14.街道にて
海岸線沿いの街道を僕たちはすすんでいった。
街道と言っても、舗装されているわけではない道で、お世辞にも言い道とは言えないだろう。
馬車の轍が何本か残っているし、雑草も少ないので使用頻度は高いようだ。
「おおかた、漁村などをつなぐ街道といったところだな。」
「海岸線は、岩場が多いが・・・見通しはいいな。」
「ええ。しばらくは、ただ、逆に言えば当面は何もなさそうね。」
「いや、そうでもなさそうだぞ・・・」
しばらく前方に、なにかが止まっているのが見える。
人影は二人。特に何かに襲われているといった雰囲気ではない。
人数的に、盗賊などという事もないだろう。
油断は禁物だが、緊急事態というわけではなさそうだ。
少し近づいていくと、どうやら、荷車の軸が折れて立ち往生しているようだった。
向こうの二人は、こちらが近づいてきたのに気が付くのが遅かったようで、明らかに警戒している。
まぁ、この人数で荷も引かずに道を歩いているとしたら、盗賊の可能性もあるのだから、当然か。
「ああ、大丈夫。旅の者だ。
困っているようだが、どうした。」
ロッソさんが、両手をあげて敵意がないことをみせながら、問いかける。
向こうもまだ警戒を解いてはいないが、敵意があれば人数的にも既に襲われていることを理解しているのか、引き攣ったような笑みを浮かべながら、荷車を指さした。
「俺達は、マツバの村のもんだ。街に特産品を売ってから穀物を載せて帰るところだったんだが、荷車の軸が折れちまってな。この穀物をもってかえってやらんと村のもんがひもじい思いをしちまうもんでな。」
「あぁ・・こりゃ見事に折れとるなぁ・・・寿命っちゅうやつだ。」
「それはお困りでしょう・・・。よろしければお手伝いしましょうか。」
「いやぁ、そうはいっても・・・」
「しかし、このままでは、これだけの荷は運べないでしょう?
それに、只とは言っていませんよ。ああ、構えないで大丈夫です。」
ロッソさんが、僕を見て頷くと男たちに話し出した。
「我々は、冒険者・・・といってもわけあって、決まった拠点ももたな根無し草でね。
国境の方では何やら仕事がありそうだってんで、向かってる。
で、相談なのはこの荷物を運ぶ代わりに、道案内と村での屋根のあるところで泊まらせてもらえないかと思ってね。」
「もう、野宿は疲れたよ・・・」
そういわれて、僕は少し大げさにしゃがみ込んで演技した。
もちろん、多少の野宿など問題ないぐらいには鍛えているし、一度経験したら戻れないと言われるほど普通ありえないような快適な野宿らしい。
が、僕の外見はまだ少年・・・。実際はどうであれ、おじさん達には効果的だったようだ。
「いや、それは確かに助かる話だがいいのか?村は大したもてなしなんてできんし、金も払えんぞ。魚は売るほどあるが。」
「ええ、金は良いんです。それより、寝る場所と食事をいただけるならそれに越したことはありません。
それに、道や最近の情勢も聞けると助かります。なにせ、噂を頼りに来ちゃたものでね。」
大分、警戒も解けたようだ。
「とりあえず、応急修理をしてみましょうか。」




