13.帝国領地
おそらく、2時間程度だろうか。海岸から低木や草原を延々と突っ切っていったところで、僕達は街道にでることができた。さほど大きいというわけでも整備されているという感じではないが、まだ新しい馬車の轍が残っており、それなりの交通量があるのがうかがえた。
「ここからは、隊を3つに分ける。」
僕達は全員で19名いる。部隊としては19名しかいないのだが、冒険者などとしては明らかに多すぎる。
情報もなくいきなり、軍隊を襲うわけにもいかないから、まずは近くの街に潜伏する必要があった。
そのために、隊を分けて街の中では別行動をするようにするとのことだった。
隊は、不自然さが出にくいようにと旅団を二つに分け、僕は、デュルゲルさんやロッソさん率いる『女神の片腕』のメンバー5人と一緒に行動する事になった。
諜報活動などは、全て旅団のメンバーが行い、かなり自由にしてよいという。
連絡用の風魔法の応用魔法を使える魔道具をロッソさんが預かっていた。
以前、ガーファンクルさんが使っていた魔法の簡易魔法道具らしい。
相手の指定をペアとなる魔道具に限定することで、実用化してあるとのことなので、ディードリットさん達にしか伝わらないとのことだ。
「都市であれば、帝国内でも王国通貨を両替する場所がある場合はあるが、基本使えんと思ってくれ。
今から支給する分と、あとは魔物の素材など換金などをして手に入れた帝国通貨を使ってくれ。
アーディル、食料を分けてくれるか。」
最低、食料さえあればなんとかやっていけるということだろう。
「もう、別れるんですか?」
「ああ、行く方向は同じだが、少し距離を取る。どこで誰に見られているかわからんからな。」
・・・・
「結構離れましたね」
「そうだね。まぁ、この先にあるところが村か町か、それともそれなりの街かによって対応も異なるしね。大きな街ならともかく村に大所帯でいくわけにもいかんからな。帝国とはいえ、村人に罪はない。」
「それに、情報を収集してもらわないとね。ザッカートがどうなっているのか、そこに向かう補給線がどうなっているのかわからないと手の打ちようがないわ。」
「餅は餅屋だからな。先は長いから、あせらずに行こう。」
「そろそろ、飯と野宿の準備にするかの」
旅団の皆さんが先行し、僕達はできれば1日から2日は日を開けてくるように言われた。
食料の保持も多いし、役割分担としてもそれが適任なのだ。
帝国領であったからといって、野営でやることは変わらない。
食料も、まだ選択の幅が十分にあり、質素ながらも割と楽しい食事にありつくことが出来た。
「ちょっと何か聞こえませんか?」
どうやらロッソさんの荷物のあたりから、呼び鈴のような音が聞こえる。
どうやら、例の魔道具のようだ。
「ディードリットだ。とりあえず俺達の隊は小さい町についた。
どうやら、ここからは大きな街道は海岸沿いと中央より2本あるようだ。
ザッカートの様子を考えれば、海岸沿いも捨てがたいのだが、俺達は中央へ向かいたいと考えている。」
「俺達はどうすればいい?」
「可能であれば、海岸沿いの街に向かってほしい。
適度に依頼などを受けながら、情報があれば共有してくれ。くれぐれも、無理はしないでくれ。」
「補給部隊などに遭遇したら?」
「基本的には、何もしなくていい。絶対に手を出すなとはいわんがな。
もう一隊もそちらに向かわせる予定だからうまく連携してくれ」
「中央方面というのは帝都へ向かうのですか?」
「いや、そこまでは行くつもりはないのだがな。敵の布陣を把握したいんだ。
まずは、脱出ルートを確保してからでないとな。」
とりあえずは、当面の向かう方面が決まったようだ。
すみません。台風対応で、しばらく休みます。




