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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監
第二章 再起と発展

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2-17 ケントの世界 その五

 カルヴィアでいつものとおり、冒険者、治癒師、錬金術師、薬師の仕事を続けているケントだが、とある日、耳よりの情報を仕入れたよ。

 領都ザッセンハイムの東南東にある未開地で、古代の遺跡が発見されたようなんだ。


 発見したのはザッセンハイムの冒険者ギルドに所属する冒険者のパーティのようだが、残念なことに特段のお宝は眠ってはいなかったらしい。

 ここでわざわざお宝に言及するのは、もう三十年以上も昔の話ではあるんだが、王都からかなり離れた山間部で古代遺跡を見つけた冒険者が、古代の遺物アーティファクト複数を見つけたことが有るからだ。


 当該古代の遺物は魔導具だったようで、既にその機能を失っている物ではあったのだが、王都で競売にかけられた結果、発見した冒険者パーティは、死ぬまで裕福に暮らせるほどの大金を手に入れることができたらしい。

 その所為で、一時期、古代遺跡探しがブームとなって、ケントの住んでいたグルヌベルヌ村にも多数の冒険者が入り込み、遺跡を色々と探っていたようだが、何もないことが分かるとすぐに潮が引くように誰も来なくなったとギラン爺さんから聞いたことが有る。


 古代遺跡に残る文字を読める奴が居ないからそうなってしまったわけだが、あるいはグルヌベルヌ村と同様に、隠し部屋なんかの情報がどこかに古代文字で残されているかもしれないな。

 そんなわけで、俺も少々興味を持ったので、宝探しと言うわけでは無いんだけれど、ちょっと足を延ばすことにした。


 王都ザッセンハイムまでは、道なりに進むと馬車で三日はかかるので、流石に俺の自由になる半日で戻って来られる距離じゃない。

 但し、街道を使わずに俺がそれなりの力を出せば、1日で到達できそうな場所のようなんだ。


 そんなわけで、カルヴィアの治療院を三日間臨時休業にして、俺は(くだん)の古代遺跡に(おもむ)くことにしたよ。

 馬車で行くよりも多分レベルと身体能力が爆上がりした俺が、自分の身体と転移魔法で動いた方が速く着けるんだ。


 今のところ、俺は、どちらかと言うと、色々な魔法が使えるものの初級に毛の生えた程度の魔法・・・、いや、もしかすると中級ぐらい?しか使えないからな。

 日々研鑽(けんさん)に努めてはいるから、徐々に力はついているとは思うんだが、できればより上位の魔法も使ってみたいじゃん。


 だから、グルヌベルヌ村の古代遺跡と同様に、なにがしかの情報が刻まれた石板なんかを発見出来たら良いなと願っているだけの話だ。

 くたびれもうけの骨折り損になるかもしれないが、何もしないよりはましだろう。


 そんなわけで、俺は道なき道を突き進んでいる。

 領都へ行く道はちゃんとした街道としてあるけれど、そんな道を俺がぶっ飛ばして走っていたら、目立つことこの上ないだろう。


 だからおおよその方角を定めて、ひたすら藪と森の中やその上空を、時折、転移魔法を駆使しながら駆け抜けているわけだ。

 流石に森の深いところでは、地面よりも、猿かターザン宜しく、枝の上を飛び跳ねて進んだり、(こずえ)の上に浮遊して転移魔法で距離を稼いだりしているんだ。


 残念ながら転移魔法と言うのは結構魔力を使うから、遠距離や連続での使用はいまのところ難しいので、適宜のインターバルで使っているわけだ。

 そんなこんなで、問題の古代遺跡には、カルヴィアを出発した日の日没時には何とか到着したよ。


 俺の場合は夜目も効くから、夜間に捜索活動を行うことも可能なんだが、強行軍でそれなりに疲れているから、ここで一旦はお休みだな。

 当然のことながら、ここには宿なんか無いから、野宿になるんだが、どちらかと言うと未開地の遺跡だから地上はやっぱり危ないよな。


 取り敢えず、最寄りの岩場に穴を掘って、その中で寝ることにしたよ。

 大きな岩盤に俺が入れるほどの穴を掘って、入り口を岩で塞げば簡易寝所の出来上がりだ。


 勿論、窒息したりしないよう空気抜けの小さな穴だけは数か所に空けているよ。


 ◇◇◇◇


 翌朝、日出後に寝床となった簡易寝所を出て、古代遺跡の調査を始めた。

 この古代遺跡、グルヌベルヌ村の近くにあった遺跡よりも規模が大きいんだよな。


 グルヌベルヌ村にあった遺跡は、精々村程度の規模なんだが、新たに発見されたこの遺跡は、多分、町程度の規模になりそうだ。

 領都の冒険者達がこの遺跡を発見してから、既に三か月ほど経っているので当然にめぼしいものは無いし、冒険者の姿も無い。


 まぁ、噂通り価値のない遺跡として放置されているのだろう。

 周囲の気配を探っても、周囲10キロ圏内にいるのは俺だけのようだ。


 魔物の気配は結構あるな。

 然しながら、魔物の方も遺跡には瓦礫(がれき)だけで餌が無いと知っているから近づいては来ないようだ。


 俺の能力でサーチを続けていると、とある場所で地下空間の存在が分かったよ。

 出入り口は、崩壊した石組みの建造物の下敷きになっているために、余程注意深く探らないとわからない。


 おまけに、入り口が隠し扉になっていたんだろうな。

 単に崩れた岩や土塊などを取り除いただけでは、地下の入り口を見つけることも難しいようだ。


 俺はその地下空間に手を付ける前に、遺跡の中にある古代文字をできるだけ読んで、関りのありそうな情報を入手して行くことにした。

 ここで見逃すと、次に何時来られるかどうかもわからないからね。


 壁画の古代文字や半分欠けたような石板等色々なものを見つけられたが、余り重要な情報らしきものは見つけられなかったな。

 察するに、この場所が古代の宿場町であったんじゃないかとは思うんだが、鑑定をかけても正確なところはわからないんだ。


 何せ鑑定をかけても出て来るのは、建物であれば建造年代が分かるくらいで、物の名前のところには古代遺跡としか出て来ない。

 尤も、街を治める代官のような存在が居たのじゃないかと思うんだが、他の建造物とは明らかに大きさの異なる屋敷跡があり、俺が見つけた地下空間らしきものは当該大きな屋敷跡のようだ。


 町全体の表面的に見える場所を調査した後、地下空間ある地上の瓦礫を取り除いてはみたが、生憎と地下部分に入る入り口の機構は既に壊れていて、少々のことでは地下空間に入れない。

 止むを得ないので、地下空間を大枠で把握した後で、何も無いと思われる部分の天井部分を狙って土属性魔法で穴をあけたよ。


 そこから内部に侵入するに際しては、事前に風属性魔法により、地下空間内の換気を十分に行った。

 酸欠とか毒ガスが地下空間に溜まっていたら目も当てられないからな。


 空気の分析までは今のところなかなかに難しいんだが、換気を行った後で再度鑑定をかけた上で、内部に入ったよ。

 内部には石板もあったが、それとは別に文字が刻まれた銅板が有ったな。


 紙らしきものもその残滓が認められたが、生憎と紙や羊皮紙では時間経過に耐えられなかったようだ。

 それらの紙様のものは、カビに侵食されたり、虫などに食べられた痕跡がある。


 いずれにしろ、文字の判読ができなくては何の役にも立たない。

 その点、石板と銅板はしっかりと文字を残してくれていた。


 まぁ、銅板表面に緑青が認められたから、丁寧に緑青部分を取り除いたが、少なくとも虫食い状態にはなっていなかったな。

 取り敢えず、石板も銅板も全部俺のインベントリに放り込んだよ。


 インベントリもおそらく魔力の保有量が増えたことで、容量がとんでもないことになっているからな。

 石板や銅板がトン単位でも収容に何ら問題はないと思うぞ。


 ここの古代文字が読めるかって?

 グルヌベルヌ村の古代文字と同じかもう少し進化した形なのかなとも思うが、俺の能力で解読に問題はなさそうだよ。


 カルヴィアに戻ってから、内容を確認することにした。

 石板と銅板以外には、所謂アーティファクト的なものは何も無かったな。


 そのほか、この地下室に残骸のようなものが有ったので、鑑定をかけまくったけれど、生憎と『壊れた〇〇』と表示されるだけで、役立つ品は無かったよ。

 学者さんでも連れて来たならば、研究材料に事欠かないのかもしれないな。


 俺にとっては、古代文字が記された石板と銅板が宝物で、他のモノに余り興味はない。

 念のため、他の建造物跡にも地下空間が無いかどうか確認したけれど、それらしきものは無かったな。


 更には、地下に何か埋められたような異物が無いかも調査したが、それらしきものは見つからなかったな。

 夕刻まで調査を続け、その日は再度前日に造った地下の簡易寝所で寝たよ。


 翌朝早くに遺跡を発って、その日の夕刻までにはカルヴィアの我が家に戻ることができた。

 一応の成果もあげて、約束の三日の御休みの期限を守ったから、明日からはいつもの生活が始まるな。



 ◇◇◇◇


 ケントの生活がまた始まったわけだが、午前中の俺の日課が少し変わったぜ。

 これまでは、午前中に冒険者稼業を、午後に診療所の稼業、夕刻からは錬金術と薬師の稼業に精を出していたんだが、領都近郊の古代遺跡から戻ってからは、午前中の冒険者稼業を当面休業し、遺跡から持ち帰った石板と銅板の文字と格闘をしているんだ。


 但し、古代文字を読めるんだが、読めるというのと解読できるというのは異なるんだ。

 例えば健司の世界で、「ナイター」と言う言葉(和製英語)があるけれど、あれは日本語であって英語じゃない。


 本来の英語では、ナイトゲーム(Night Game)と言うらしいが、同じようにその地域独自の方言に近い言い回しや記述があると、暗号に近い文書になってしまうんだ。

 グルヌベルヌ村の遺跡にあった石板についても、そんな暗号解読的な部分はあったんだが、俺の能力の一つなんだろうね。


 そうした部分には、推測が働いてある程度意味の通る文書にして翻訳してくれるんだ。

 但し、それが必ずしも正解とは言えないところがあるんで、初級の魔法を使えるようになるまで結構な時間を要した記憶がある。



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