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17.スーツケースの遺体

それは、山林の奥深くに放置されていたスーツケースの中から見つかった。



中に入っていたのは、子供の遺体。



完全に白骨化しており、死後十年以上は経過しているとみられる。身元は不明。骨格から、遺棄された当時、十代前半だっただろうと推定されていた。



同窓会の半年前から、高橋はこの身元不明遺体の捜査に携わっている。古い事件であり、長い間雨風に晒され、手がかりは極めて少ない。遺体と共に発見されたのは、ボロボロになった衣類と、わずかな遺品だけだった。

会議室のスクリーンに、遺品の写真が映し出された。錆びた金具と、泥に汚れたプラスチック片。高橋は、その一枚を凝視した。

そこに写っていたのは、錆びた銀色のチェーンに繋がれたキーホルダーだった。

有名な猫キャラクターに、桜のチャームがついている。


そのキーホルダーに、見覚えがあった。


高橋が昔、好きだった女の子がいつも手提げかばんにつけていたキーホルダーだ。彼はそのキーホルダーを一度、校庭で落とし物として見つけ、彼女に届けたことがある。だからよく覚えていた。

高橋は会議室の椅子に深く腰かけ直し、目を閉じた。

(まさか…そんなはずはない)

このキーホルダーは、当時大量に流通していたものだ。


どこの店でも買えた。偶然の一致に過ぎない。


……被害者が、あの女の子と同一人物であるはずがない。彼女は、五年生のクリスマスに転校した。

高橋は強く自分に言い聞かせた。


しかし、一度結びついてしまった嫌な想像はなかなか振り払えない。写真に映るキーホルダーが自分に語りかけている気がする。


彼は、遺体の年齢推定と、ミサが転校した時期を無意識に重ね合わせていた。


(もし、あのスーツケースの中の遺体が…ミサだったとしたら?)


そんな偶然、あって良いはずがない。

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