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少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
21/60

Ep.19

「おっはようござます!」

「ん……おはよう」


 朝になった。

 いつもの通り、サクラがヒナタを起こしに行く。

 そこには、もはや日常となった傍に控えるアズキに加えて、黒と緑の入り混じる髪が特徴的なユイが立っていた。


「サクラ……朝早い……」


 ユイは少し眠そうに目を擦る。


「あはは、まぁ早起きは三文の徳だよ」


 眠そうなユイにヒナタはフォローを入れる。


「そうですよ! 今日からは早起きです! それで、今日はどこに行きましょうか!」

「うーん、そうだな……あ、図書館とか行ってみる?」


 普段は活発なサクラとともにレクリエーションルームや庭に行ったりしているが、物静かな図書館にはまだ行っていない。


「うーん、あそこってあまりはしゃげない……」

「たまには行こうよ!」


 はしゃげないことにサクラは文句を言うが、ヒナタは意見を押し通す。


「大丈夫! きっと楽しいよ! ね、アズキちゃん!」

「ええ!? う、うん、楽しいよ」


 アズキへと会話のパスを送り込む。少々強引だが、賛成をもらうことができた。


「ユイちゃんもそう思うよね!」

「んあ? あ、うん?」


 いまにも寝てしまいそうだったユイは、思わずと行った形で賛成する。おそらく何も話は聞いていなかったが。


「ぐぬぬ、まぁ確かに、行ってみないとわかりませんよね」


 サクラも納得してくれたようだ。


「よし、じゃあ決まりだね!」


 そうして、ヒナタたちは図書館へ行くことが決定した。



 †



 食事を終えたヒナタたちは図書館に来ていた。どうやら中には誰もいないようだ。


「静かですね~」


 サクラが思わずと行った声を漏らす。

 だれもいない図書館はとても静かであり、独特な雰囲気をだしていた。


「……おおお」


 意外にも強く興味を示したのはユイだ。


「ユイちゃん本好きなの?」

「いや、まぁ……読みはするよ。自分から積極的にってわけじゃないけど」


 普段からレクリエーションルームに入り浸っている彼女だが、積極的ではないにせよ本を読むこともあるらしい。


「へぇ~」


 ヒナタは驚きつつも、とりあえず目に入った本を手に取る。

『運命』

 という本であった。


(どんな本なんだろう)


 ページを捲ると、挿絵とともに文字がたくさん書いてある。

 そこには、崖の上で白い犬とともに太陽を背にしている絵だった。


「んー、わからん」


 ひだりの挿絵の意味として、無邪気や自由、無計画などが記されている。そして、最後の一言には、

『汝は失わせる』

 と書いてある。

 しかもその文は明らかにあとから書き足されたものである。


「あ~、それ、愚者のカードじゃないですか!」


 うしろからサクラの声が響く。


「え? そうなの?」

「そうですよ! この絵柄は愚者のカードです! 意味も一致していますし……これは何でしょうね?」


 サクラにも、最後の一言が目に入る。


「『汝は失わせる』……これが能力、ということでしょうか?」


 サクラが、推論を披露する。


「私自身自分の能力がよくわかってないんですけど、もしかしたらそういう事が書いてあるんじゃないですか?」


 サクラがぺらぺらとページを捲る。

 そして、星のページでその手を止めた。

 そのページの最後の一言は、

『汝は安寧を引き換えに劣化を引き起こす』

 であった。

 愚者のページと同じく、明らかに書き足されたものだ。


「突然長文ですね! 詳しくてわかりやすいですが!」


 そしてその文は明らかに星のカードの能力を意味していた。


「たしかにサクラちゃんの言う通り、能力について書いてそうだね……」


 そしてヒナタは無意識に自分のカード……『塔』のページまでめくる。

 そこには、大きな塔が書いてあり、頂上には弾かれたかのような落ちかけている王冠が描かれている。

 そして気になるのは最後の文章。そこには、

『汝は全てを破壊する』

 と書いてあった。


「ヒナタさんがそんなことしますかねー?」


 その言葉は、サクラの正直な感想だった。

 そしてヒナタ自身も、その言葉が本当なのか怪しんでいる。


(私が全てを破壊する?)


 自分が本当にそんなことをするのか、本当にわからない。だが少なくとも今の自分がそんなことをするかどうかと言われれば、自信を持って否定できる。


「なに……みてるの?」

「おお、これ、ボクのカードについても書いてるかな?」


 そこにアズキとユイも加わる。

 そこからは、皆で全員の能力を確認した。


「うーん、この本のとおりだと、こんな感じですかね?」


 サクラが、己のスマホにメモしていた全員分の能力を見せる。


「え、こんなのメモしてんの? ボクのことも……しっかり書いてあるし」


 そこには、更新された各々の能力の推測が書いてあった。


 鳴神アズキ『太陽』は能力:生命力の上昇『汝、死なず老いずの生き地獄となる』

 清水キヨ『悪魔』は能力:拘束と誘惑『汝は人を縛りて、その意識を誘導するだろう』

 橘ヒカリ『死神』は能力:死『汝、人を殺すだろう』

 飛鳥井ケイ『恋人』は能力:感覚の共有『汝の体、他人と一心同体となる』


 ほかはすでに見ていたサクラの推測通りの能力であった。


「それにしてもこんな大事な情報がこんなところに……」


 ヒナタは思わず呟く。もしかしたらこの図書館は、このレベルの情報がごろごろ転がっているのだろうか。


「うーん、なんだか楽しくなってきましたね!」


 サクラは新しい情報に出会えて、テンションが上ってきている。


「最初はあまり乗り気じゃなかったくせに」

「過去は過去、今は今ですー!」


 ヒナタがいじるが、サクラは言い返す。いや、言い訳と行ったほうがいいだろう。

 そんなこんなでいろんな本を読み漁っていた。殆どは大した情報がなかったが。

 そして無我夢中で読み漁っていた四人は、時間の経過に気づけなかった。


「ありゃ、もうこんな時間」


 図書館の時計を見ると、もうすぐ六時になりそうだ。一応昼食は食べたとはいえ、おなかもそろそろ空いてくる。


「だれか……いたいた!」


 そんな四人に、声を掛けるものがいた。ルゥとノノミ、マコトの三人である。


「あれ、どうしたの?」

「……ウミのこと、知らない?」


 三人によれば、ウミが昨日からずっといないらしい。少なくともこの屋敷全体を探し、最後に図書館に来るところだったようだ。


「うーん、知りませんねぇ。外でなにかあったのでしょうか?」


 屋敷内にいないとなれば、残るは外だ。しかし、こんな広大な外を捜索するとなると骨が折れるだろう。


「わからないけど……教えてくれてありがとう」


 ルゥは感謝を示し、図書館を立ちる。


「なにかあったのかな……」


 そんなルゥたちの背中を見て、ヒナタは嫌な予感が拭えないでいた。

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