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Sid.102 広大な空間で群れと戦闘

 休憩を終えると階段を下りるんだけど。


「ヒロトヒロト」

「何?」

「あたしが先に下りて見てきてあげる」


 フレージアが先行し洞窟内の様子を見てくると言う。モンスターに攻撃されないから安全に探れるんだと胸を張ってるし。

 でも迷子になったりしないのかな。それを尋ねると「球根に戻ればいいだけだよ」だそうで。どこに居ても瞬時にポーチに収納している魔結晶に戻れるらしい。

 便利だなあ。


「じゃあ行ってくるね」


 そう言うと階段に向かい姿が見えなくなった。


「斥候もできるのか」

「便利だよね」

「懐いてるし」

「どこで妖精なんて手に入れたんだ?」


 マサは経緯を知らないから説明しておいた。


「住人の依頼なんてあるのか」

「誰も引き受けないみたいですよ」

「じゃああれか、住人の依頼を率先して引き受ければ」


 神の加護も得やすいのか、なんて言ってるし。僕を見てるから加護を欲しがるのはわかるけど、善意からの行動じゃないと得られないと思う。見返りを求めている内はねえ。打算で行動しても神には見透かされるだろうし。

 まあでも、やらないよりはやれば住人の信頼は得やすいかも。


「お金にはなりませんよ」

「でも信頼は得られるだろ」

「真面目に向き合えば」

「引き受ける以上は真面目にやるっての」


 どうやら今後は住人の依頼も率先して引き受けるようだ。フラウは教会で住人の治療をするみたいだし。住人と馴染むようにしていけば少なくとも、冒険者ってだけで嫌悪されることはなくなるかもね。

 暫くすると「ヒロトヒロト」と階段から響くフレージアの声。

 迷子にならず戻ってきたようで、傍まで来ると報告をしてくる。


「階段下りると、鳥の群れが居るよ」


 鳥って何と思い説明を求めると「人の頭を持つ鳥」だそうで。所謂ハーピーのような存在かもしれない。二対の羽を持ち四本の足があり、体は羽毛で覆われ人の顔を持つそうだ。なんか、この世界もモンスターは腕や足の数がやたら多いなあ。

 階段を下りた先は広大な空間になっていて、そこを飛び回っているそうだ。


「あとね蛇もたくさん居るの」


 足の生えた蛇だそうで。森で遭遇したような奴かもしれない。蛇に足があるならトカゲじゃないのか、と思うけど蛇に足が生えてるんだよね。

 そうなると対空戦と対地戦を同時にってことになる。まあ対空砲を浴びせることはできるし、魔法で足場を作れば飛んでいる敵も落とせるし。僕なら問題はないな。


「でね、広い場所の先に十一個洞窟があるの」


 そのうちの三つは見てきたそうで。


「曲がりくねっててね、曲がるとサソリが待ち構えてるよ」


 サソリとは言ってるけど四本脚のサソリらしい。それと巨大な鋏を四本持ち毒のある尻尾を持つから注意が必要だと。

 迂闊に進むと不意打ちを食らうのか。

 でも僕の場合は気配を探れるし不意打ちされることもないかな。

 フレージアの報告を聞き進んでみることに。


「じゃあ先頭は僕でみんなは後に続いてください」


 対空戦に関しては僕が受け持ち、地上戦はマサとユズ、それとヴィーラに任せることに。

 早々に階段を下って行くんだけど、これ、何段あるんだろう。


「フレージア」

「なになに?」

「階段って何段あるか数えた?」

「数えてないよ」


 だよね。フレージアは飛んでるから階段の数は関係無いし。


「暗いし滑りそうだし、やたら長いよなあ」

「百段以上あったりするのかな」

「行きはともかく帰りが大変そう」

「あの、ヒロトさん。あたし疲れちゃうんで」


 帰りのことを考えると憂鬱そうな面々だ。延々登り階段となるとね。

 一応数えながら階段を下るけど百段を超えてなお、まだ同じ数だけありそうだ。

 ぶつぶつ文句を言いながらも下るメンバーが居て、僕の周りを飛びながら話し掛けるフレージアが居る。


「ヒロトヒロト」

「何?」

「あたしも攻撃に参加していい?」

「みんなが危機的状況になったら」


 フレージアが倒してしまうと生命力は僕が得てしまう。他のメンバーのレベルアップを目指してるから、無力化だけで留めておいてと念を押しながら言っておいた。


「ねえ、まだ着かないの?」

「これ、何段あるんだよ」

「まだ先が見えてこない」

「ヒロトさん。疲れちゃいました」


 二百段を超えても先が見えない。この倍、いや、さっき倍と思った見積もりは甘かった。四百段はあるかもしれない。途中に踊り場があるから帰りは休憩を取ることも可能だけど。

 文句を言いつつも長い階段を下りる面々。

 そしてやっと階段が終わり広大な空間が眼前に広がった。


「広いね」

「地下にこんな空間があるんだ」

「飛んでるよ、鳥みたいなの」

「蛇も居るみたいです」


 数が凄まじい。地面を這う蛇の数だけでも百を超えてるし。鳥の数も百を超えてるようだ。一斉に向かってくるだろうから、乱戦にならないよう確実に削らないと。

 と言うことで僕が先行し突き進み、マサは後衛を守りユズとヴィーラが攻撃。


「じゃあ鳥は僕が落としますから」

「守りは任せろ」

「ヒロトヒロト。あたしは?」

「みんなの傍に居て」


 フレージアはいざと言う時の要になる。防御や攻撃が間に合わなくなったら、無力化してみんなの安全を確保してもらう。

 僕はソロの方が行動しやすい。


 階段前から一気に駆け出し蛇の群れに突っ込む。同時に衝撃波で吹き飛ばし、足場を作り蛇の攻撃を受けないようにする。

 足場を作ると対空砲の如くエルドクロットを放つ。ただ、足場は短時間で消えるから次々作って移動しながら攻撃をし続ける。

 時々メンバーの確認をするけど、マサが踏ん張り後方から魔法を放つユズとヴィーラだ。


 暇そうなのはフラウだけど、マサが怪我をするリスクは極めて高い。怪我を負ったら即座に治療してもらわないと瓦解するからね。


 僕が空中戦をしていると、ぎゃあぎゃあと喚き散らす鳥人間だ。超音波攻撃や突風攻撃に足の爪で直接攻撃もしてくるけど、どれも僕には通用しないようで。

 遠慮なく足場を作り魔法で攻撃していくと、開始十分程度で全滅したようだ。

 足場の上からみんなを見ると、数を前に苦戦しているようで忙しそうな。淡い光を放ちながら飛び回り、頑張れぇなんて声を掛けるフレージアが居る。


 加勢した方がいいのかもしれないけど、まだ大丈夫そうだし。蛇は空中に居る僕には手出しできないし。うろうろしながら僕を見て威嚇してるような。

 少しは加勢してもいいか。

 上から蛙化の魔法を使い次々蛙にしていく。あとでみんなで潰せばいい。


 マサを見ると攻撃を食らったようで、すかさずフラウが治療してるようだ。

 マサのレベルだと厳しい戦いみたいだ。ユズも疲弊しているようだし、ヴィーラも精霊を呼び出すのに制限がある。徐々に追い込まれる感じになってきてる。

 防御の要のマサが守り切れなくなり、体勢を崩すとフレージアが無力化をしたようで。

 いいタイミングで無力化してくれた。

 フラウに回復されるマサと座り込むユズにヴィーラだ。


 みんなと合流し蛙化の魔法を使い全部蛙にすると。


「ヒロト。なんだよあれ」

「空を駆けてた」

「ヒロト君って空飛べるの?」

「すごいです。ひらひら飛んでました」


 飛んでたんじゃなくて足場を作って移動してただけ、と説明すると「レベル六十ってすごいんだな」と感心するマサだった。

 どんな魔法なのかも説明すると揃って「便利そう」だの「ずるいなあ」だって。


「ヒロトヒロト。絶妙なタイミングでしょ」

「そうだね。よくやった」

「えへへへ」


 嬉しそうなフレージアだな。


「じゃあ、後始末ってことで、みんなで蛙を潰しましょう」


 疲れているようだけど蛙化には時間制限がある。たぶん。

 だから無理やり立たせて潰してもらう。

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