6/25
6.疑問
あのナイフとメモは、今も実家の古い学習机の引き出しの中に眠っているはずだ。20年ぶりに、あの封印を解く時が来たのかもしれない。
和真は、酒で熱くなった頭を冷ますように高橋に告げた。
「高橋、ちょっと先に帰るわ。酔った」
席を立つ和真の背中に、高橋が声をかける。
「おう、また連絡するよ。ミサのこと、もし何か思い出したら、教えてくれよな」
「ああ」
もう、「知らない」ではいられない。
30歳になった今、あの時の謎を、宮近ミサの行方を、自分の手で探らなければならない。それは、初恋の少女に会いたいという願いなのか、それとも、長年抱え続けた疑問から解放されるためなのか、和真にはまだわからなかった。




