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4.出航

マロールの街からほぼ1日。小さな港町・・・というか漁港に僕たちは来ていた。

メンバーは、ディードリットさんとデュルゲルさん。そしてロッソさん率いる『女神の片腕』のメンバー5人。エリック達は、マービックさんなどと話をした結果、今回の作戦には実力と経験不足ということもあって不参加となった。

もっとも、今は人で不足で護衛に魔物討伐など街での依頼もかなり困った状況にあるらしいので、楽はさせてやれんと言われていたが。


そこには、あきらかに町の港の規模にしては大きな帆船が1艘係留されていた。

船の名は、海鷹(かいよう)。王国の主力軍用船のうちの1艘だった。

今回鹵獲(ろかく)した帝国の軍用船に比べると随分小さいうえ、主要構造部分はすべて木製と戦闘能力などは落ちるのは明確だが、つい先日まで近海ではこの型の船が最強であった。

船の甲板や舷梯(タラップ)には、船を動かすための海兵とともに、銀の旅団の紋章をつけた胸当をつけた男達の姿が見えた。


「今回の作戦には船員も含めて五十名程度が参加する。

ただ、上陸するのは、我々旅団のメンバーが十二名。そしてアーディル君達二名と女神の五名の19名だけだ。あとで、紹介するからよろしく頼む。」

ディードリットさんは、そういって初老と言ってもいい精悍な男性を紹介してきた。


「ほぉ・・・こんなに若いのがねぇ・・・。まぁ、歳は関係ないか。」

レッドと名乗った船長は、僕をじっくりと値踏みするように見た後、そうつぶやいた。

レッド船長達は、今回僕達を送り届け、2週間後に回収のために来てくれる手はずらしい。


「今回の作戦の要は、アーディル君。君になる。

戦力面でもそうなんだが、補給面でな。とにかく、敵地では補給面に不安がな。

もちろん費用はこちらで持つし、依頼料も上乗せするから、封魔紋に格納してほしいんだ。」

そういうと、ディードリットさんは、船底の部屋にある食料と水の備蓄庫に連れてきた。

「アレックの報告によれば、馬車1台分は確実に持てると聞いている。持てるだけ、頼む。」


「それは構いませんが、全部持って行っていいんですか?」

「全部・・・?持てるのかい?」

「ええ。でも、そうすると船長達が困りますよね?」

僕にとっては、これぐらいなら、何も問題がない。

「本気か?だとしたら・・・。とりあえず半分頼む。そのあと町で買い足そう。

しかし、これだと食料に不安はないな。あとは、足の確保か。」


食料と違って、封魔紋には馬の様な生物を入れることは出来ない。

「馬車だけなら持っていけますが、馬は難しいですね。」

「そうか。よく考えれば馬車も持てるのか・・・。自分の常識で考えちゃいかんな。

1台でも馬車があるとずいぶん楽になる。頼めるか?」

「かまいませんよ。で何台いきます?」


銀の旅団は、様々な状況に対応する精鋭なのだが、流石のディードリットさんも馬車を何台も持てる封魔紋というのは想定を超えていたらしく、その後かなりのすり合わせを要した。


その後、馬車を3台用意し、食料の他予備の武器などかなり予定より多くの物資を用意した。

流石に、小さな港町なので、上等なものは手に入らなかったが、十分な量は確保できた。

「これだけの物資があれば、1ヵ月は無補給で活動できるんじゃないか?」

「理論上そうでも、そう簡単にはいかん。今回の作戦は、攪乱だからな。

いくら何でも、この人数でには戦争には勝てん。欲は出すな。だが、ずいぶん楽になったのは事実だ。」



港を静かに出航した船の甲板で、レッド船長は僕達の横にそっと並ぶと眼もあわせずに水平線を見つめながら呟いた。

「いいか。俺が言うのもなんだが、今回の作戦は、かなり危険なやつだ。

お前さんみたいな若い奴にこんな作戦に・・・と正直思わんでもない。

まぁ、アルキラ帝国領までは俺達が責任をもって渡してやる。

だから、・・・・絶対無事に帰って来いよ。」




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