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少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
53/60

Ep.48

 自身が作り上げた『塔』の頂上でヒナタは思う。

 これに意味があるのかと。


(サクラちゃん、今思えばかっこよかったなぁ。アズキちゃんの気持ちにも気づきたかったなぁ)


 今までの自分を振り返る。

 そうしていると、目の前に一枚の紙切れが降ってきた。


(あ、そういえば思い出した。ヒカリちゃんにリリィちゃん、ウミちゃんにキヨちゃん。多分ヒビキちゃんやケイちゃん、マコトちゃんのことも忘れてたのかなぁ)


 それは、かつて忘れないようにとメモした紙だった。

 何が理由かはわからないが、思い出すことができたのだ。


「私も、そろそろ限界かなぁ」


 ヒナタは、自身の限界を悟る。

 すでに、下半身は『塔』と一体化していた。


「全部、壊さないといけないからね」


 やがて、自身の身体がどんどんと『塔』に飲み込まれていく。

 しかし、完全に飲み込まれる前に、すでにヒナタは壊していた。

 自身の運命をも。

 大きな亀裂が一直線に『塔』に入る。

 それは、『塔』と一体化していたヒナタにも入っていた。


「さよなら、ユイちゃん、ルゥちゃん、ノノミちゃん」


 別れを告げて、ヒナタは目を閉じる。

 直後、『塔』が大きな音を立てて崩れ去った。

 天にまで届かんとしていたその『塔』は、ヒナタの望みで消え去ったのだった。



 †



「ユイ!」


 外でルゥの叫ぶ声がする。

 やがて、自身の真っ暗な視界に、一筋の光が見えた。

 ルゥが、何やら道具を片手に、自身の埋まる場所を掘り出したのだ。


「助かった! ありがとう!」


 自身を助けてくれたルゥにお礼を言う。

 しかし、ルゥはその言葉を聞かず、走る。

 ユイもそれについていく。


「え……?」


 そこには、ノノミが血を出して倒れていた。


「なんで……」


 思えば、ユイの体には傷一つない。先程瓦礫の下敷きになったのにもかかわらずだ。


「なんでなんでなんでなんで!」


 ユイは取り乱した。

 ユイは彼女の能力を知っていた。

『自己犠牲』、ほぼ確実に、ユイを庇った結果だった。


「もう……死んでいる」


 ルゥが、信じたくないと言った表情を浮かべながら答える。

 しかし、これが現実なのだ。


「ああ、そうだよ、知らなきゃ。知らなきゃいけないんだ」


 ユイは力なくフラフラと、屋敷のあった方向へ歩く。


「ユイ……?」

「知らなきゃ……知らなきゃ……不安で夜も眠れない」


 ユイは、自身の変化に気づいていなかった。

 その涙は黒く染まっている。

 まるで、黒いスライムが目から流れ出たかのようだった。


「……わかった。私も行く」


 ルゥの声に、ユイは少し嬉しそうに頷く。

 すでに埋葬は終えていた。

 そうして二人は、屋敷のあった場所へと向かうのだった。

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