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LOT 47  作者: 千代子
本編

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第八章 第二選別――別室

三人が連れて行かれた先には、ひなたとせながいた。


ななが目を見開いた。


「せなちゃん……?」


セレネも、目の前の姿を信じられずにいた。


「……なんで、そこにいるの」


ゆいは何も言わなかった。


部屋の奥。


椅子に座らされたひなたがいた。


以前の面影は残っている。


けれど、呼びかけてもほとんど反応しない。


かつて七本あった黒い尾は五本まで減っていた。残った尾にも以前の濡れたような艶はなく、視線も定まらない。


その隣に、せなが立っていた。


手には記録用のクリップボード。


顔の一部を隠す衣装。


三人が知っている「せな」とは、まるで違う。


せなが三人を見た。


「……遅かったね」


ななが、かすれた声で尋ねた。


「せなちゃん……何してるの?」


せなは答えなかった。


カメラのレンズに、赤いランプの光が反射する。


なながカメラを見上げた。


「……これ、配信してるの?」


せなが平坦に答えた。


「この部屋は配信されている」


視聴者数が増えていく。


ななの視線が、カメラからひなたへ戻った。


「やだ……なな、こんなのやだ……」


セレネが声を張り上げた。


「まだ終わってないでしょ。わたしたち、ちゃんと九万まで……!」


ゆいは三人の中でただ一人、カメラから目を逸らさなかった。


「……ルールはルール、ってこと?」


返事はない。


黒服が三人の腕を取った。


「離して!」


金具が鳴る。


少しして、ななが何かを言おうとして、言葉に詰まった。


誰かが見ている。


コメントしている。


数字が増えている。


自分たちが苦しむほど、視聴者が増えていく。


せなは淡々と記録を読み上げた。


「七尾ひなた。脱落後の経過を報告します」


クリップボードへ視線を落とす。


「呼びかけへの反応はほとんどありません。意味のある発話も減っています」


ページをめくる。


「ただ……時々、『せ』という音だけ確認できます」


指が止まった。


ほんの一瞬。


「床に線を描く動作は、現在も残っています」


また、平坦な声に戻った。


「……ひなたちゃん」


ななは泣いていた。北斗七星の星紋は七つとも残っているのに、光はほとんど消えていた。


セレネは拳を握っていた。


ゆいはオーナーを睨みつけた。


「これを見せて、何がしたいの」


答えは返ってこない。


「怖がらせたいだけ?」


それでも返事はない。


セレネが吐き捨てた。


「……最悪」


三人に短い処置が行われる。

次第に、まともに立つことも難しくなっていく。


ななはひなたを見て泣いている。


セレネはカメラを見るたびに顔を背ける。


ゆいだけが、まだオーナーから目を逸らさなかった。淡い金と薄紫に分かれていた羽から、細かな鱗粉が止めどなく落ちていた。


途中、ひなたの拘束が外された。


小さな体が床へ崩れそうになる。


せなが支えた。


その瞬間。


ひなたに残った尾の一本が、せなの足元の影へ向かってほんの少し動いた。


「……せ……」


せなの手が止まる。


ななも、セレネも、ゆいも、その音を聞いた。


「……ひなた」


一度だけ。


名前を呼び返す。


しかしすぐに表情を消した。


ここで止まれば、自分も戻される。


せなはそれを知っている。


「……来て」


ひなたを別の部屋へ連れていく。


その背中を、三人は見送った。


しばらくして鉄扉が閉まった。


残された三人に、次の処置が始まった。


カメラだけが回り続ける。

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