表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/64

Sid.26 心配を掛け過ぎたようだ

 アイナに心配掛けたけど冒険者だし本体は死なないし。

 とは言え、泣くほどにつらい想いをさせるなら、もう少し考えて行動した方がいいのか。

 アイナが僕を見つめて「もう無茶しないでください」だって。

 仲間を募り無理のない範囲で冒険して欲しいそうだ。担ぎ込まれるのを見ると痛々しくて胸が張り裂けそうだと。愛されてるのかなあ。


「でも仲間って」

「待っててもらいました」

「じゃあ」

「ただ、タイミングが合わないので」


 僕が来るタイミングと応募してきた人たちと、上手くタイミングが合わないから、顔合わせやメンバー登録ができないそうだ。

 ああでも、僕も来月までは来れないな。今回向こうで余計な出費があったし。


「来月の第一日曜日の午後二時なら」

「そう伝えればいいんですね」

「お願いします」


 伝言しておくそうだ。

 因みに全員レベル二十だから、無理をさせないよう森の探索に留めろと。

 神殿はレベル二十五以上で揃ってからだそうだ。それと中ボス戦はレベル三十まで控えるようにとも言われた。

 僕の能力と一般のレベル二十五は違い過ぎるそうで。これも神の加護のお陰か。


「あとですね、前回の分ですが」


 大量の金貨と銀貨。十ベリキと二十スレブロだけ受け取り、あとは全額当座預金に預けておく。

 このあと武器屋で新調したいし。前回の戦闘で防具が破損してるから。ぼっこぼこになって、これだと役に立たないでしょ。


 さて、残り四十分程度。まずは武器屋に行き装備を入手し、教会へ行ってマリッカに会っておきたい。


「教会に行くんですか?」

「あ、えっと、そう」

「あたしじゃ駄目なんですか?」

「駄目じゃないですけど」


 アイナも充分魅力はあると思う。でもマリッカはそれ以上なんだけど、それは口にはしない。

 誰であれプラトニックな関係性しか持てないし。

 あ、でも転生とか言ってたっけ。仮にできるとしても、する気はないけどね。文明レベルに差があり過ぎる。


「生涯プラトニックでもいいんですか?」

「キスとか触れ合うくらいはできます」


 なんか欲求不満になりそうだ。


「あれ、無いんですけど」

「転生」

「眉唾なんですよね」

「ヒロトさんなら大丈夫です」


 何それ。神に認められたから?

 とにかく、その話はいずれ、としてギルドをあとにする前に。


「アイナさん。手をここに」


 カウンターに手を置いて、と言うと素直に応じ手を置いた。

 そこに僕の手を重ね指を絡めると「ヒロトさん、ずるいです」だって。暫し指の絡め合いをしていたけど、時間が無いからってことでギルドを出た。

 なんかアイナも可愛らしいなあ。


 先に武器屋へ行くと「もう壊したのか」と言われた。

 手形を振り出し防具を新調。後日取りに来ることに。すぐに武器屋を出て教会へ向かうけど、残り時間は十五分程度しかない。

 教会に行くとマリッカが祭壇の前に居た。僕に気付くと駆け寄ってきて「聞きました。酷い状態だったのですよね」と言いながら抱き締められてるし。

 マリッカの感触が伝わってくる。いいなあこれ。


「ヒロトさん。あまり無理はしないでくださいね」

「でもこうして戻って来てます」

「それでもです。痛みはあるのでしょう?」

「今回はかなり酷かったです」


 幾ら神の加護があると言っても、限界はあるのだから無理せず、分相応な冒険を心掛けてくださいと言われてしまった。

 レベルの上昇に伴い加護も高度なものになるそうだけど。


「あとですね、お話が」

「えっと、すみません。今日は時間が無いんです」


 眉尻を下げてがっかり感が凄いな。


「次はいつ来られますか?」

「えっと、来月の第一日曜日」

「仕方ないとは言え待つしかないのですね」

「ごめんなさい。次はしっかり時間取るので」


 抱き締められていたけど離れると「寄進は不要です」と先に言われた。

 するつもり満々だったんだけど。


「あの、じゃあ二スレブロだけでも」


 困ったような表情を見せるけど、手を取り小銀貨二枚を載せると「神の寵愛を受けられますように」と違う言葉を言われた。

 神の加護はすでにある前提なんだ。


「ではお時間も限られているようですので」


 そう言って顔を近付けると、またも僕の唇にマリッカの唇が覆い被さった。

 きっと本気で僕を好きなんだろう。僕もその気になっちゃう。でもこの体じゃなあ。

 先は無いんだよね。今はこれでもいいけど、先々これだと煩悩の塊みたいな僕にとって、ちょっとつらいかも。


「ヒロトさん」

「はい」

「次回、必ずお話ししましょう」

「分かりました」


 教会の外まで見送られギルドに戻る。

 ちょっと浮足立つって言うか、やっぱり好かれてると嬉しいなあ。


 ギルドに戻ると残り時間は五分を切ってた。

 アイナにあいさつだけして待機室へ。そこでリコールし日本に戻る。


 来月まで長いなあ。

 バイト代、早く欲しいし夏休みが待ち遠しい。


 大学に行くけど友だちって、高校までと違って簡単にできない。高校でも友だちと呼べる人は居なかったけど、輪を掛けてぼっちだ。入学して以降、誰とも会話してない。まさか四年間、ずっとこんな状態ってのもなあ。やっぱあれかな、サークルとか入らないと難しそうだ。

 でも入ったら入ったで時間を取られるし、費用もそれなりに掛かるだろうし。


 いいや、今は考えない。


 大学とバイトで暫し過ごすと待ちに待った日曜日が訪れる。

 玄関で靴を履き母さんに「いってきます」と告げると。


「帰りに牛乳と納豆と大根買って来てね」


 また買い物頼まれたし。まあいいけどね。バックパックを背負い家をあとにする。

 アーススパイアホールに到着し異世界へ旅立つ。


 いつものスタッフが居て「レベルの確認はしますか?」と聞かれた。

 神殿に行ってからレベルの確認してなかった。


「お願いします」

「ではこちらへ」


 久しぶりだなあ、この感覚。


「凄いですね。ぼろ雑巾のようになって担ぎ込まれて、もうこれですか」


 レベル三十だって。中ボスをソロで倒したからレベルの上昇が凄いんだ。

 それと新しい魔法を習得できる。受付でガチャを試してください、だって。前回は使えない魔法を習得したと思ったけど、レベルの上昇で巨大な石像を転がせるほどの威力だった。

 意外と使える魔法になるってことが分かったし。


「優れた魔法を習得できると良いですね」


 あまり期待はしないでおこう。どうせレベル次第だろうから。

 待機室を出て受付に行くとアイナの様子が。


「なんか怒り気味ですね」

「怒ります、当然です」

「心当たりが無いんですが」

「あるはずですよ」


 唇を尖らせ「したんですよね、マリッカと」と言われる。なんで?


「あんまりにもマリッカが浮かれてるんで問い詰めました」


 執念深いなあ。


「あたしともしてください」

「いや、あの」

「さあ、ブチューっと」


 そう言いながらカウンターに身を乗り出して、唇を突き出し求めてくるアイナが居る。なんか怖い。


「ここだと人目が」

「知りません構いません遠慮は要りません」

「い、いや、あのですね」

「あたしとはできないんですか?」


 散々心配掛けて残業までして待って、愛する気持ちは本物なのに、扱いに差があり過ぎると文句を言ってるし。

 これはしないと収まりがつかないかも。でもなあ、節操がないと思うんだよね。


「早くしてください」


 唇を尖らせて目を瞑り待ってるよ。

 軽く触れる程度でもいいか。と思って唇を重ねると僕の頬を手で押さえ、濃厚なキスになってしまった。体感で二分くらいは重なっていたような。

 少しして背中越しに「お盛んなんですね」と誰かに言われた。


 振り向くと女性が二人と男性が一人、呆れた感じで見てる。

 アイナも気付いて、ばつが悪そうだけど「応募してきた人」だって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ