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Sid.43 今後の攻略方針を決めた

 一旦立ち止まって下るか戻るか話し合うことに。


「今のペースでマッピングしながらだと」


 時間ばかり掛かって進みにくい。もし二階層のモンスターが強過ぎた場合、帰還用アイテムを使うことになりかねず。一階層毎に使っていたら幾ら金があっても足りない。


「そこでだ、支洞もある程度調べておきたい」


 一階層のモンスターに何が出てくるかは分かった。僕の魔法が調整可能となれば、少なくとも一階層に於いては無理な攻略にはならない。

 マッピングに慣れてもらうことも含め、当面は一階層を調べ尽くす。

 今後の方針としてマサが提案して来る。


「ここは無理せず段階を踏んで攻略する方がいいと思う」


 マッピングがスムーズにできるようになったら、二階層以降へ進めばいいと慎重さを見せるマサが居る。

 僕もそれに賛成だけど、フラウとヴィーラも賛成のようだ。


「じゃあフラウが慣れるまでは一階層で」


 二階層以降はマッピングに慣れてもらってからとなった。

 フラウを見ると「これ、慣れるのかなあ」なんて言ってるけど。でも僕がマッピングしてるとリスクが上がるし。そもそも攻撃をする際に、せっかく作成したマップを放り出すことになりかねない。緊急時に受け渡しなんて無理でしょ。下手すれば燃やすだろうし。

 だったら難しくともフラウに慣れてもらった方がいい。

 あれ、でも。


「一階層程度ならマップって売ってないんですか?」


 僕の言葉に視線が集中するけど。


「マップって売ってないんだよ」

「ないんですか?」

「売買しない方針だからな」

「え、でもあれば楽になりますよね」


 後続が楽にはなると言うマサだけど。


「最初にマップを作る人は?」

「ああ、そういうことですか」

「俺らも苦労してるわけだ」


 思うように先へ進めず戦闘は度々発生する。戦闘を熟せばレベルは上がるし、稼ぎにも繋がるとはいえ苦労してるわけで。

 そうなれば高値で売りたいと思うだろうと。


「しかしだ、高額なマップを誰が買うのかって」


 洞窟探索で帰還アイテムに多額の金を払う。更にマップ代もとなると、多くの冒険者は結局マップを自力で作成すると言う。


「まあ、やるなら慈善事業のつもりじゃないとってのが現実だろ」


 善意で提供する人は居ないってことか。

 ちょっと残念に思うけど確かに苦労してるし。マップ作成に命懸けってのもどうかと思うのもあるのか。


 話し合いが終わると引き返すことに。


 来た時と同様にモンスターと遭遇するけど、魔法の調整も慣れてきて反射的に対処できるようになってきた。

 こうなると一階層程度は楽に攻略できる。フラウがマッピングに慣れてくれれば、二階層に進めるようになるだろうけど、まだ要領が掴めて無いみたいだ。

 空間認識能力の問題だと思う。得手不得手はあるわけだし、本来であれば得意な人がやった方が効率はいい。僕らだと人数が少ないから無理だけどね。


 出口まで辿り着くと二時間半は経過していたみたいで。松明は最初の二本が途中で燃え尽きて予備も使った。出口に向かうだけだから僕の視界を頼りに進んだけどね。

 暗視魔法は一度使うと相当長く効果があるようで。二時間半程度では問題無し。洞窟を出る際に魔法をキャンセル。

 外に出ると眩しいようで、みんな目を細めてた。


「かなり時間掛かったよね」

「帰りは間違いが無いか確認しながらだったし」

「修正もできたから次は支洞だな」


 洞窟の前に居た守衛らしき三人だけど「どこまで進んだ?」と聞かれ二階層の階段前まで、と言うと「まあ初めてならそんなもんだな」と言われる。

 他の冒険者はどうだったのかと聞くと「似たようなものだ」だそうで。時々帰還できない冒険者も居るらしい。


「無事に戻って来れたなら、実力はそれなりってことだな」


 二階層以降に進むなら松明は予備をもっと持った方がいい、と言われた。多くは明かりを失うことで迷子になり脱出できなくなるらしい。完全な闇ではないけど薄暗さが時に命取りになると。視認し難いからモンスターの不意打ちを食らうそうだ。

 僕は不要みたいだけどマサたちには必要だし、予備は多めに持つに越したことは無いのか。まあ安価だし四本あればいいのかな。今は最大でも三時間半程度しか居られないし。

 アドバイスを受け礼を言って離れるけど、守衛らしき人たちがちょっと驚いてた。


「お礼の言葉を言う人って」

「居ないんだろうな」


 だから驚かれたと。


「この世界の住人を下に見る冒険者ばっかりなんだろ」

「冒険者って強くなれるから、図に乗るんだと思うよ」

「礼儀は基本だと思うんですけど」

「そんな考え方ができるってのも育ちの良さか?」


 ギルドに着くと受付カウンターに向かい、今日の成果を出して並べるけど。


「ヒロトさんが来ると一回で処理しきれないんです」

「え、でも他の」

「どれだけたくさん相手してるんです?」


 どの冒険者も同じ時間であれば、僕らが持って来る量の三分の一程度らしい。

 そうなるとマサたちが僕を見て「モンスターに愛されてんなあ」なんて言ってるし。愛されてるじゃなくて、目の敵にされてるの間違いだと思う。

 意地でも倒そうと躍起になるんでしょ。


「行くんですよね?」

「え」

「またキスしに」

「えっと」


 アイナが口にすると「行くんだろ」とか「愛を育んで来るのね」なんてマサたちにも言われる。

 言われると照れるけどマリッカには会いたい。アイナの不機嫌そうな顔を横目に、教会に行ってきますと言うと「どうすればヒロトさんを落とせるのかなあ」と、カウンターに肘を突いて僕を見つめてるし。


 冷やかされながらもギルドを出て教会に向かう。

 教会に着くと中に珍しく冒険者が居る。しかも祈ってるし。

 足を踏み入れるとマリッカが気付いて会釈してる。傍まで行くと「祈りを捧げ終えるまで少々お待ちくださいね」と言われた。


 五人組のようで前衛二人と後衛三人かな。明らかに魔法使い風の人も居る。うちにも魔法使いが居た方がいいと思うけど、新たに魔法使いだけ募集して来るのかどうか。

 今は僕が魔法使いの役割だけど、これだと剣が上達しないし。せっかくの魔法剣士なのに剣がまともに使えないんじゃ意味がない。


 祈りを終えると僕を見て「あ、噂の魔法剣士」とか口にする人が居る。そうなると五人とも僕を見て「強そうに見えないよなあ」とか「レベルより強いって本当かな」とか「シスターを助けたり門衛を助けたって」なんて言ってるし。

 見た目では弱そうなんだろうな。厳つい顔してるわけでもないし、筋骨隆々な体格でもない。


「祈りが済みましたら祭壇前を空けて下さると」

「あ、ああ」


 とりあえず寄進はするようで銅貨を手渡してる。額が少ないとは思うけど気持ちの問題らしいし。渡されると「神のご加護がありますように」と言うマリッカだ。

 この人たちに、たぶん加護は授からないと思う。

 寄進が済むと僕をまた見てるし。


「あのさあ、シスターを助けたとか、門衛を助けたって聞いてるけど」

「事実ですよ。冒険者に連れ出されそうになり助けられました」


 僕が答えるより先にマリッカが答えてる。そうなるとマリッカを見て僕を見て「へえ、それって惚れてんのか」なんて言い出す。そうだけど。


「ヒロトさんは下心で助けて下さるわけではありません」

「でもさあ、惚れてんなら助けるよな」

「門衛の方にもですか?」

「あ、いや。あっちは男か」


 お人好しなのかと言いながら「加護持ちねえ」なんて言って教会を出て行く面々だった。

 追加で「チートかよ」と嫉妬もありそうな。他の人も「何が条件なのかな」とか「シスターに惚れると授かるのか」なんて言ってるし。


「お気になさらずに」

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