなるまでの時間や、休憩時間の短縮する」ことなどがわかった。
ただ、良いことばかりではない。
これまでの空腹の原因もまたわかった。
このギフトは、「持っているだけで、とてつもないエネルギーを消耗する」のだ。
ましてや、吸収しようとするときは、一気にエネルギーを消費するのだ。
とりあえず、バボさんからもらった果物を頬張るが、焼け石に水のようで、3つ食べてもまだ全然足りなかった。
まもなく昼食の時間だけれど、この感じでは全然足りない。
再び瞑想し、大量の情報の海の中から、答えを探す。
そして、その答えを僕は経験済だった。
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そして、誤字報告すみません。




