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8.思いでの公園
リカからの返信を待っている間、落ち着かず公園へ向かうことにした。
静かに、再び実家をでて何年も避けてきた道を辿る。
夜の空気を吸い込み、身震いをした。
ギュッとコートの襟をかきあわせ足早に進む。交差点を渡って、通っていた小学校を過ぎて、少し坂を登り古い踏切をわたる。
そこからどんどん坂道を登って登って。
30歳の歩みに少年時代の軽やかさはなく、運動不足を実感した。
それでも丘の上の古い博物館を目指す。この博物館の裏がミサと過ごした公園だ。
今の時期椿が咲き乱れるこの公園は何も変わっていなかった。
椿の赤が、血を、ナイフを連想させる。
何も変わらない公園。あの日と違うのは、雪が降っていないことだけか。
散策を目的とした公園なのだろう。遊具はなく、灯りもまばらだ。23時。人気がないのは当然か。
ミサと宝物を隠していた木に向かうのは、少し怖い気がした。
「何のために来たんだか…」
思わず呟いてしまう。
ナイフは家に置いてきている。あの日から何年も経っている。新たな発見もないだろう。
ピコン
ポケットの中でスマートフォンが着信を告げる。
リカからの返信か。




