表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/64

Sid.10 異世界でモテ期が到来か

 魔結晶を見ただけでわかるんだ。

 青い五百円玉サイズの魔結晶は、なんと十二ベリキで買い取ってもらえた。日本円で九万六千円だよ。それだけ危険なモンスターってことなんだろうけど。

 赤い魔結晶が五個で十ベリキとなり八万円。緑の魔結晶が二個で十二ベリキとなって九万六千円。

 今日一日で二十七万二千円の稼ぎだ。金貨が一枚混ざって出てきた。単位はクルタで一クルタ十六万円ってことらしい。

 もしかして装備品とか買えるかもしれない。他にアイテムとかあれば、それも考えたいし。

 受付嬢が真顔になって聞いてくる。


「魔法剣士ですよね」

「そうです」

「じゃあ、魔法剣士は強いのですかね」

「分かりません」


 スタッフによれば成り手が居ないジョブと言われた。もし強いなら魔法剣士を選ぶはず。でも成り手が居ないってことは弱い、と思われてるからだと思う。

 新人レベルの冒険者が一日で中堅冒険者並の稼ぎ。


「しかもソロで行動してますよね」

「仲間、あ、そうだ。誰か応募してきてませんか?」

「まだ居ませんよ」

「ですよねえ」


 一日で集まる程甘くはないってことで。


「レベル五の実力ではないのは確かでしょうね」

「そうなんですか?」

「レベル五が二人居てコバロルムを倒すのがやっとです」


 知らなかった。レベル五で二人じゃないと倒せないのか。

 ソロで倒した僕って実はめちゃ強い部類?


「実はレベル十五くらいなんじゃないですか?」

「そうであれば嬉しいですけど、でも計測結果が」

「ですね。おかしいですよ」

「そう言われても僕にもわかりません」


 急にカウンターに身を乗り出し顔を近付けてくる受付嬢が居る。

 顔近いってば。この人も容姿は悪くないけど、なんか不愛想なんだよね。僕に対して少し冷たい印象があったし。無関心だったのもあるんだろうけど。

 ぼそぼそっと耳元に話しかけてきた。


「怪我しましたよね?」

「あ、はい」

「治療は教会で?」

「そうです」


 腕組みして「神の加護を授かったのかも」とか言ってる。

 本当にあるの?


「あるんですか?」

「あくまで噂レベルの話ですけどね」


 教会で治療してもらい寄付をして、神に祈りを捧げることで祝福を得ると。それがあれば一度は致命傷を回避できる、なんて噂があるらしい。

 試した人も居たそうだけど所詮は噂だったと。何ら加護もなく死亡したそうで。ゆえに、そうであればいいな、程度の話になったそうだ。

 そもそも冒険者は教会で治療なんてしない。その理由は完治しないからだけど。


「すぐに冒険に出たい人はギルドで治療しますからね」


 リコールしている間に治療は済まされ、ソウルシフトした時点で完治しているそうだ。

 治っているからすぐに冒険に出ることができる。


「でも最初に来た時は教会に行ってないです」

「あ、そう言えば」


 またも腕組みして考えてる風だけど、そろそろ二時間経過しちゃう。戻らないと。


「あの、時間なので」

「もう二時間? 次回、また話を聞かせてください」


 少し興味を持たれたのか。


「あの、戻りますんで」

「次回お待ちしてます」


 二時間って短いな。四時間くらいじゃないと遠出できない。

 でも、遠出したり魔王退治とかって、二時間とか四時間じゃできないと思うんだけど。みんなどうしてるのかな。

 スタッフの人に聞いてみよう。

 待機室に入るとスタッフが居て聞いてみると。


「四時間枠を二回とかですね」

「取れるんですか?」

「高レベル冒険者特典です」


 レベル三十を超えると四時間取って、三十分から一時間程度の休憩を挟み、また四時間取れるそうだ。

 元の体も意識がない状態に慣れてくる。アバターも長時間活動可能になる。

 他の町へ出向いて、その町のギルドでリコールできるから、スタート地点も異なるわけだ。

 また別の町からスタートすることも可能。一度行っていれば、の話らしい。


 行動範囲が広がれば様々な町をスタート地点に選べる。今はまだ駆け出し冒険者ということで、この町周辺を散策するのが良いそうだ。

 いずれの話ってことで。


 リコールして元の世界に戻り予約を入れるんだけど。

 試しに四時間で取ろうとしたら、エラーが出て予約できなかった。エラーメッセージも初心者は受付できません、だって。

 まだ馴染めないからか。


 後日再び二時間枠で異世界に来る。


 待機室でレベルアップ可能かどうか先に確認することに。


「レベルですか?」

「はい」

「前回レベルアップしてますよね」

「でもオクタプレヴロを倒したんで」


 ならばレベルアップしている可能性はあるそうで。

 レベル・インプルーブメント・デバイスを使うと。


「凄いですよ。もうレベル十です」

「え」

「史上最速でレベルが上がってますね」


 因みに四千円取られた。次はレベルが五上がるごとに四千円掛かるそうだ。

 タグを渡してくれとなって渡すと、別の部屋に行き戻ってきて「おめでとうございます。スカラーCランクです」だって。

 凄い勢いで駆け上がってる。


 スカラーBランクまで行くと中堅冒険者扱い。一歩手前まで来てる。たった三回来ただけなのに。今回で四回目でしかない。


「過去に類を見ないですね」


 何が起こってるのか、どうして低レベルで高レベルのモンスターを倒せるのか、リコールしている間に調査したいと言い出した。

 この体を調べたいってことだよね。なんか嫌だ。でも必要となれば強制してでも調べるんだろう。

 一応、今日終わったら調べてもいい、としておいた。


 待機室を出て受付を見ると笑顔で手招きしてる。前と違い過ぎるでしょ。

 仕方なく受付に行くと「レベル上がりましたか?」と聞かれ、タグを見せると仰天してるし。


「スカラーC?」

「なんか、そうなりました」


 レベルを問われ答えるとまたも仰天。

 額に汗を浮かべながら「例外中の例外ですね。今まであなたみたいな人は居ませんでした」だって。


「ここに手を置いてください」

「え」


 カウンターに手を置いてくれと言われ、素直に応じて手を置くけど、何がしたいんだろう。

 なんて思っていたら受付嬢が上から手を被せて来た。


「あ、あの」

「大きくはないのに強いんですね」

「いえ、あの」


 見つめてくるその瞳は潤んでいて、恋愛経験のない僕でも勘付く何か。


「一緒に食事、と思いましたけど食べないんですよね」

「えっと、はい」

「二時間しかないんですよね」

「は、はい」


 誘われてるのかもしれない。でもこの世界の人と恋愛関係になっても、先へ進むことはできない。だから意味がないしプラトニックな関係にしかならないでしょ。

 それでいいのかなあ。


「あの、僕は異世界人ですよ」

「知ってます」

「この体も」

「そう、なんですよねえ」


 残念そうな表情を見せる受付嬢だけど、僕の目を見て「私はアイナって言います。ヒロトさんですよね」と、手を掴んで自分の胸元に引き寄せてるし。

 ねえ、これって惚れられたの?


「とっても残念ですけど、でも精神的な繋がりだけでも」

「あ、あの。僕は恋愛に興味ないんで」

「寂しいですよ。ずっとこっちに居られないんですよね」

「無理だと思います」


 思いっきりため息吐いて「どうしてヒロトさんは異世界人なんでしょう」なんて言ってるし。

 強い人って魅力あるのかな。この体が強いのであって僕自身、元の体は平凡なんだけどなあ。この体は所詮作り物だし。思考だけが自分のもので。

 でもモテるってのは悪くないと思えた。


「外に行きたいんですけど」

「あ、ごめんなさいね」


 いってらっしゃい、と笑顔で送り出された。

 急なモテ期到来ってのもなあ。この体じゃなければ歓迎したかもしれないけど。現実の僕だと好かれないよね。ぼっちだし。


 門を抜ける際にセヴェリさんに挨拶された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ