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4.疑念
「はは、なんでそうなるんだよ、高橋」
和真は、絞り出したような笑い声をあげた。
自分でもびっくりするほど、笑い声は上滑りして乾いていた。
高橋は、和真の反応を見逃すまいと、鋭い視線を向けている。その瞳の奥には、中学の頃にはなかった、粘着質で、人を試すような光が宿っている。
「いや、ただの勘だよ」高橋はにやりと笑った。
「あの時、お前ら仲良かったろ? なんか急にミサが転校することになってさ。なんか聞いてたのかと思ってよ?」
「いや、仲は良かったけど…何も聞いてなかったから俺も驚いたんだよ」
和真はグラスのハイボールを一気に煽った。手のひらが汗でじっとりと湿っている。
(そう…何も聞いてなかった。そして、今も知らない。何も聞いてないんだ。)
「でもさ、今更なんなんだよ。高橋」
和真は敢えて挑発的な口調で聞き返した。
高橋は、一瞬、その探るような目を逸らした。その一瞬の揺らぎを、和真は見逃さなかった。
「俺は、ミサのことが好きだったんだよ、和真。あの時、お前に邪魔されたけどな。だから、あの後…ミサが転校した後、担任に聞いたんだよ。…ミサの転校先を。」
「……は?」俺は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。




