#27:救出
新条先輩&暁先生の救出です。
主人公はまぁ、いつもみたいな感じですが……
聞けば聞くほどこいつが外道だってわかる。
「そこの少年、ライリーに気に入られているようだが気に食わんな。貴様から倒してやろう」
そう言うと、彼は詠唱をした後俺に向けて魔法を放ってきた。『ファイヤーボール』、まぁ王道な魔法だって、本当に俺のほうに飛んでくる
「『シールド』」
「おや、ライリーどうして防ぐんだい?僕と君の将来にそのガキはいらないと思うんだが?」
男はそういうと、俺のほうをあざ笑うように見てきた。完全に見下されているな。とは言えこのまま、俺がむきになって突っ込んだらやられてしまうのは明白だ。
「ふざけないで」
突然ライリーがそう言った。普段の明るくて元気な彼女の声とは思えないほどの低い声だった。
「何?」
「私の将来を勝手に決めないで!私はカケル君と一緒に生きるって決めてるんだから!」
ライリーはそう叫ぶと、一瞬で男を剣で気絶させた。あっという間に決着がついたことで俺たちは呆然としてしまっていた。
ライリーが2人の拘束を解くと、二人は涙を流していた。そして、新条先輩が俺に抱き着いてきた。ライリーは俺たちのそんな様子を見て、むっとした表情を浮かべた後すぐに王様のほうへと歩いて行った。
「ちょっ、新条先輩!?」
「こ、怖かった。私、これからどうなるんだろうって。でも佐山君が助けに来てくれた」
「俺は何もしてないですけどね。ライリーが異変を察知したから、たまたま来ただけで」
「それでも佐山君はついて来たんでしょ?結果論かもしれないけど、ありがとう」
そう言うと、先輩は俺の体から腕を放した。先生も大変な思いをしただろうに、それでも涙を払って笑顔を見せた。
「ライリー、戻ってきてくれたのか」
「私は王国の剣になるつもりはありません。私は彼の剣です。しかし、この世界の人に恩はありますし、魔王の討伐はします。それ以上はお互い干渉しないという条件で」
私は若干の脅しを交えながら、そう言った。王様を焦った表情を浮かべながら、私の条件をのんでいた。そして、権力をなくすために第2王子に王位を譲れという条件を付けた。第2王子は市民との距離が近く、市民思いの人で、今の王は彼をとても嫌っている。正式にはすぐにとはいかないけど、実際には今日から変わるようにさせた。
「あとは魔王討伐ね」
以前倒した時よりも強くなっている魔王。そんな奴と戦うのかと思い、私はため息を吐いた。
「これからどうしましょうか?」
しばらくして、新条先輩が俺にそう聞いてきた。彼女に魔王討伐についての話をした。新条先輩と暁先生の二人も魔王討伐を手伝ってくれるとのことだった。
「とりあえず、魔王が復活するまでの間はカケル君とデートしたいです!」
「ライリーはそればっかね。デートはさせないけど、みんなで王都観光しない?」
「お姉さんも行ってみたいわぁ」
胡桃の提案に恵令奈さんが同意した。影音は人混みがあまり好きじゃなく、興味を持っていなかった。エマはこういう場所に行くことがほぼ無かったようで、とても楽しみだと言っていた。一体彼女は今までどんな生活をしていたんだろうか。そういえば、みんながどんな生活してたのかってよく知らないなぁ。今度聞いてみようか。
そんなこんなで、俺たちは全員で王都観光をすることにした。城を出た後、色々な店を見て回った。武器屋とかアイテム屋も勿論あったのだが、以外にも衣服屋なども数多く存在しており、普通に生きていたら一生切ることはなかったであろう服に新条先輩や胡桃の目が輝いていた。
幸いなことにライリーの『アイテムボックス』があるため、俺は胡桃の荷物持ちという大役から逃れることができた。




