表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
26/60

Ep.23

「そろそろ時間もなくなってきましたし、最後にどこに行きましょう?」


 サクラの言う通り、もう裁判の時間まで一時間と少ししか残っていなかった。


「うーん、牢屋に行こう。ウミちゃんが居なくなる前にどんなことをしていたかのヒントがあるかもしれない」


 ヒナタの提案に皆は賛成する。

 そうしてヒナタとサクラ、アズキ、ユイの四人は、牢屋へと向かう。


「……どうも」


 牢屋にはすでにルゥがいた。


「あれ、ノノミちゃんたちは?」

「ノノミは体調が悪くなったマコトとキヨを介抱してる。ケイとヒビキはしらない」


 単独で行動しているルゥだったが、どうやらしょうがない理由があったようだった。


「それじゃあ撮っていきますね!」


 そんなことはお構い無しと、サクラは全員分の牢屋の写真を収めていく。

 撮り終わった後、サクラは一つ質問をする。


「アズキさん、折角剣があるのに持ち歩かないと思ったらずっと牢屋で保管しているんですね」

「あ、うん。怖いし……」


 殺人事件が二度も起こった上にスライムの騒動があった今、屋敷に住む少女はアズキ以外全員が剣を携帯している。


「それって今の今までずっとってことですか?」

「はい……」


 サクラの問いに、アズキは肯定する。


「なるほどなるほど、それが証明できれば今回の犯人はアズキさんではない、というわけですね! そして同じことがキヨさんにも言えそうです!」

「え、どういうこと?」


 それはなぜかとヒナタが聞く。


「今回の事件、明らかに刃物による犯行です! 刺し傷ならば極論鋭い木の枝でもできますが、今回のような傷では剣以外不可能です! つまり、ウミさんが居なくなってから一度も剣を持ち歩いていない人は犯人になり得ない、ということですね!」


 たしかにサクラの言うとおりであった。

 今回はほぼ確実に刃物による犯行と言えるだろう。そしてその場合、アズキが一度も自室から剣を持ち出していなければ、今回アズキは確実に犯人ではないと言える。

 そして、同じことがレクリエーションルームに剣を置きっぱなしにしているキヨにも言えそうであった。


「……」


 この時点で、ヒナタは薄々感づいていた。

 今回の殺人は、あのスライムではなく、人の仕業であると。


『まもなく、裁判が開廷します。みなさん、二階渡り廊下より、裁判所へと向かってください』


 クモからのメールだ。

 再び、裁判が始まろうとしていた。

 五人は、共に裁判所へと向かう。

 裁判所へ到着すると、すでに五人以外の全員が揃っていた。

 椅子と机の数は減り、合計十台となった机が少女たちを迎え入れる。

 そして全員が揃うと中央の空間の床が抜け、全方位見えるテレビが現れる。

 そこには相変わらず、クモのイラストが張り出されていた。

 そして、裁判所に声が響く。


『皆さん、揃いましたね。ルールは前回と同様、スマホのリンクから投票し……めんどくさいですね。どうせ全部わかっているでしょう? 見せたい証拠があれば机のコードとスマホを繋いでください。繋いでいある間だけ、この中央のテレビと画面が共有されます。それでは、山田ウミ殺人事件裁判……開廷です』


 クモの一言で、裁判が始まる。


「それではまず、状況の整理から始めましょうか!」


 ウミの代わりに、サクラが指揮を執る。

 そして、少女たちによる状況の整理が始まった。


「まず、死体発見場所は二階の物置部屋。第一発見者は私とヒナタさん、ルゥさんですね!」

「うん、そうだね」

「……合ってる」


 ヒナタとルゥは、サクラの言葉に賛同する。


「詳しい死因はわかりませんが、おそらくは出血多量だと思われますね!」


 周りの様子をうかがいながら、サクラは言葉を重ねる。


「しかし、死体はひどく損傷しているので正確な死因は判明しませんでした!」


 そう、サクラが締めくくる。


「そう……なら一つ聞きたいんだけど、ウミちゃんを最後に見たのは?」

「……それなら多分三日前の夜だと思います」


 そう発言したのはノノミだ。


「たしか皆で大富豪を遊んだ後、ウミさんは医務室でしばらくキヨさんたちと一緒に居ました。ワタシもたまに顔を出していたのですが、いつの間にかヒナタさんとキヨさん以外に誰も居なくなってましたね」

「ああ、あの時ですか。あのときはヒナタさんが気持ちよさそ~に寝ていたので、起こしては悪いと思ってそのまま放置していました! ウミさんは一番に出ていきましたが、やはり心配だったのかすぐ戻ってきましたね。私より先にケイさん達が出ていって、私とアズキさんが医務室から出た時にウミさんだけが部屋の中に居ましたよ!」

「サクラちゃん……私その後メールで怒られちゃった……」


 時系列で並べると、まず、ヒナタ達が医務室に集まる。

 ウミが部屋を出るが、やはり戻って来る。

 そして、ケイやヒビキはそのまま部屋を出る。

 その後、サクラとアズキが部屋を出て、部屋の中には寝ているヒナタとキヨ、ウミが残っていた。


「……私が起きたときには、もうウミは居なかった。代わりにヒナタちゃんが、私のベッドに潜り込んできた……」

「うう……ごめんなさい」


 キヨの言葉に、ヒナタは素直に反省する。


「ふむ、となると、ウミさんは私とアズキさんが見てからは、だれにも見られていない、ということですね!」


 結論はサクラの言う通りだった。


「じゃあ、ウミは三日前の夜か一昨日に殺されたってこと?」


 その結論に乗っかるように、ケイが問う。


「いや、それはないと思うよ」


 しかし、ヒナタから否定の言葉が出た。


「一昨日なら、私とサクラちゃん、アズキちゃんにユイちゃん、キヨちゃんで物置部屋で探し物をしてたからね」


 そう、それはラジコンを探しに行くと言いながら、ベイスタジアムが見つかった途端、今度はベイゴマを探し始めたあの日のことだった。


「ん? 何を探してたの?」

「あはは……ベ◯ブレードのベイゴマだよ。スタジアムが見つかったからあるはず! ってサクラちゃんが息巻いちゃって」

「その言い方だと私が子供みたいじゃないですか!」


 誰もが心のなかで子供でしょとツッコミを入れる。だが今はそんな事を話している時間はない。


「んで? 結局コマの方は見つからなかったの?」

「いや、見つかったよ。今日だけどね」


 一昨日には見つからなかったが、今日見つかった。これでサクラも満足するだろう。


「って、話がそれちゃってるな……とりあえず、殺されたのなら昨日だと思うよ。今日は朝一番に見つかったしね」

「たしかにそうなりますね!」


 ヒナタの結論に、サクラが賛成する。サクラ以外も、概ね反対はなさそうだ。

 そうして、裁判は真実へと近づいていく……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ