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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監
第二章 再起と発展

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2-32 ケントの世界 その二十

 午後四時過ぎになって、俺が待機している部屋に宰相の使いが来て、会議場に来るよう要請された。

 俺はローワン魔法師と共に、その従者について行き、会議室へ着いた。


 そこには既に6名の貴族が居た。

 そのうち三人は顔見知りだ。


 まぁ、俺の風体を知っているのは廊下ですれ違った公爵だけのはずだが、他の二人は

 フリーデル子爵とカッスラー伯爵の二人で、バウマン侯爵は、未だ到着していないようだ。


 時間も早いしね。

 まだ、4時を少し過ぎたあたりであり、公爵が来るのが早すぎるんじゃないのかな。


 俺は平民だからな。

 此方からお貴族様に挨拶なんかには行けんのだ。


 おそらく会議の席上で、宰相から紹介される筈だから、それまでは隅っこで目立たないように待機しているしかない。

 だが、案内役の従者は、俺を上席の背後にある椅子に案内しやがった。


 残念ながら居場所が指定されてしまえば、隅っこに控えているわけにもいかないよな。

 仕方がないので言われた通り、そこに座っている。


 仮面をつけた不審者がいるわけだから当然に目立つよなぁ。

 今日の会議には警護に当たる近衛騎士も多いんだ。


 全部で12名の近衛騎士が今の段階で会議場内にいる。

 これに王族が加わると、さらに警護の騎士が増えるに違いない。


 まあね、百人以上も入って宴会が開けそうなほど大きな広間だから、多少の人数が入っても問題はなさそうだけれど・・・。

 因みにテーブルがある席は全部で30席近くあるな。


 招集をかけた貴族の人数と、王宮側の出席者の数なのだろうな。

 因みに上席と思われる椅子は8つほどあるんだが、国王陛下の参加は確定として、姫さんに宰相、後の5人は誰なのかな?


 昨日の打ち合わせでは、出席者についての詳細の話は出ていないんだ。

 或いは、真贋審理官と言う人の席も上席に在るのかもしれないな。


 開会の10分ほど前には、貴族側の顔ぶれは揃ったようであり、その中にバウマン侯爵も居た。

 生憎とそれ以外で知っているような貴族は居ない。


 それから間もなく、上席に座ると思われる人物が宰相を先頭にやって来た。

 宰相の次に入って来たのが、アインハルト第一王子、次いでディール第二王子なのかな?


 アインハルト王子よりも若い人物であり、第一王子と同様に煌びやかな衣装を身に着けているからそうじゃないかと思う。

 次いで、顔なじみのエルヴィーラ第三王女だな。


 因みに、第一王女と第二王女は、既に嫁いでおり、王宮には居ないらしい。

 確か妹さんの第四王女が居るとは聞いているんだが、・・・。


 次に入って来たのは僧侶のようなフード付きコートを羽織っていて、フードにはベールがついているので人相が分からない人だった。

 この人が真贋審理官なのだろうが、小柄だな。


 若しや、女性か?

 その人を最後に一旦ドアが閉められた後、少し経った後で、入り口付近の扉に付いていた従者が大きな声で言った。


「国王陛下のお出ましです。

 皆様、ご起立願います。」


 全員が起立したのを確認して、ドアが開かれた。

 王冠を被った国王陛下と思しき人物が最初に入り、その背後に完全武装の5名の近衛騎士が入って来た。


 うん、何だか物々しいよね。

 いつもこうなのか、それとも今回が特別なのか?


 門外漢の俺にはわからん。

 国王陛下が上席中央の席に座ると、侍従が言った。


「皆さま、ご着席ください。」


 俺を含めて出席者全員が座ったが、今入って来た近衛騎士5人は、国王陛下の背後に立ったままである。

 そうして、以前からこの広間に居た、近衛騎士達も立ったまま警護に着く様だ。


 俺の席からは、国王陛下の背後に立つ5人の騎士たちがある意味で障害物になるんだが、文句を言える筋合いじゃないよね。

 全員が座り終わると、上席の右端に居た宰相が立ち上がり発言した。


「本日は急な招集にもかかわらず、皆様にはお集まりいただきまして、まずは厚くお礼を申し上げます。

 実のところ、このハルマンド王国にとって非常に重大な事実が判明しましたので、皆様にお知らせ申し上げるとともに、その対策について国王陛下の御前で話し合うために、召集々した次第でございます。

 なお、今回は、特に微妙な判断を委ねることにもなるかと存じまして、真贋審理官の御出席も賜っております。

 真贋審理官は、人に顔や容姿等を知られぬために、姿を隠し、顔も隠しております。

 また、この会議に真贋審理官が出席された事実も対外的に絶対の秘密とするようお願い申します。」


 出席した者が、多少ざわついたが、宰相は続けた。


「まずは、重篤(じゅうとく)な病に臥(ふ)せっておりましたアインハルト殿下が快癒(かいゆ)され、本日の会議にも出席を賜りましたことを皆様にもご報告申します。

 なお、アインハルト殿下の難病を治癒したのは、とある遠方の地より参られた聖職者にございますが、故有って、顔を隠し、またその名をも申し上げられませぬ。

 然しながら、王都の高名なる聖職者によっても治癒できなかった難病を見事に治癒なされたその能力は秀逸のものでございます。

 或いは既に王宮の噂話などから気づかれたかと存じますが、私どもの背後に控える仮面の人物が、その立役者でございます。

 そうして、その人物がアインハルト殿下が毒を盛られたことと、今一つ、呪術による呪いをかけられていたことを看破(かんぱ)いたしました。

 どのように毒を盛ったのか、あるいは誰が呪術を行使したのかは、鋭意調査中ではございますが、当該毒の解毒を行い、また、呪いを解呪したおかげでアインハルト殿下も快癒したわけでございます。

 その上で、大事な話とは、この一件において、アインハルト殿下を亡き者にしようとした者が居るということであり、当該容疑者もここにおられる仮面の人物が探し当ててくれました。

 彼は特殊な能力により、その事実を証明できますので、これから彼にその証拠となるものを提示してもらいたいと存じます。

 その上でその証拠が本物であるのかどうかを皆様に判定していただきたいと存じます。

 では、お願い申します。」


 そう言って、宰相は俺を振り返って、手を揚げた。

 それが俺の出番だという合図である。


 問題は、この出席者の配置だよな?

 国王陛下の正面に向かって6名、右手に10名、左手に10名の貴族が居るんだ。


 どのみち誰かに後ろを向いてもらわねばならんからな。

 国王陛下が一番近くで見やすいように、俺の座っていた席の右側にスクリーンを出したよ。


 俺の脇に、突然に白いスクリーンが出たので、近衛騎士が一瞬剣を抜きかけた。

 が、害が無いとわかると抜くまではしなかったが、俺の方を睨んでいるな。


 うん、ひと声かけとけばよかった。


「では、私の方からご説明をいたします。

 まずは、大事なことですので、事前の準備をさせていただきます。

 まず最初に、この広間には結界を生じさせました。

 この中での話は、例えドアに耳をつけても声が外に漏れる心配はございません。

 今一つ、外部からの攻撃も内部からの攻撃も無効でございます。

 更に、明り取りの窓から見られる心配を無くすために、カーテンを閉めさせていただきます。」


 俺のその言葉で高さのあるカーテンが四つほど同時に閉まった。

 このままでは室内が暗いので、部屋の中央と四隅に光を配置したよ。


 シャンデリア程の煌びやかさは無いが、灯り自体はかなり明るい奴だ。

 出席者の皆が驚いているのは、姫さん達と同じだが、そう言えば姫さん達の時は明かりをつけなかったな。


 スクリーンも、何の支えも無く空中からぶら下がっているだけなんだが、気づいているのかな。

 立て続けに不思議なことが起きると、思考がマヒすることもある。


 或いはその状態に陥っているのかもな。

 それはともかく、プロジェクターは、テーブルで囲まれた中央空間の上に出現させた。


 そうして上映の準備が整った。


「さて、これからお目にかけるのは、とあるところで、とある時間に起きたことにございます。

 御目にかけた内容の意味は皆さんでご判断いただけるものと思っております。

 では始めます。」


 静まり返った、会場で上映が始まった。

 国王居陛下を含めて、上席に居る人は椅子の向きを変えねばならなかったんだが、それは勘弁してもらうしかないよな。


 近衛騎士は観客のために二名がその場でしゃがみ込み、三名はやや視界から外れるように移動したが、仮に右側若しくは左側からの刺客の襲撃が有ってもすぐに動けるように両方で警戒をしている。

 また、部屋の隅に居た近衛騎士達も国王陛下を守れるように新たなフォーメーションを取っていた。


 既に姫さんと宰相に見せた映像と音声であるが、ベイエル公爵とフリーデル子爵の会話が再生された。

 途中でベイエル公爵が騒ぎ出したが、魔法で彼の音声を奪ってから、敢えて言った。


「ご質問やご意見は、全てをご覧になった後でお伺いいたします。

 今は、どうぞ静かにご覧下さるようお願いします。」


 なおも立ち上がってこちらに向かってきそうな雰囲気であったが、近衛騎士がその前に立ち塞がると席に座り込んだ。

 まぁね、自分の関わった犯罪が明らかにされそうになっているんだから、何としても邪魔をしようとするだろうとは思ってた。


 フリーデル子爵の方はどうかな。

 うん、顔色が悪いよね。


 真っ青と言うべきなのかな。

 公爵が騒いだので、その間ちょっとだけ映像を止めておいたんだけれど、肝心なところなので、ちょっと前に遡って再度再生したよ。


 上映時間は、30分弱だけれど、誰もが黙って、見て、聞いていたな。

 ここは、画像も大事だけれど、音声が一番大事なんだ。


 公爵と子爵が何を言ったか、それが分かれば、疑惑はほぼ確定する。

 問題はその立証であって、真贋審理官の出番になる。


 俺に対する質問と、ベイエル公爵他三名への尋問だ。


 ◇◇◇◇


 プロジェクターの上映が終わった。


「皆様に見て聞いていただくのは以上です。

 宰相閣下、後をお願いします。」


「さて、只今我々が見聞きしたことが、真実なのか、それとも誰かが造った幻影なのかを確認せねばなりません。

 恐れ入りますが、真贋審理官、複数の方に確認をお願い申します。

 一人は、仮面を被った聖職者に対して、今、目の前で見せられたことが、幻影なのかそれとも実際に有ったことなのかを確認いただけましょうか。

 その上で、これが幻影ではないと確認された場合は、少なくともこの場で嫌疑を向けられているベイエル公爵とフリーデル子爵に対して、この会話は実際に有ったことか否かを確認願います。

 その上で、場合によっては、さらに二人の関係者への質問を願うかも知れません。」



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