12.リカの思い出
呆然とする和真を見ながら、リカは記憶の糸をたぐり寄せた。
ミサと初めて同じクラスになったのは、小学校三年生の時だった。
「宮永リカと宮近ミサ」—名字が似ていた私たち。席は必然的に前後になった。
ミサは本当に可愛らしい子だった。小柄で、パッチリとした二重の大きな瞳。サラサラと揺れるストレートの長い髪は、リカにとって憧れだった。リカだって、二重で綺麗な瞳は自慢だったけれど、くせ毛と濃い眉がどうしてもコンプレックスだった。ミサの隣にいると、自分は少し野暮ったく見える気がした。
ミサの母親に初めて会ったのは、三年生の時の授業参観だったと思う。母親たちが並ぶ中、ミサの母親は一際小柄で若々しく、まるでミサの姉のように見えた。今思えば、本当にとても若い時にミサを産んだのだろう。リカは心の中で、「かわいい」と素直に思ったのを覚えている。そして、ミサと母親はいつも姉妹のように仲が良かった。
休み時間も放課後も、私たちはいつも二人でいた。リカは塾とピアノに通っていた為、習い事のある日はミサはひとりで図書館へ行っているみたいだった。習い事のない日はランドセルを一度家に置いて、リカが住む社宅の公園に集まった。
ミサは空想が好きな子だった。公園や社宅の非常階段公園の生け垣の影、様々な空想や暗号を考えては、二人で夢中になって遊んだ。
しかし、ミサは五年生になると、印象がガラリと変わった。
一気に背が伸びて、まるで別人のように大人びた印象になった。長かったストレートの髪は、ショートカットに。女の子らしいワンピースから、ボーイッシュな服を選ぶようになった。どちらも似合っていたけれど、筆記用具やハンカチなどの小物は、相変わらず可愛いデザインを使用していたからか、なんとなくちぐはぐな違和感を感じた。
リカは高学年になると中学受験のため、塾の日が増え放課後はほとんど遊べなくなった。そしてミサは、丘の上の公園で和真と二人で遊ぶようになっていた。




