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高橋は返事をしなかった。グラスを握りしめ、じっと俺を見つめる。
リカは緊張した面持ちで、俺を見ている。
「わかった。聞いてから決める。」
高橋は低い声で言った。
俺は少し前のめりになった。「まず、俺たちはミサから転校後のことについてないも聞いていない。そして、一度もあっていない。ただ…転校後にミサが残したメモがある。あとは、リカがミサ本人から聞いていた…家庭の秘密だ」
リカに視線を送る。
リカが頷き、意を決したように口を開いた。
「ミサは、5年生の時に私に秘密を打ち明けていたの。それは、ミサに姉がいること。その姉はミサと双子で身体が弱く、学校には通っていないこと。そして…母親に存在を隠すように言われていたこと…」
高橋の眉がピクリと動いた。その固い表情に初めて驚愕の気配が走ったのを、俺は見逃さなかった。彼の目が、探偵のように鋭い光を帯びる。
「双子の姉? どういうことだ」高橋の声が、わずかに低くなった。
リカは喫茶店で俺にした話を、淡々と話し始めた。
俺はリカの話を引き継ぎ、スマートフォンを高橋の前に置いた。画面には、リカのメモと、俺のメモ、二つのミサの筆跡が並んでいる。
高橋は、スマートフォンに表示されたメモの画像をじっと見て言った。
「小学校への調査、連れて行くのは和真だけだ」
その言葉に、リカが「え?」と声を上げた。
「実は車で行くつもりだったんだ。24時にでれば朝7時ころ着くから仮眠しても早朝から調査できるからな。」と高橋が説明した。
今は21時…だから高橋は飲酒をしなかったのか。ひとり納得した。
そして、この後の再び待ち合わせることを約束し解散となった。
「あぁ…覚えていればなんだが」帰り際高橋が何かを思い出したように言う。
「ミサが学校の手提げかばんに付けてたキーホルダー覚えてるか?…なんかのキャラクターと…花だったか?」
高橋に聞かれたが俺は特に覚えていなかった。
「キーホルダー…?特に覚えていないな。」
すると隣のリカがハッとして口を開く。
「猫のキャラクターにさくらの花のやつ?ミサのお気に入りね!………あぁ…でもあれは『ユカリ』にあげてたはずよ。ユカリにクリスマスプレゼントを用意できなかったから…って」
高橋の顔色が、一瞬で真っ青になった。彼はすぐにリカから目を逸らし、壁際を見つめた。
「そうか…ユカリに、か」高橋は、絞り出すような声でそう答えた。




