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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監
第二章 再起と発展

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2ー16 復帰した健司の世界 その十二

 レストランでイタリア料理のお昼をいただいて外に出てから、矢田さんにどこか見たいところや行きたいところはありますかと問われました。

 うーん、本当は矢田さんの実家か若しくはマンション?


 それに矢田さんの会社も見たいなとは思ったのですけれど、今回は余り時間がありませんよね。

 ですから、可能であれば、矢田さんが保有しているというクルーザーとやらを見せて欲しいとお願いしました。


 すると矢田さんは、すぐに広い道路に出てタクシーを拾い、そのまま港の方へ向かうことになりました。

 福山を知らない私ですけれど、ヨットハーバーなら間違いなく海か河口に面した場所にあるのでしょう。


 でも、大きな川に沿って道なりに徐々に南下して行くと住宅街の脇を通り、さらにビニールハウスが立ち並んでいる脇を通過しましたね。

 多分、この付近は農地なのでしょうか?


 広島の港湾地区では見かけない風景です。

 また、途中で桜並木も見かけましたけれど、この時期には既に葉桜なのでその意味では残念でしたね。


 来年には、広島か福山の桜を矢田さんと一緒に見てみたいなと考えて、ちょっとほほが赤くなったかもしれません。

 それから暫し川縁(かわべり)の道路を走っていたようですけれど、やがて川から離れて内奥方面へ行くと、今度は急に運送会社が多くなりました。


 やはり農地と言うよりは、港湾区域に入ったのでしょうね。

 複数の大型トラックが駐車している社屋が道路の両脇にあるんです。


 更に進むと、何だか南下しながらも緩い斜面を登っているようで、左側には山と言うより丘が見えますね。

 こんもりとした木々が目立つ場所です。


 因みに矢田さんにこの丘陵地帯についてお聞きしたなら、『ここは箕沖(みのおき)町と言う地区なんだけれど、この丘陵地帯の名前は聞いたことが無いから、名前が有るのかなぁ?』と仰っていましたね。

 そこからは道路の両脇には、住宅よりも工場などが目立ってきましたよ。


 そんな中を左に右に曲がりながらもタクシーは徐々に南下して行くのが分かりました。

 丘陵地帯が途切れたあたりからは、平坦な地形ですから、これは多分埋立地なのでしょうね。


 そこをまっすぐ南下するとお目当てのヨットハーバー・・・、いえ、マリーナの入り口が見えてきました。

 タクシーが入れるのは、入り口近くにある管理事務所までで、そこから先は徒歩になりますが、私もマリーナと言うところには始めて来ました。


 ボートって、陸上にも保管しているのですね。

 台車と云うのか、車の付いた金属の構造物の上に乗っけられて船底が見えています。


 そうして防波堤で囲まれた水域(港?)の中には、沢山の櫛の歯のように突き出た浮き桟橋が整備されていて、そこに大小多数のモーターボートやヨットが係留されています。

 矢田さんの持ち船は、浮桟橋の突端に係留されている船で、とても大きかったですね。


 マリーナの中にある船の中では一、二を争うほどの大きさの船でした。

 クルーザーと言う船を持っていると聞いた際に、私は、もっと小型の四、五人乗り程度のモーターボートを想像していたんですけれど、全然違いました。


 見た目ですけれど、甲板上に二層、甲板下にも一層ある船のようですよ。

 船へタラップから乗り移るときには、矢田さんが手を差し出して助けてくれましたね。


 とても暖かい手でしたよ。

 そうして船の中に入ってびっくりです。


 応接間にも似た立派なソファーの置かれた広いキャビンがお出迎え、その奥に操縦席がありました。

 そうして船内が物凄くきれいなんです。


 中古の船と聞いていたのでどちらかと言うともっと薄汚れた船を想像していたんですけれど、外も中もめっちゃ綺麗なんです。

 車で言えばまるで新車のような感じ?


 そうしてそのデッキから急な階段を上がるとアッパーデッキなのでしょうか、覆いのような天井はあるんですけれど吹き曝しで風通しの良いデッキがあり、前部には操縦席、若干のスペースが有って、さらに後ろにはゆっくりと四人ほどがくつろげる椅子が置かれている野天のスペースがあるんです。


 矢田さんは一級小型船舶操縦士と言う免状をお持ちで、日本国内ならばこの船でどこでも行けるそうです。

 海外、例えば韓国や台湾などに行くためには、予め船舶の臨時検査を受けなければならないようですけれど、この船の能力なら十分に行けるんだそうですよ。


 但し、ハワイなんかは遠すぎて燃料が足りないようですし、そもそも海は時化るからそんな遠くには行きませんよと話してくれました。

 うん、安全が大事ですよね。


 そうして一階の操縦席の下にも空間が有って、そこには大きなダブルサイズのベッドが置かれている部屋が一つ、そしてツインのベッドが置かれているゲストルームが二つありましたので、6人までならこの船で寝泊まりができそうです。

 何しろ、船内にキッチンや冷蔵庫もついていますし、水洗トイレがあります。


 風呂は無いそうですけれど、シャワールームはありましたね。

 矢田さんに船の大きさを聞きましたら、この船の長さは約18m、最大幅が約5mもある船なんだそうです。


 この船のエンジンはとても強力で、毎時60キロ近い速力も出せるそうですよ。

 車のように船に乗れる定員が決まっているそうで、この船には12名までが乗せられるそうです。


 ですから7月に矢田さんがこの船で広島港を訪れた際には、私の家族や知人も一緒に来ても良いですよと言われました。

 うん、奈美には絶対に話をして誘おうと思っている私でした。


 今のところ、7月の私の休みに合わせて来てもらえると言うだけで、何時、何処に行くとかの詳細な予定は立てていません。

 矢田さんからは詳細は別途相談すると言われています。


 7月なら夏ですものね。

 どこかの海水浴場あたりに行って、泳ぐというのもありかもです。


 立派な矢田さんの船の見学が終わって、マリーナの事務所前に行くと、約束通りタクシーが待っていてくれました。

 それから再びタクシーに乗って福山駅へ向かいました。


 福山駅に到着すると午後4時前で時間が有ったので、福山駅の駅ビルで喫茶店に入り、またまたチョット話し込みましたよ。

 広島では中々に親友の奈美にも会えないですからね。


 会社の同僚先輩にはなかなか言えない話もありますし、私の中には人と中々世間話ができないと云ううっぷんが溜まっているんです。

 別に愚痴を言うわけではありませんけれど、信用のできる矢田さんに私の与太話を聞いてもらえるだけで私のフラストレーションが随分と解消されていますよ。


 そうして予定通り、福山発午後4時27分の新幹線で広島へ戻りました。

 次は二か月後になりますが、7月に広島港で再開することを約束して矢田さんと別れました。


 矢田さんは、わざわざホームまで見送りに来てくれました。

 ホームで私に向かって手を振る矢田さんの笑顔がとても素敵でしたね。


 福山の訪問中、途中でスマホで矢田さんのお顔や風景なんかを撮影していますから、とても良い記念になります。

 家に帰ったら、早速私のPCに移して、暗号をかけてファイリングしておきましょう。


 ◇◇◇◇


 瑠偉嬢が予定通り新幹線で福山を発って行った。

 次に会うのは7月になるな。


 俺の方は行こうと思えば6月にも行けるけれど、彼女の休みと合わせるには、7月まで待たねばならんのだ。

 その間は、メールと電話で顔つなぎかな。


 まぁ、PCを使ってテレビ電話もできるんだが・・・。

 テレビ電話と言うのは良し悪しで、女性の場合、化粧をしていない素顔を見せるのを避ける傾向にあるからな。


 こちらから強要すべきじゃないだろう。

 女性との付き合いは一方が焦っても仕方が無いんだ。


 じっくりと腰を据えていても、成るものならば自然と成るようになると俺は信じているからな。

 でも今日半日の付き合いでしかないのに、彼女の去り際に何となく寂しさを感じたな。


 うん、俺も彼女に惚れたかもしれん。

 これまで女性に縁が無かったから余計にそう感じるのかもしれんな。


 彼女の良い処?

 うーん、なんだろうね?


 彼女は、男性に対しては無口になると彼女の友人から聞いていたけれど、俺と話している時はそんな感じは無いな。

 きっと顔見知りの男性で信用できると感じたら、あんな風なフレンドリーな話し方になるんだろう。


 おしとやかで謙虚な素振りだけれど、何だか笑顔が可愛くてよく喋る()

 そんな印象だな。


 彼女を見送ったその日は、仕方が無いんで一人寂しく外食を食べることにした。

 マンションに戻って料理を作っても良いんだが、何となく今日はその気になれん。


 今日は車も置いてきているから、スマホで撮った瑠偉嬢の写真をツマに、今日は少し飲むかな。

 さてどこが良いかな?


 俺のマンション近くに在ればよいのに、残念ながら俺のマンション近くに飲み屋さんは無いな。

 本格的に飲むつもりなら駅の南側に行くしかないんだ。


 料理屋とか寿司屋なんかも概ね駅の南側にあるな。

 スナック辺りで飲もうと思えば、どんなに早くても午後7時過ぎ、普通は午後8時を過ぎないと店が開いていないだろう。


 俺も福山に帰って来てから夜の店を開拓したけれど、行きつけの店は二軒しかない。

 どっちも普通のスナックだ。


 一件目はママさんと女の子(?)が一人。

 愛想は良いよ。


 カラオケがあるからお客さんお相手をしないで済むんだよとママさんが言っていた。

 何でも昔はカラオケが無かったから、対面する客と話を合わせるのが大変だったと言う。


 因みに昔は綺麗だったという七十歳近くのママさんだよ。

 それに比べたらもう一人のアラサーの女性なんてまだまだ娘?いや孫?みたいなもんだ。


 値段もそこそこなので気軽に入れるお店だな。

 もう一軒は、若いギャルが四人ほど、昔ギャルだったママさんとチイママがいる。


 こちらはちょっとお値段が高いかな。

 お店も広いし、飲み仲間を連れて行くならこっちの方が賑やかだ。


 駅の改札口を出たばかりの今は5時ちょっと前だから、時間を潰すには寿司屋辺りが良いかも。

 取り敢えずは、駅ビル内で書店を覗き、それから元町にある割烹風の寿司屋に行くことにしたよ。


 この寿司屋でちびちびとビールを飲みながら、8時まで粘ることになるだろうな?

 それから、女性二人がいる小さなスナックに行くつもりだ。


 瑠偉嬢?

 うーん、次々回以降の話として、彼女が希望するならどこかに飲みに連れて行くのも良いけれど、スナックであれば、もうちょっと上品な店を開拓しないとだめかもね?


 まぁ、追々、検討しておこう。


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