表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/61

Sid.48 魔族の言葉を試すことに

 以前、三十分程度は時間を取ると言ったまま放置してたんだっけ。まあ夏休みに入ってからの予定だったんだけど。

 アイナも本気みたいだし、その分も含めての一時間は已む無しか。

 僕の何が良くてと思わなくもない。それを言ったらマリッカもそうだけどね。


「じゃあ、もう少ししたら余裕ができるんで」

「一時間ですよ」

「ギルドの仕事はいいんですか?」

「休憩時間ありますよ」


 そういうことね。


「じゃあ、僕も戻りますんで」


 カウンターから離れようとしたら、ギルドの入り口付近から大声がした。アイナと僕が視線を向けると。


「居るじゃねえか」

「逃げやがって」

「ちゃんと話をしようぜ」


 洞窟内で撒いた冒険者連中だ。揃いも揃って敵意剥き出し。


「あ、あの、ヒロトさん」

「ちょっと揉めてたんでスタッフを呼んでもらえます?」

「あ、すぐ呼びますね」


 アイナがカウンター後方の扉を開けようとした瞬間、アイナの頭を掠めるように氷の矢が壁に突き刺さった。


「ひっ!」

「アイナ!」


 咄嗟にカウンターを飛び越え怪我の有無を確認。

 驚いて腰が抜けたのか、しゃがみ込むと震えているのが分かる。一歩間違えればアイナに当たっていたかもしれない。ふざけたことをする奴らだ。本気でこの世界の住人の生死を問わないのか。

 怒りが沸々と湧き上がってくる。こんな奴らを野放しにしていいはずがない。


「あっぶねえ」

「もうちょっとで脳天直撃だったな」

「それはそれでおもしれえけどな」


 笑いながら話をする六人組だ。

 手が怒りに震えてる。冒険者の中には住人を人と思っていない奴らが多い。ただのNPCくらいの認識なんだろう。

 でも彼ら彼女らは、この世界で間違いなく生きている。僕らの世界とは違う理ではあっても、決してプログラムされたキャラクターじゃない。

 カウンターを出て六人組に向かうと「お、なんだ? 怒っちゃった?」と軽くせせら笑いながら言ってる。


「表に」

「は?」

「表に出てください」

「はあ?」


 中で暴れたらアイナが巻き添えになるし建物が損壊する。


「表に出てください。僕が話を聞くので」


 六人組が入り口を塞いでいるけど、お構いなしにぶつかって突っ切ると怒声が飛んだ。


「おいこら!」

「ぶつかってんだろ」


 全員殺す。こんな奴ら二度とこの世界に来させない。

 無視して外に出ると、ぞろぞろと追って出てくる単純な奴らだ。こっちが一人ってことで完全に舐めてるんだろう。

 全員が外に出るのを確認して走る。決して逃げ切るためじゃない。街中で被害をもたらさないためだ。

 案の定、単細胞生物レベルの脳しか持たないクズが追い掛けてくる。


「てめえ逃げてんじゃねえよ」

「ぶち殺してやるからおとなしく捕まれや」


 追い掛けてくる六人組の足は速くない。むしろ遅く感じる。

 レベルが高いわけでもないのか。それとも。

 追って来るのを確認しながら進むと、氷の矢が複数飛んでくるから、極小サイズの爆炎弾で排除しておく。

 練習しておいてよかった。周囲に被害を出さずに済む。


 門まで進むとセヴェリさんとトゥオモさんが目を丸くしてる。

 傍を通り抜けると「ヒロト、どうした?」なんて言ってるから、門から離れて追ってくる奴らを通してください、と言っておくけど。


「どういうことだ?」

「言った通りにしてください。巻き添え食らいます」

「い、いや意味が」


 バタバタと追ってくる六人組に気付いたようで「追われてるのか?」と。


「手を出さず通してください」

「わ、分からんが、ヒロトがそう言うなら」


 門から離れ走ると少し距離を取る門衛二人。勢い怒声を張り上げ追ってくる六人組。


「くっそ、意外と足が速い」

「逃げ足だけで生き延びて来たんじゃね?」

「攻撃力はさっきのあれで分かった」

「あのちっせえ炎の玉程度だ」


 ぶち殺してやるから止まれとか言ってるし。逆だっての。僕がお前らを殺すんだから。

 町から少し離れると炎の玉や氷の槍が飛んでくる。追い付けないから魔法で足止めしようとしてるんだろう。適当に躱し立ち止まり振り向くと。


「やっと止まりやがった」

「死ぬ覚悟ができたってか?」

「すぐには殺さねえからな」

「甚振ってじわじわ殺してやる」


 物騒なことを口にする連中だけど、それをするのは僕だ。魔族のあの人が言っていた。指を一本ずつ捥いでじわじわ甚振る。恐怖を植え込み二度とこの世界に来たい、と思わせないようにするのだと。

 レベル差がどの程度あるかは分からない。でも強力な魔法を使わないってことは、大したレベルじゃないと思う。


 全員が追い付き対峙すると指先を六人組に向ける。


「何差してんだよ」

「こいつ」

「なんかむかつく奴だな」

「ジーベンス!」


 細い針の如き雷撃。六人同時に攻撃すると、発動と同時に感電し全員が麻痺したようだ。死ななかったようで充分加減ができた。

 倒れて身動きが取れないようで、足掻こうとするも声すら真面に出ていない。

 近付くと怒りに満ちた目で見てくるけど、幾ら威嚇しても無力でしょ。


 一人の傍にしゃがみ込み指を掴む。


「さっきあなたたちが言ってたこと」


 実行してみるから耐えて、と言ってみる。そして掴んだ指を手の甲側に逸らす。そのまま勢いよく音がするまで逸らすと。

 悶絶する冒険者だ。この程度じゃ捥げない。捻って引っ張って回して最後に勢い引き抜く。


 涙を流して悶絶してるようだ。

 続いてもう一本も同じように。

 片手五本を全部引っこ抜くと、鼻水も涎も涙も流し懇願する目付きになってる。


「や、や、め」


 血塗れになる手だけど、ここで遠慮していたら体を治して仕返しに来るだろう。もう片手も同じように指を引っこ抜く。さらに足だ。

 どうやら僕の行動を見ていた連中も恐怖で表情が歪んでる。

 睨むと目を剥き全員が懇願してるような。でも容赦はしない。アイナに向けて魔法を放ち、あまつさえ死んでもと笑いながらそれもまた面白い、などと言っていたのだから。


 一人ずつじっくり(なぶ)る。

 全員の手足の指を捥ぎ終える頃には、絶望的な表情を見せる連中が居た。

 相変わらず痺れから回復しないようで。


「次は皮を剥ぐから」


 腕の皮。足の皮。切り込みを入れてベリベリと剥ぐ。脆いんだな。この仮初の肉体ってのも。

 皮を剥ぐと皮下の血管が露になり掴んでぶち切る。

 気を失う奴も居るようだけど、電気ショックレベルにしたジーベンスで叩き起こした。

 全員同じように腕と足の皮を剥ぐと、町の方から駆けてくる存在が三人。


「ヒロトさん! もうやめてください」

「それ以上やると、こちらも相応の処罰が必要になります」


 運営の人たちだ。

 とっくに冷静になっていたんだけど、とりあえず狂気を装っておくべく睨むけど。

 二人が僕を取り押さえようとするから、狂気はやめて冷静だと告げることに。


「魔族の人が言っていました」

「何を?」

「心を折るのだと」


 惨状を目の当たりにして「やり過ぎです」とは言ってるけど、六人組がアイナに攻撃した事実があることで、僕に対して二か月間出入り禁止の処置で済ませるそうだ。


「それとギルド職員を攻撃したので、彼らは全員出禁とします」


 本来であれば冒険者の助けになる存在。この世界の窓口でもあるわけで。それを殺害しようとした以上は、厳しい処分を下さざるを得ないそうだ。

 この世界で僕らが活動する上で、ギルド職員の身の安全は地球側が保証する。絶対に危害を加えられないようにすることで、ギルド職員は安全に行動できるらしい。

 それが脅かされたわけで。


「それにしても」

「この連中、レベル四十以上はあるんですがね」

「つくづくヒロトさんは」


 大物食いだそうで。しかも圧倒した上で制圧してしまう。強過ぎるそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ