16.2つのメモ
リカのパッチリとした目が、驚きで見開かれた。
「えっ? 和真も…? いつの?」
「中学2年の冬だ。ミサとよく遊んでいた丘の上の公園で見つけた。二人の秘密の隠し場所があるんだ…当時、俺も子供心に何かおかしいと思って、誰にも言えず、ずっと持っていた」
俺は、本当に申し訳ない気持ちでリカを見た。隠し事をしていた負い目もある。
「本当にごめん。リカにメモを見せて貰った時にすぐ切り出せばよかったな…」
リカは飲み干したカフェオレのカップをそっとソーサーに置き、落ち着いた声で言った。
「別にいいよ。私もミサからの『秘密を守って』のメモを誰にも話してなかったんだから。すぐに言い出せなかった気持ち、わかるよ。それより、そのメモ…今、持ってるの?」
俺は首を振った。
「いや、家に置いてきた。大切なものだから、俺の部屋にしまってあるんだ。リカがもらったメモと同じ筆跡に同じイニシャルのサインだと思う」
「じゃあ…」リカは少し考えるように顎に手を当てた。「加藤先生に連絡を取る前に、一度、そのメモを見せてもらえる? 」
俺は強く頷いた。
「ああ。もちろんだ。と、言っても…内容が…正直ただ俺がフラれただけかもしれないんだけど…写真撮って、すぐに送るよ」
こうして俺たちは席を立った。ミサの秘密が詰まった二つのメモ。それが、それぞれどんな意味を持っているのか。ナイフとの関係は?なによりもミサの行方を探す手がかりになるのか。
リカの背中を見送りながら誰にも言えずにいる、あのナイフのことを考えていた。




