3.ザッカートへの救援
近くの森から、マロールの街の宿屋に戻った僕は、ギルドからの言伝を受け取った。
マスターから『ギルドに顔を出すように』という呼び出しだった。
既に、日も暮れているし、流石に一刻を争うというわけではないだろう。
あまり良い予感もしないしな・・・。
翌日、僕はエリック達に事情を説明し、ギルドへと向かった。
なぜかデュルゲルさんはあれ以来一緒の宿で過ごしており、今日も一緒にギルドへ向かっていた。
エリック達も格上のデュルゲルさんと一緒に過ごすことは、まんざらではないらしい。
まぁ、ほとんど一緒に飲んでいるだけなんだけれど。
「来たか。」
そういったのは、ギルドマスターの"白狼"ことマービックさんだった。
隣には、銀の旅団の紋章のある胸当をつけた中年の男性が座っていた。
「こちらは、銀の旅団のディードリットさんだ。」
「ディードリットだ。君がアーディル君か。」
マービックさんが紹介するとほぼ同時に、ディードリットさんが立ち上がり、僕に握手を求めてくる。
力強い大きな手が僕の手を包むと同時に、不思議な力を感じた。
「なるほど。アレックの報告通り・・・というかそれ以上か。」
「な・・なんですか、今のは?」
「ほう。ちゃんと感じたか。これは失礼した。勘弁してくれ。」
「ディードリットさんは、神々の祝福を持っているんだ。」
「詳細は、機密上教えられんがな。なに何か悪さをするようなもんじゃないから安心してくれ。」
「スキル視・・・ですか?」
「違う・・・とだけ答えておこうか。」
そういうと、ニカッと笑った。
日に焼けた浅黒い肌と目元の皺に白い歯が妙に似合って憎めない笑顔だ。
「で、何の用じゃの?」
デュルゲルさんが、場の雰囲気を読んだかのように間に入ってきた。
「うむ。ディードリットさんの直接指名はアーディル君だけだが、どうせ依頼が出るからな。」
そういって、マービックさんが話し出したのは、僕も気にしていた依頼内容だった。
「なるほど。儂らも気になってはおったんじゃ。」
「でも、私達では力不足・・・よね。」
デュルゲルさんと、ティアさんが依頼内容を聞いて、それぞれ感想を口にした。
依頼内容は、城塞都市ザッカートの救援・・・ではなく、なんと海路をつかってザッカートの向こうへ向かい補給線を絶つという作戦への参加だった。
「これって・・・」
「そうだ。趣旨返しといったところだな。」
「しかし、これってかなり厳しいのでは・・・・。」
「そうだな。簡単とはいわんよ。帝国と同じような規模での対応はできない。
鹵獲した船は流石に直ぐに使うのは厳しい以上、王国の所有する船で帝国の船に対抗するしかない。
大きさも乗れる人数も倍以上差があるからな。だから、アーディル君に声をかけに来た。」
「僕のことを知っているんですか?」
「アレックから報告があったといったろう?」
そういえば、ガーファンクルさんが風魔法の応用で通信ができると言って使っていたな。
「依頼を断ることは?」
「もちろんできる。・・・・建前上はな。強制は出来んのだが、できれば受けたほうが・・・」
「わかりました。」
マービックさんの、少し困ったような回答に僕はそう言った。
つまりは、実質断れないという事なのだろう。まぁ、不謹慎ながら、面白そうな依頼だとも思ったのだ。
『シャナ?どう??』と聞くと、小さな姿で現れたシャナは、頷く。
『依頼事態に興味はないが、帝国とやらには船で行くのじゃろう?それは、楽しそうではないか。是非、いってやろうではないか』
そして、シャナも意外と乗り気だった。




