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煉獄世界の死神  作者: 敗北の貴公子
第3章 少年時代
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第五十五話:集団生活の始まり




夕食を終えた後は、この孤児院でのおおまかな規則を学ぶべく寮夫のオッサンに連れられて別室へ。


さっきできた友達とは暫しお別れだ。


寮母室には寮夫・寮母の全員が揃っていた。

これから職員会議(ミーティング)か何かを始めるのだろう。とりあえず顔合わせのため自分も参加。

トップの顔も拝んでおきたかったのだが、この日は生憎、城で会議があるとの事で孤児院院長は欠席だった。副院長であるキツそうな年増の女性が会議を始める…おっと、睨まれたな。考えてることが顔に出てただろうか?怖い怖い。



寮夫、寮母。

簡単に言うと先生みたいなものだが、その職務は教師とは少し違う。仕事内容は生活指導が主で、院生が無秩序な生活を送らないよう監視し、規律を破った者には相応の罰を与えるという、まぁ刑務所の看守のような仕事である。


寮母・寮夫は職員数にして合計20名ほど。当然ながら男子寮は男性の寮夫が、女子寮は女性の寮母が面倒を見ており、おおまかに6~8歳、9~11歳、12~15歳の各階層を、シフトで区切り数人で分担して指導に当たっているといった感じだろうか。


男子の高学年担当の寮夫はやはりガタイが良く髪型も顔つきもイカツイ。『元軍人』って感じだ。多分殴られたらタダでは済まない。あの無表情さ、ガタイ、硬い動作は人間というよりターミネーターか何かだ。

俺が成長すれば当然その寮夫の世話になるということで…。


…成長する前にここから出ていきたい。


低学年の寮夫は『ほんわかお兄さん』って感じだが、こういう人に限って怒ると怖そうなタイプだ。怖い。


女子寮の寮母さん達も、やはり高学年の担当ほどキツい感じのオーラを纏っている。マジで怖い。縁が無いことを祈りたい。


大体の報告を終えたところで俺の紹介に入る。

事前に資料が配布され目を通していたのだろう。

職員たちの目にあまり驚きはないし、特に質問もない。職員たちが俺に自己紹介をする様なこともなかった。


自分も端的に

「お世話になります。何卒宜しくお願いします。」

その一言を発し、深く頭を下げて挨拶。

単調な拍手で迎えられた。


俺の容姿を見て、俺の発言を聞いて、質問はなくとも職員側から何かしらのアクションはあるかと思っていた。

しかし職員一同は眉一つ動かない。

その後も淡々と会議を進めていた。



なるほど。プロだな。

『特別扱い』は無しということか。



一国を滅ぼした元凶で、次期皇帝と友好関係にあり、転生者で中身は立派な大人だとしても、あくまでこの孤児院では『俺を周りの子と同じように平等に扱う』ということなのだろう。


転校生であっても来賓ではない。存在感はあっても職員からすれば一人の子供ということだ。

実際、今の俺は彼らの保護対象でしかない。



背筋が伸びる思いだ。

甘えは許されない。

むしろ他の子供と同列では許されない。

模倣とならなければならない。

気を張り直さなければならない。



はぁ…。野山で一人気ままに暮らしたい…。




その後は別室に写され、ここでの生活の規則や罰則の説明を受けた。

これも俺だからと言って特別扱いはない。

当然規則を破れば罰が課せられる。そしてその罰は、集団生活を身に付けるためだか何だか知らないが「連帯責任制」である。



「集団生活」


「連帯責任」


俺にとってはとても嫌な思い出だ。

吐き気がするほどの、な。



それを抜きにしたって、独り暮らし10年の俺にとってはプライベートも糞もない集団生活とか吐き気を(もよお)すほど嫌だ。本当に。さらにそれに「門限」や「自由時間」「活動内容」など様々な自由が制限されるときた。それを破ったら罰則、しかも連帯責任。



俺の「久々の」集団生活ライフは大きなため息が出そうになるのを堪えることから始まった。




説明が終わったのち、早速(さっそく)寮へ連れていかれる。

男子寮は4階から6階。そのうち男子寮の中では一番下の階層となる4階は6、7、8歳の3学年が暮らしている。1学年の定員は6人で、同学年の6人で寝起きを共にすることになる。建物内部は古い学校を改造したような建物だ。教室が寝床となっており、廊下にはびっしりと机が並んでいて子供達は皆宿題を黙々とやっているようだ。後ろで寮夫が廊下の端から端まで行ったり来たりして、サボっていないかを見張っている。



寮夫が注目させると子供達が一斉にこちらを向く。

先ほど食堂で少し話して俺の顔を知っている子供は表情がパァッと明るくなり、離れた席に座っていた年上の子供達はまさしく「なんだこいつ?」といった懐疑(かいぎ)的な表情だ。まぁ無理もない。

男のくせにこの長髪。真っ白なマフラー付きの衣。

この見た目だもの。仕方ない。



自己紹介をするように寮夫に言われ、名前程度だが簡単に自己紹介をする。名前を聞いても子供達は特に反応なし。表情一つ変えず、普通に拍手で迎えられる。今回の無反応は俺の事を知り得ている寮夫達とは違うだろう。よしよし。隣国とは言えシンクバトラから遠く離れたカトラの孤児達にはこの名前と顔は知られていないようだな。

まぁ、時間の問題かも知れないが。



その後、俺と同期5人、つまりはこれから寝起きを共にする6歳の孤児たちと部屋に入り、お互いに自己紹介をした。



赤毛ショートの男の子。ラテン系のキリッとした顔立ちだ。

名前を『バルザ』。

自己紹介からして元気があった。ジルといい勝負だ。

活発そうな性格で、「俺から左回りな!」と率先して自己紹介の順番を決めたり、誰に言われた訳でもないのに他のメンバーに自己紹介の仕方を指示しているあたり、5人の中ではリーダー格なのかもしれない。

体格は俺含む6人の中では2番目に大きい。

腕っぷしに自信があるのか。

「よろしくな!後で腕相撲しようぜ!」とのこと。

そうか。リーダーは熱血タイプか。



こちらは茶ミドルヘア。東洋風の顔立ちだ。

名前は『ルザル』。

鋭い目付きというわけではないが、こいつの目には何か宿るモノがある。バルザのような熱血とは対照的に、冷静沈着というか、6歳児としてはかなり雰囲気が落ち着いていて大人びている気がする。多くは語らないが5人の中では一番勉強ができるようだ。一目おいておこう。

体格は俺と同じくらい。

バルザ曰く、腕相撲は3番目に強いらしい。

「宜しくお願いします。」



赤毛でボーズの『クヴァ』。

体格はこの中では一番大きくガッチリしている。

そして正しく脳筋だった。好きなこと『筋トレ』『ごはん』。

腕相撲は一番強いが喧嘩ではリーダーのバルザに勝ったことはないらしい。勉強はテンでダメ。

ある意味一番『子供らしい』子供だ。

「よろしく!」



金髪ミドルの『ジャグラー』。

俺やレイタと同じ赤い目が特徴だ。

その雰囲気は飄々としていて、俺の自己紹介中、よく言えば常にニコニコ、悪く言えばニヤニヤしている。笑顔の裏で何を考えているか分からない不気味さがある。他の子供達はコイツを警戒しているような印象は特にないが…。俺的には何か引っかかるというか…。少なくともまだ純粋無垢な人間味を残しているはずの6歳児とは思えない雰囲気だ。

「フフフッ…宜しくお願いしますね…。」



金髪ショートの男の子。『ソゥ』。

かなり控えめな性格で、オドオドしている。

目線は常に俺の足元。まぁ俺もこの容姿だし無理もないか。

体格は華奢で、まさしくモヤシという言葉が合いそうな感じだ。

勉強はできるらしい。

「よろしくおねがいします…。」



全員の自己紹介が終わったところで寮夫のお兄さんが自己紹介をした。このお兄さんは20台半ばといったところか。明るい雰囲気で子供達からも慕われている。低学年担当の一人『オク』というようだ。寮夫ではなく先生と呼ぶらしい。



自己紹介が終わり、丁度就寝の時間となった。

部屋のベッドは二段ベッドになっていて、俺は下段、ソゥの下。

既に布団は敷いてくれていた。


本当は就寝前の瞑想の時間があるのだが、今日はなし。

先生におやすみなさいをし、程なく消灯となる。

ここから先は私語厳禁。巡回の先生に見つかったらペナルティ。

まるで修学旅行だ。

見つからなければいいと言いたい所だが、早速オクが「巡回の時間は決まっていないから気をつけてね。当然ペナルティは連帯責任だから。」と釘を指してきた。抜かりない。

バルザが布団の中で「ちぇっ」と小さく舌打ちをした。



新しい生活。

忌むべき昔の記憶。

あぁ憎き集団生活。



…………。



3割ワクワク。7割憂鬱。

覚えきれないくらいの規則。

ガンジガラメの自由なき生活。

俺はここでやっていけるだろうか。

イジメられないだろうか。ハブかれないだろうか。



そんな事を考えながら、夜は更けていく…。




人物紹介

○ファロイド

この物語の主人公。肝心な所でいつもヘマをする。

この世界に転生したが本名は思い出せない。

年齢は外見的に6歳くらい。金髪赤目の少年。

能力発動時は髪がレモンイエローに光り、瞳が輝く。

そして能力発動時は女の子になってしまう。

カトラ皇国の王子様に連れられて孤児院入り。



○バルザ

孤児院で出会った赤毛ショートの男の子。

ラテン系のキリッとした顔立ち。子供なのに男前。

ファロイドが編入した6歳児クラスを纏める活発なリーダー。

その威厳と風格は6歳には思えない。

喧嘩は6人の中で一番強い。

正義感が人一倍強く、弱い人間には手を上げない。

力比べが好きという子供っぽい面もある。

一人称は「俺」。



○ルザル

茶髪ミドルヘアで東洋風の顔立ち。

キレ長のイケメン。冷静沈着な副リーダー。

6歳とは思えないほど落ち着いている。

グループの中では一番勉強ができるようだ。

一人称は「僕」。



○クヴァ

赤毛でボーズ。ガタイが大きい脳筋キャラ。

筋トレと三度の飯が好き。

勉強はテンでダメ。

バルザ同様に正義感が強く、意外と優しい面も持つ。

一人称は「オレ」。



○ジャグラー

金髪ミドル。瞳は赤い。

飄々としていて掴み所がない。他のメンバーも深く関わろうとせず、自分からもあまり話そうとしないため謎が多い。時々気味の悪い笑顔を見せることも。

一人称は「ワタシ」。



○ソゥ

金髪ショート。背が一番小さく華奢。

控えめな性格で、オドオド・ビクビクしている。

真面目で、純粋。グループの中では一番優しい。

勤勉家のため勉強は出来るが決して天才ではない。

運動は本当に苦手。

一人称は「ボク」。



○オク

孤児院6~8歳担当寮夫。20代で細身の優男。

優しい笑顔が持ち味だが、シメめるところはシメる。

現在彼女募集中。


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