15.漁村
「応急修理といっても、荷車の車軸が折れちまってるし、代わりになるような丸太はないぞ」
「えっと、もちろんきっちりは直せないんですが、動かすくらいには出来るともいます。」
そういうと、僕は、袋から小さな鋸とノミと金槌を取り出すように見せかけて、取り出した。
かなりマニアックな本だったが、役立つかもしれないと思って”食べて”いてよかった。
この類の本というのは、身体で覚えるという考え方からかあまりないのだが、大工や船乗り用の教本というのがある。木の加工の仕方や縄の結び方など、一通り書かれているのだ。
「とりあえず、強度的に問題がないわけではないですが、しばらく動くようにはできるはずです。」
そういうと、手早く折れた軸と軸の間を『接ぐ』
釘や金物などがなくても、木と木を上手く加工することで一つの木のようにあわせることができる。
住宅や船の修理に使う高度な技法なのだが、興味があったのもあって、少し練習していたのだ。
僕が、軸を加工していくのを不思議そうに見ながら、ロッソさんは男達から上手く情報を聞き出していた。
彼らは、マツバの村という漁村の男達で、ライとガロという名前らしい。
今は、アルキラ帝国の一部となっているが、元々は別の小国家に属していたらしいが、国ごと帝国の一部となったらしい。しかも、元々辺境の村なので、国からの干渉は少なかったらしいが、税やその国家の王族も含めて、決して待遇は悪くないらしい。
定期的に巡回の役人が来て、陳情を聞いて帰っていって、その中のいくつかはちゃんと対応がされているらしい。
最近だと、かなりの規模の港整備をしたらしく、漁村としてはかなり助かったらしい。
「どう思う?」
「さて。聞いていたよりも帝国というのは悪くないところなのかもしれん。
が、港の整備というのも軍需の一環とも考えられる。船の製造まで行かなくとも、補給・修理可能な場所は確保しておく必要があるからな。」
「そうだな。だが、村民にとっては、強制労働などでもさせられない限りは、それもまた益なのかもしれん。」
ロッソさんとデュルゲルさん達が話しているうちに、荷車の方は修理が終わった。
馬車で引くには、強度の問題があるかもしれないが、人が引いていくぐらいであればかなり持つだろう。
「できましたよ。」
修理が終わった荷車に荷物を積んで、引いてみたライさんとガロさんが驚いた。
「こいつは驚いた。あんた大工かなにかかい?若いのに大したもんだ。」
「まぁ、色々ありまして。では、約束通り、村までご一緒させてください。」
「ああ。そらかまわねぇ。大した歓迎もできないが」
「旅の途中ですから。まだ結構遠いんですか?」
「そうさなぁ、あと4時間ぐらいだな。荷車が直ってなかったら、ちょっときつかった。」
「それは良かった。応急ですが、ゆっくり進めばそれぐらいなら大丈夫と思います。
途中で変わりになりそうな材料があれば、それに代えるという手もありますし。」
「この辺は、海風が吹くから材木がなかなかまっすぐ生えてこねえんだ。
だから、車軸にできる木ってのは少ねぇんだ。」
「そうでしたか。まぁ、とりあえず向かいましょう。日が暮れます。」
こうして、僕達はかなりライさんとガロさん達と親しくなりながら、マツバの村へ向かった。
・・・
マツバの村は、小さいながらも石造りの家が立ち並ぶ集落だったが、特に印象的だったのが、村には不釣り合いなほどの整備された港とそこに停泊していた帆船だった。
あまり大きなものではないが、木をベースとしながらも、衝角や外装のいくつか魔物の素材が使われているのが遠目にもわかった。
「ん?あの船が気になるかい? あれはこの村に恩賜された船でね。あの船のおかげで俺達の漁の仕方や漁獲量が一気に変わったんだ。もちろんいい方にね。
ただ、整備や操船に技術がいるもんだから、まだ遠くへはいけていない。今は村をあげて若いもんを育成中って感じなんだ。あれが使いこなせるようになったら、今みたいな荷車や馬車での輸送に頼らなくても良くなる。」
ライさんの表情は自慢と希望にあふれていた。
ほどなくして、僕達は一軒の家に案内された。
明らかに、他の家よりも立派で大きい。
ライさんはいってがここで待つようにいって、先に家にはいって行く。
「ここが村長の家だ。船乗りなんで、ちょっと言葉遣いは荒いかもしれんが、悪い人じゃないから。」
とガロさんから説明を受けた。
しばらくして、ライさんが出てくると、僕達に入るように促した。
すみません。ちょっとづつ、ゆっくりの記載になります。
(短い文で、大した推敲もしていないですが、結構時間がかかるんですよね・・・)




