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ダメな自分を変えたくて、私がした『おいしいパスタの法則』  作者: ハチサロン
マーメイドライン
21/24

撮影当日

 カーテンの隙間から差し込む眩しい朝日で私は目を覚ました。

枕の隣にあるスマホを見て昨日千佳ちゃんと話しながら自分が寝落ちしてしまった事に気づく。


スマホの画面を見るとメッセージが一件入っていた。


千佳: 美咲さん頑張れー!!


『ありがと、頑張るからね』と私はそう呟いてベットから降りた。


朝食を軽く済ませて、私はメイクはせずに着替えて髪を整えた。

そして、バックの中から先日雑貨屋で買った小さな写真立てを取り出し、テーブルの上の赤い封筒の中に入っている誕生日の日に岡田先輩と食事に行った時に店員さんに撮ってもらったツーショットの写真を写真立ての中へと入れた。


『——先輩、私行ってきます』と私は写真を指で軽く撫でてつぶやいた。






 『——佳奈さん、おはようございます!』

佳奈さんから送られてきた地図を確認しながら目的のビルの前へ着くと佳奈さんがビルの入り口の自動ドアの横で私を待っていた。


『美咲さん、今日はよろしくお願いします』と佳奈さんはお辞儀をした。


『こちらこそよろしくお願いします』と私は佳奈さんを見つめて笑った。


『美咲さん緊張してるかなー?って思ったんですが……大丈夫そうですね』


自分でも驚くほどに心の中は穏やかだった。

それはもう後に引けない状況だからなのか、さほど緊張はしていなかった。


『……千佳ちゃんのお陰かもしれません。 昨日の夜寝れなくって千佳ちゃんと電話した時に教えてくれたリンパマッサージで顔の緊張がほぐれたのかも』


『千佳って何も考えていないようで意外と確信つく事言ったり、すごく勇気づけてくれたりしますよね』そう言って佳奈さんは微笑んだ。


『わかります。 千佳ちゃんと話していると、たまにどっちが年上かわからなくなっちゃったりします』


佳奈さんはフフッと微笑んで『不思議な子ですよね。 では、こちらへどうぞ』そう言って中へと案内された。

綺麗なビルの中へ入ると私たちは入り口近くのエレベーターで上の階へと上がっていった。


『——うちの会社で年に何度かパンフレットやポスターの作成の時に使う写真はここのスタジオのカメラマンの方にお願いしてるんです。 ここのスタイリストさんも有名な方なんですよ。 大手の広告の芸能の方のメイクも担当してたりと……』と佳奈さんはエレベーターのドアの横にあるフロアのモニターを見ながらそう言った。


『へぇー、すごいですね』と私は頷いた。


そして、撮影のスタジオがあるフロアへと着くと観葉植物が所々に置かれてある木目調の看板が印象的なスタジオへと案内された。

入り口には白いドレスを着た綺麗な女性の写真や和装の今時の色鮮やかな写真などが飾られていて、私はその写真の美しさに思わず見惚れて立ち止まった。


受付の方に立っている女性が佳奈さんに気付き軽く手を振りながらこちらへと向かってきた。


『——はじめまして。 今日、鳴海さんを担当させていただきます』と髪を綺麗にまとめたワイシャツ姿の少し小柄な女性は胸についているネームプレートの端を軽く持って私に向けた。


生田(いくた)さんて言うんですね。 よろしくお願いします』と私は頭を軽く下げた。


『昨日はよく眠れましたか?』と生田さんは笑顔で尋ねたが

目の奥は真剣そのもので私の髪の先から眉の形、それどころか毛穴まで見透かしているようだった。


私は『はい』と少し苦笑いで頷いた。


彼女は『よかったです』と笑顔で頷いて続けた。

『鳴海さんの髪サラサラですね。 色もとてもいいです。 最近染められたんですか?』


『はい、行きつけの所の美容師さんに勧められた色に思い切ってしてみたんです』


『鳴海さんの事しっかりとわかっている人なんでしょうね。根元までムラなくしっかりと均一に染まっていますし、良い美容師さんです。 たまに撮影の時に伸びた根元のままきちゃう方もいるんです。 どうやって隠そう……って頭の中そればかりになっちゃったりするので良かったです』


彼女の話を聞いて私はただただ心の中で山田さんありがとう……と深く深く感謝した。


『——そういえば撮影用のドレス、何個か候補あるって言っていたの決まったんですか?』と生田さんは佳奈さんに尋ねた。


『そうそう、美咲さんに実際に試着してもらってから決めようと思っていたんです。 個人的にAラインのウェディングドレスがいいかなぁと……』と佳奈さんは言った。


『じゃあ、早速試着してみましょうか』そう言ってスタイリストさんは私たちを奥の衣装部屋へと案内した。


その衣装部屋には何十着もの色とりどりのドレスが掛けられてあった。

その中に一際白く存在感を放っている純白のウェディングドレスが飾られていた。


『うわぁ……すごい綺麗……』と私は目を丸くした。


『わかります。 実際にこうして目の前で見ると存在感というか輝きがすごいですよね』と佳奈さんは笑った。


『せっかくですので美咲さんどれか着てみたいもの選んでみませんか?』と佳奈さんは言った。


私はそのたくさんのドレスを端から端まで見渡した。


『……マーメイドのドレスを着てみたいです』と私は少し照れながらそう言った。


佳奈さんは少し驚いた表情をして私を見つめた。

私は佳奈さんの表情を見て自分が何かとんでもないない事を言ってしまったんじゃないかと少し慌てた。


『あっ、ごめんなさい。 違うんです、美咲さんがよくマーメイドラインを知ってたなぁと驚いたんです。

それにかなりボディラインがくっきり出るドレスなので提案してもモデルさんから敬遠される事も多くて……本人から着てみたいって言われたの初めてだったもので』と佳奈さんは笑った。


『——是非メイクして着てみましょう!』と生田さんはウェディングドレスがたくさんかけられた場所からマーメイドラインのドレスを何着か選んだ。


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