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20.高橋の情報

喫茶店でリカと別れてから、すでに数日が経っていた。

あの日のうちに、メモを撮影し、リカに送った。リカからはすぐに返信が来て『これだけだと、確かに和真が振られただけにもとれるね』ときた。

メモだけならそうだろうが、血のついたナイフと共に置かれていたとなると受け取り方が変わると思う。

リカに話せないながもどかしい。


俺のデスクの上には、在宅ワーク用のPCと、その隣に、リカからのLINEのやり取りが映るスマートフォンの画面が置かれている。


加藤先生に連絡しないと、と思い何度か先生へのメールを入力しては消した。

なんて切り出せばいいのか…


そんな最中に来たのが、高橋からの電話だった。


知らない番号からの着信に出ることを躊躇した。

「もしもし」俺は少し警戒しながら応える。

「ああ、和真か? 高橋だ。昨日の同窓会で一緒だった」

「えっ、高橋? ああ、そうか…ごめん。番号知らなかったから」

「いや、気にしないでくれ。こっちこそいきなり悪かったな…今少し大丈夫か?…実は、宮近ミサのことでちょっと気になることがあって…」

「ミサのこと…」

「実は、ミサに関して、個人的に調べていることがあるんだ。まどろっこしいのは苦手なんだ。単刀直入に言う。宮近ミサは、転校後、失踪している可能性が高い」

その言葉に、俺は息を呑んだ。


「失踪…? どういうことだよ。高橋、なんでそんなことを知っているんだ?」

「詳しい話は、会ってからしたい。彼女は転校先に姿を現しておらず、その後、行方が途絶えている。彼女の消息を知るために、俺の個人的な調査に協力してほしいんだ」

高橋が何故、今になってミサの行方を追っているのかわからない。しかしその声のトーンから、彼が何か情報を持っていることは伝わってきた。彼は、ただの同級生としての好奇心でミサを探しているのではないように感じた。


俺は、リカにも話していない血のついたナイフを思い浮かべた。

(ナイフのことは、絶対に高橋には話せない。リカにもだ。)

俺は、高橋の目的を確かめるため、そしてミサの安否を知るため、高橋に会うことにした。

深く息を吸う。



「高橋。俺もお前にミサのことを聞かれてから、気になってミサのことを調べてたんだ。まだ何も分かっていないが…リカにも会って色々聞いている。三人で会おう。場所と時間はそっちで決めてくれ」

電話の向こうで、高橋は一瞬黙り、そして「分かった」と短く答えた。リカも呼ぶことが意外だったのか。

「それから、俺達はまず加藤先生に連絡を取ろうと思ってたんだ。ミサの転校先を覚えているかと思って…ただ、転校先に来ていないと知ってるって事は、もうお前が調べたのか?」


俺は、高橋の話が加藤先生から得られたものだと思った。同窓会で俺やリカに声を掛けるくらいだ。加藤先生には当然連絡をしているだろう。彼がどこまでの情報を掴んでいるのか…


高橋は、苛立ちを隠せない声で返答した。

「ああ、その線はすでに調べている。加藤先生には、俺の方からすでに話を聞いた。さっき伝えた通りミサは転校先に姿を現しておらず、その後、消息を絶っている。だからこそ、俺はお前らに協力を求めているんだ」

「分かった。リカに都合を聞いて、改めて連絡する。できれば…あまり時間を空けたくない」

「急ぎたいのは俺も同じだよ…連絡を待ってるからな」

電話は切れた。

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