2.森での採取
本来1時間で来れるはずの森に、僕は街から出てに2時間もかかってしまった。
マロウを乗りこなす。それにそれだけの時間がかかったのだ。
マロウは、いい子で僕を背に乗せるのに、一切の抵抗はなかった。
だが、それでも上手く乗れるかどうかというとまた別の話だった。
最初は、マロウに跨っても、マロウが駆けだすと一瞬で吹き飛ばされるかのように転げ落ちてしまった。
マロウも人を載せたことなどないので、お互いが上手く動けていなかったのだ。
だが、それも何度か失敗を繰り返して行くうちに、徐々に解消していった。
多分、馬などでもちゃんと乗り方を知っていればもう少し早く乗れるようになったのかもしれないが、トライ&エラーを繰り返して、お互い身体で覚えていった。
乗れるようになってしまえば、マロウの乗り心地やスピードは素晴らしかった。
竜馬よりも早く、美しい。まだまだ訓練の余地はあって、騎乗したまま戦闘・・・となるとまだ上手く立ち振る舞える自信はないが、それでも十分なところまで乗りこなせるようになった。
<騎乗スキルを手に入れた。騎乗スキルのレベルが上がった。>
「しかし、そこそこ人気があるって聞いてきたんだけれど、誰もいないなぁ。」
もちろん、近場とはいえ冒険者が森の狩場でごった返す・・・なんてことはない。
だけれど、移動中も含めれば、一人ぐらいは誰かに合いそうなものなんだけれど。
そう思いながら、僕は薬草や茸などの魔法薬の材料を順調に集めていた。
やはり、自分で採ると、ギルドなどで手に入れるよりも新鮮で良い物が手に入りやすい。
全員がそうというわけではないのだが、やはり人によっては摘み方ひとつとっても、処理の仕方などに善し悪しがあるのだ。
「うん。あとは魔物系の物だな。マロウ?」
僕がマロウに問うと、マロウは地面を何回か嗅ぎまわる。
普通の狼でも嗅覚は人間の約100万倍と、聴覚は約4~10倍はと言われている。
マロウの嗅覚が僕の何倍かはわからないが、とてつもなく優れているのだけは間違いがないだろう。
逆に、その良すぎる嗅覚が狼などの魔物の弱点になることもあるので、気をつけなければいけないが。
マロウが首をもたげると、小さく吠えて森の奥の方を首でしゃくった。
しばらくいって、僕達が遭遇したのは、森蜥蜴という巨大な蜥蜴だった。
鋭い爪と鋸の様な歯を持つが、繁殖力も強くて見つけやすいし、連携などを取る知能も毒などの癖もない比較的簡単に枯れる魔物だった。魔石もクズ石に近いものしか取れないような魔物だが、食味は結構良いほうだと思う。この魔物の肝臓には魔石とは別の石が出来ていることが多く、これは下級だが魔法薬の材料にもなるのでありがたい。
僕は、緋氷槍を取り出すと、捕縛の闇縄を素早く使った。
うん。やはり随分流れがスムーズになってきた。
なんだかんだで、竜撃砲のような派手さはないが、この魔法はかなり使い勝手も良いし、応用も効く玄人好みの魔法なのだ。
魔法効率の悪さも、訓練次第でかなり改善できるはず。
森蜥蜴の首を落とし、水分補給に血を飲んだ後、そのまま亡骸を封魔紋に放り込むと、さらに次の獲物を探して森を攻略していく。
飲料水も潤沢に持っているが、最近は良く魔物の血を飲むようになった。
もとは、エリック達にサバイバル術を教わったなかに魔物の血液での水分補給というものがあったので、いざという時のために実施していたのだが、ちょっと癖になってしまったのだ。
普通は、血を飲もうとすると口の粘膜がイガイガしたりして気持ち悪くなるので、慣れておくという目的だったのだが、僕には意外と美味かったのだ。
実際、血液は栄養も豊富だし、魔物などは好んで血を飲むものもいる。
注意すべきは、毒らしいが、それは僕には無用だった。
もちろん、人間の血をすすんで飲む趣味はない。それは味と改善の問題だから。
大猿の魔物に大蛇の魔物、定番のオークの小さな群れ、鳥の魔物などにも遭遇したが、危なげなく僕は倒して行くことが出来た。捕縛の闇縄を上手く変形させて、網状にしたり空に向かって撃つなど、訓練もかねてかなりの応用にチャレンジしてみたのだ。
結果、魔法薬の材料はもちろん、かなりの量の食材や小さいながらも魔石もゲットすることが出来た。
これだけあれば、当分は問題ないだろう。腹もお金も。
<闇魔法のレベルが上がりました。魔法制御力のレベルが上がりました。採取スキルを獲得しました。>




