12話 勉強(理解不能)
相当遅れまして申し訳ないです、これからも失踪はせずに書いていきますので宜しくお願いします!
日が傾き始めた。助けてくれ……。
巫女が俺に危害を加える気がなく、また、襲ってきたさくらの正体は巫女だと言う事を長たらしく説明された。
…誰に?そりゃ、巫女にだよ。巫女は幻覚や幻聴を操る力があるらしく、「すごいでしょ?」と何度も姿をさくらに変えたり戻ったりして見せたんだ。
……何か納得いかないけど、そう言うことにしておこう。
昨日の敵は今日の友、巫女が仲間になった!
……と、俺が思ったのは一瞬だった。
「……という訳で魔術師と精霊師は全く違う存在なの。分かった?」
「……」
結論から言えば、巫女の説明は説明(拷問)だった。さくらは途中から目を回し、俺は全身の痛みに加えて話を理解できない事による頭痛に襲われていた。正直、大学の意味不明な講義を聞いている時なんかとは比べものにならないほど辛い。話は途切れないし、俺が理解したかを確認する口頭問題は行われるし。揚句口頭問題で不正解なら俺が正解するまで同じ説明を繰り返される。
この説明(拷問)は俺だけに留まらず、さくらにも行われた。さくらも何が何だかあまり理解出来ていないのか、しょっちゅう首を傾げては巫女さんに怒られていた。南無三。
――唯一分かった事と言えば、精霊師1人につき、契約できる精霊の数は通常1人だという事。それ以上契約しようとすると、自分の身体が灰になってしまうそうだ。
それから精霊師は通常魔術を扱えないそうだ。だから、何故俺が魔術を使えるのかについては検討がつかないらしい。まあ、使えないはずのものが使えるなら儲けもんだよな。
≪マス、ター……。誰か来ま、すよ……≫
ぐったりしていて気絶しているようにしか見えないさくらの心話を受けて、少しだけ扉の方に顔を向ける。扉の向こうにいる人影の大きさ、体型から導き出される答えは――黒田か?
そう言えば、ずっとさくらは姿を消しているみたいなんだよな。「見えないはずのさくらが見える」時点で、普通の人じゃないことが分かったじゃないか。俺はアホかよ……
「そのくらいにしとけよ、ミスナ」
これがクイズ番組なら小気味の良い効果音がどこからか聞こえてきそうだ。
室内に入ってきたのは予想通りの黒田だった。ミスナと呼ばれた巫女は一瞬怯えたような目で黒田を見ていた気がしたが、何かあったのだろうか。
「にしても黒田、見舞いに来てくれたのか……サンキュ」
「気にすんな、ダチが殺されかけたら心配するに決まってんだろ」
それよりも、と黒田は言葉を続けて、俺の身体はボロボロだった、だとかニュースになった。だとか俺が寝ている間に起きた事を色々教えてくれた。
「……んで、ここからが本題なんだけどよ」
黒田は俺の吐息がかかる距離まで顔を近づけ、こう言った。
「今回みたいな事が起きても自分で自分の身を守れるようによ、精霊術の使い方を教えておきたいんだ」
声のトーンがいつもより低く、俺を試すかのような物言いに俺は驚きを隠せなかった。
「え?」
黒田の口から『精霊術』なんていう単語が聞こえたぞ。おいおい、まじか?黒田、もしかしてお前は……
「黒田、お前……精霊師だったのか?」
「おう、お前と知り合う前からずっとな」
黒田は続けてこう言った。
「サンタクロースを見たことがあるか?」




