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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監
第二章 再起と発展

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27/30

2ー10 復帰した健司の世界 その八

 私は、最上(もがみ)瑠偉(るい)です。

 広島に戻って、日常の生活が始まりました。


 火曜日も定時出勤で、何事もなく勤務を終えました。

 その日の夜、私は評判の占いの館に出向いています。


 勤務先から徒歩で3分以内ですからとても近いんです。

 ビルの六階に上がると件の占いの館がありました。


 掲示板のようなものが入り口のわきに貼ってあって、何だか予約をしなければいけないようですけれど・・・。

 うーん、今日は無理みたいですね。


 予約だけ取って別な日に参りましょう。

 有給休暇を取ってまで来る必要はありませんから、できれば勤務明け後の時間帯が良いですね。

 

 それか私の定休日が良いのですけれど・・・。

 で、何気なしに壁に表示されている値段を見てびっくり。


 30分で4400円も取るんですって。

 手相占いも含めて占いに来たのは初めてですから、そもそも相場というか適正価格を知りません。


 まぁ、こんなものだと諦めましょう。

 予約をするつもりで受付めいたところに行くと、50代くらいの品の良いおばさまが座っていらっしゃいました。


 そうして予約をしたいんですがと私が言うと、今なら30分ほど空いている先生がいるけれどどうしますと聞かれました。

 ちょっと迷いましたけれど、これも運勢の一つと考えて、『ではお願いします。』と言うと、そのおばさまが言いました。


「それは良かった。

 私は大場(おおば)君代(きみよ)

 これからあなたの運勢を見ることになった先生ですよ。」


 あらまぁ、受付ではなくって先生だったようです。


「料金は、30分で4400円、普段は延長もありなんだけれど、今日は予約が入っているから延長は無しだね。

 じゃ、隣の部屋にいらっしゃい。」


 そう言って案内してくれたのは、厚手のカーテンで二重に仕切られた小さなお部屋です。

 アンティークなマホガニー性の机が一つ、大場先生は対面に座って、私に正面にあったアームチェアを勧めてくれました。


「さてさて、貴方のお年頃だと普通は恋愛相談ぐらいかしら?」


 うん、ぴったり当てられてしまいましたが、きっとそんな女性が多いのでしょうね。

 だから特段不思議でもないと思います。


「はい、ちょっと気になる男性がいらして、その方との相性なんかが分かればと思いまして今日は参りました。」


 大場先生は頷きながら言いました。

 それから目の前にタロットカードを置き、手早くカットしてから、私に任意にカードを二組に分けるように言いました。


 先生は、その分けたカードの一組目を下に、二組目を上に積み上げて、上から順次五枚を引き、裏返して図柄が見えるようにしました。

 タロットカードの現物と言うものを始めてみましたけれど、トランプに比べると随分と大きく、また色柄が多彩なのですね。


 その五枚のカードを見ながら先生が言いました。


「フーン、もしかして、その男性は東に住んでいる人かな?

 それに最近、その男性に急場を助けられた?

 それも・・・・。

 うーん、もしかして、これは命がかかった急場なのかねぇ。

 何だか外人さんが絡んでいるようだけれど・・・・。」


 びっくりです。

 なぜか全部当たっています。


 占いってこんなに当たるものなの?


「はい、東に住んでいる男性です。

 助けられたのも合っていますし、外人さんも絡んでいます。」


「あら、まぁ。

 何となく、今朝見た新聞の事件が頭に残っていたんでそれが浮かんだんだけれど、それが当たっていたのね。

 ひょっとして、福山のホテルの事件、人質にされたのが貴方なのかしら?」


「はい、でもどうして?」


「どうしてわかったのかって?

 そんなことは、私にもわからないわよ。

 でもこのタロットの絵柄で、パッとイメージできたのがその新聞記事だったの。

 占いの世界ではね、インスピレーションが大事。

 当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦なんだけれど。

 私たち占い師は、インスピレーションが浮かばないと何もできないの。

 でもあんたの場合は、妙にはっきりとしているからねぇ。

 色々とやり方はあるけれど、私の場合は事前にランダムに伏せたものを混ぜ合わせ、シャッフルしてカードを積んでいる。

 今開いたのが小アルカナ。

 これを開く際に気づいていたかどうかわからないけれど、最初は上下を逆にして開いた。そうして、その次は上下そのままで開き、、また上下逆に開くようにして繰り返すのさ。

 こうして開いた最初のカードの方向が,正位置を示すのよ。

 だからあんたが観ている方向から見えるのが正位置になる。

 私も驚いたけれど、五枚全部が正位置になっている。

 これはとても珍しいことなのよ。

 この五枚についての概要はさっき私が言った通りで、細かい説明は、時間が有れば後でしてあげる。

 で、次に開くのが大アルカナの組さ。

 次の三枚でほぼあんたとその男性の相性が分かる。

 本当はね。

 意図している男性との出会いとか印象とか、色々と聞いてからカードを開くんだけれど、あんたの場合はその必要がなさそうだね。

 私もこれまで二度ぐらいしか経験していない物凄く珍しいことだけれど、カード自体が次を開けと私に告げているのさ。

 開いても良いかな?」


 私は大きく頷きました。

 先生が脇に置いてあった大アルカナのカードの組を手に取り、今度は自分でシャッフルをし、その上で一枚を表にしました。


「最初の一枚目があんたの過去を表している。

 これは、『法王』若しくは『女教皇』と呼ばれるカードで、洞察力とか直観力を意味している。

 多分、あんたと彼氏の出遭いで感じた直感を大事にしなさいと言う意味だと思うよ。」


 あ、矢田さんが妙に気になっていたことがそのことなのかしら。

 何となく頷ける。


「その顔は、自分にも合点が行くということかな?

 まぁ、良いでしょう。

 で、次はこのカード。」


 彼女が開いた次のカードは、裸の男女が左右に並んで立っており、真ん中頭上に天使が居る?

 うーん、何となく恋人になれるのかな?


「断っておくけれど、これはあんたの現状だからね。

 未来じゃないんだよ。

 で、意味としては『調和』、『共感』、『安心』などだよ。

 つまりは、あんたは彼氏と居ると共感や安心感を覚えるということかな?

 まぁ、端的に言えば彼氏に惚れてるか、その前段階と言うことさ。

 因みに聞いておこうかね。

 彼氏は前から知っていた?

 それとも今回起きた事件で初めて知り合った?」


「えっと、初めて遭った人です。」


「で、つかぬ事を聞くけれど、あんたは処女かな?」


 あれま、そんなことまで聞かれるんだ。

 私は顔を赤くしながら頷きました。


「そうかい。

 じゃぁ、間違いなく惚れちまったと言うことだろうね。

 別に悪いことじゃないけどね。

 因みに初恋は?」


「えーっと、これまでは多分そんな人は居なかったような気がします。」


「そりゃぁ。また・・・・。

 滅多にない珍品だね。

 普通は、中学とか高校で淡い初恋なんかがあるだろうに。

 そんな男は周囲に居なかった?」


「ええ、少なくとも恋と呼べるほど好感の持てる異性は居なかったと思います。」


「あんた二十歳は過ぎているよね。」


「はい、22歳です。」


「フーン、本当に珍品だよ。

 だとすれば、恋に溺れるかもしれないから注意しなさいよ。

 何でも初めてというのはのめり込みやすいんだ。

 まあ、先輩からの注意はそれぐらいにして、あんたの将来だね。」


 次のカードは、王冠をつけた女の人の姿でした。


「良いカードが出たね。

 これは『女帝』と呼ばれるカードで豊かさや繁栄を意味している。

 男女関係の将来で言えば結婚とか出産を意味するんだけれど、もうそこまで考えているの?」


「いいえ、まだ、そこまでは・・・。

 でも、男性として気になっているのは確かですので、このまま付き合っても良いということですよね?」


「うん、まぁ、そうともとれるね。

 で、追加でもう一枚のカードを引いてみようか。

 普通はここまで占わないんだけれど、あんたの場合は特別なんだ。

 ここまで八枚のカードを引いて、全部が正位置に出たのは私も初めてだよ。

 普通はリバースが一つや二つ入るもんだからね。

 だから、あんたの恋の行先を占ってみようか?」


「あの、未来はもう見たのじゃ・・・」


「現在・過去・未来のあり得る姿は見たよね。

 でも、そこに幸せが有るのかどうかはわからない。

 結婚はできるだろうし子供も生まれるかもしれない。

 でもその先は?」


「このカードで幸せになれるかどうかが分かるんですか?」


「実はね。

 これまで何回か占ったケースでは、九枚目のカードを引いたことが無いんだ。

 色々と()()()()()()に占い結果を言っていても、最後に良いカードが出なかったら、(なだ)めようもないからね。

 あたしも怖いから、実は九枚目のカードを引く勇気が無いのさ。

 でも、これだけ順風満帆な結果が出てしまうと気になるじゃない?

 普通はどっかに少しは悪いカードが出るもんなんだ。

 あんたの場合、最初に引いた五枚の中の(ソ-ド)の8で『囚われの身』以外に悪いカードが全然ないんだ。

 これも、彼氏が救ってくれたから、既に解消しているからね。

 さっきも言ったように順風満帆。

 こんなケースはこれまでに無いんだよ。

 だから私としては九枚目を引きたいのだけれど、嫌かい?」


 私は迷いながらも言いました。


「占いがどれほど当たるものかは知りません。

 でも占いの結果がどうあれ、自分の未来は自分で切り開くものと思っています。

 ですから、九枚目は引かなくて結構です。

 先生が気になるのでしたら、私が出て言ってから見てください。」


 大場先生がほほ笑みながら言いました。


「そうだね。

 私の興味を押し付けちゃいけないね。

 あんたの恋の成就を願っているよ。

 きっと良い結果になるに違いないさ。」


 ここに座って、かれこれもう25分ぐらいも経っていました。

 次の客さんが来る頃ですよね。


 私は先生にお礼を申し上げ、既定の占い料を払って、その場を去りました。

 今日は占ってもらってよかった。


 希望の持てる占い結果でしたから、折角だからこの占い結果をバネに、矢田さんに粉かけとやらをしてみようと思います。


 ◇◇◇◇


 22歳のとても綺麗な子が去ったあと、大場女史はそっと九枚目をめくったのでした。

 カードは『世界』が、これまでと同様に正位置に出ました。


 これは、『統合』や『最高地点への到達』を意味します。

 つまりは、彼女の結婚は最高の結果を迎えるということです。


 更に、引いたカード9枚全部が正位置に出たわけですが、これだけでも凄い確率です。

 2の9乗ですから、512分の一の確率ですね。


 おまけに、カードは小アルカナが56枚、大アルカナが22枚ですから、この組み合わせが出るのは本当に天文学的数字になるんです。

 久しぶりにほっこりとした気分になって、大場君代は次の予約客を待つことにしました。



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― 新着の感想 ―
占いって一般人からは縁が遠いけれど、政財界の人間から結構頼られる凄い占い師たまにが居るんよな。
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