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5.知らない
「個人情報だって教えてくれなかったよ。諦めきれなくて何度も聞いたけど駄目でさ。」
高橋は和真の顔をじっと見つめ、何かを探るような目で尋ねた。
「和真、本当に何も知らないのか? お前、ミサと一番仲良かっただろ。転校する前、二人で何か話したりしなかったのか?」
和真は喉の奥に張り付いた言葉を、無理矢理吐き出した。
「だから、知らないって言ってるだろ!」
自分でも驚くほど鋭い声だった。高橋は一瞬ひるみ、すぐに苦笑いに変えた。
「悪ぃ悪ぃ。ちょっとしつこかったな。でも、それだけミサのことが気がかりでさ。連絡先も何もわからなくて、今どうしてるかも知れないんだ」
高橋はミサを知ろうと、表だって行動している。自分はどうだ? 血のついたナイフと「もう待たないで M」というメモを見つけて以来、和真は恐怖に蓋をして、ミサのことを「思い出」として遠ざけることしかしてこなかった。




