12.上陸
僕達が乗った船、-海鷹-を応急修理して、アルキラ帝国に向かう。
「結構、派手に壊れたけど大丈夫なの?」
「まぁ、竜骨などの主要構造に問題はないからな。戦闘や嵐は厳しいかもしれんが。」
船首付近の側面や甲板付近は、かなり破損していたのだが、そこは流石というかレッド船長以下船員の皆さんがテキパキと応急処置をして、不格好ながら航行には支障がないようにしていた。
「心配するな。ちゃんと送り届けてやるから。
幽霊船に遭遇するなんて、早々起きることじゃないが、昔海竜に襲われたときに比べれば、ずいぶんましだよ。あの時は、ほとんど船の原型を留めていなかったからな。」
海竜は、海に潜む魔物の中でも頂点に位置する魔物だ。
厳密には龍の種族ではなく飛竜などのような亜種である学者もいるが、軍用船であっても一撃のもとで沈めることが出来る海の王者である。
今回、遭遇したのが海竜の様なものでなくて助かったのは、まだ幸いだったのだろう。
いや、僕にとっては敵地に潜入する前に強くなった分だけ幸運なのかもしれない。
・・・
そして、それから3日。僕らは海の上を航海していた。
することも特にないので、ティースさんに風魔法のレクチャーを受けたり、逆に魔法の制御訓練について話をしたり、ロッソさんに槍の手合わせをしてもらったりとした。
ゆれる甲板の上での手合わせは、思ってた以上に鍛えられた。
「おーい。見えたぞ」
レッド船長が指さす方向には、遠くにかすかに陸地が見える。
「やっとか・・・。」
「この風だと、あと3時間もすれば着く。上陸の準備をしてくれ。」
そういうと、上陸用の小舟を親指で指す。
この船では、ある程度水深がないと座礁してしまうため、港などの専用の設備がある場合でなければ海岸線に近づけない。帝国は王国の崖に陸づけしてきたが、あれは離れ業の類だ。
適した地を見つけることができたこと、頑丈で高性能な船があってしかできない。
「あれだと、全員乗れそうにないんですけど・・・」
小舟は2艘あるが、せいぜい5~6名しか乗れない。
「あれは、荷物用だ。普通は泳ぐんだよ。」
レッド船長は、豪快に笑いながらそういうと、冗談だと肩を強くたたいた。
海岸と海鷹の間を小舟が3回往復をして、僕達はなんとか砂浜に上陸した。
「では、気をつけるんだぞ。情報によると帝国は海岸線からそう遠くない位置に街道があるはずだ。
そこから、近くの街などを目指し、潜伏することを薦める。」
「ああ、任せてくれ。武運を。」
「武運を」
旅団のメンバーは、その名前の由来となっている銀の胸当ての上に、魔物の鱗などの装飾を施し、武器などを確認する。メインの武器を失った者も、予備の武器などを装備する。
レッド船長達を見送ると、僕達は準備を整えて街道を探して獣道をきりひらいていった。
短くてすみません。
なんとか更新できました。




