#26:拘束•王城突撃
お久しぶりです。
召喚された2人。そして、翔たちは?
「うむ、〈勇者〉というのは神から与えられし特別な力を持った人のことじゃ」
「それで、それはどのようなために?」
暁先生は、声を若干鋭くしながら王様に言った。
「魔族を統べる王、〈魔王〉。つい最近までおった勇者がそれを討伐したのじゃ。本来であれば、次に復活するのもかなり先になるだろう。だが、何故かその魔王が復活する予兆があるったのじゃ。そこで、おぬしらには魔王を討伐してほしいのだ」
「私たちにメリットはないですよね?」
暁先生がそう言った。王様は少し驚いたような表情を浮かべていたが、やがて
「一生遊んで暮らせる、土地とお金を支給しよう」
「結構です。私たちは元の世界に帰りたいと思っているので」
「ふむ、ではその力が褒美ということだろう」
ひどい話です。あなた方は、私たちに何も払えるものはない。しかし、私たちに何のメリットもない。しかし、先生も熱くなってしまっています。どうすればいいでしょうか。そう思っているとついに、王様が切れた。
「もうよい。〈聖女〉だからと丁重に扱っておったが、もう我慢ならん。そいつらを捕えるのじゃ」
「なっ!?」
兵士たちが近づいてくる。しかし、私たちは召喚直後であり、武器などはもっていない。あっという間に、私たちは兵士に拘束されてしまった。
「魔王の復活まではまだ時間がある。それでまに、しっかりと躾けて私の者にしましょう」
兵士の横から、一人の男の人が出てきて私たちの前に出るとそう言った。私は彼の見定められるような視線に、恐怖を感じた。
「そうじゃな。勇者の手綱を握っておくことは大事じゃ。その役目はおぬしに任せよう」
「光栄です。行くぞ、お前たちこいつらを私の部屋に連れてくるんだ」
このままだと、私たちはこの人に……先生も抵抗しているようだけど、拘束具が外れる気配はない。王子の後に続いて、兵士たちが私たちを無理やり連れて歩く。王子様が王の間から出ようと扉に手をかけようとした時でした。突然、扉が開いたのは。
あれから俺たちは、すぐに王城に向かった。姿を隠した状態で、王都まで『テレポート』を使用した。すぐに来た理由はいくつかある。すべてライリーが感じ取ったものであり、本当はどうか定かではないのだが、本人曰くすべて正しいのだと。
話を戻すと、魔王復活の兆しがあったこと。ライリーの村にたびたび衛兵を送り込んでいて、村の人が迷惑していること。それから勇者召喚があったことらしい。
「そもそも、勇者召喚は禁忌とされていることだからねー。私が王国に従わないから都合のいい駒を手に入れようとしたんじゃないかな?ま、まだ私の捜索は続けるみたいだけどね」
ライリーは、苦笑しながらそう言った。いつの間にか、彼女に俺は手を握られていた。そして、その力が突然強くなった。
「だから、ここに来たのはすべて終わらせるため。魔王を完全に倒して、村の人たちを守るため。そのための第一歩なの」
「全く、いいのかよ?俺で。力にはなれないぞ」
俺は皮肉を交えて彼女に言った。
「知ってる。でもね、カケル君という存在が私にとってのすべて。一緒にいるだけで安心して戦える。だから、ね……?」
「お二人さーん?いい雰囲気のところ悪いけど、もう王の間まで来たわよ」
「ふえっ!?」
ライリーが滅茶苦茶驚いていた。ライリーが事前に居場所を教えていたから、全員が王のままでの生き方はわかっていた。ライリーの隠蔽魔法だけでは、万が一にも見つかる可能性はあったが、影音の闇に隠れるという別世界の力を使うことで、探知に引っかからず簡単に王の魔の目の前についた。
「ドアも素通りできるとかチートかよ」
「けど、ここは思いっきり開けたほうがいいよね?」
「まぁ、任せるわ」
「殴りこみに行くんだったら、それでもいいとお姉さん思うけど。……ってありゃりゃ聞いてない」
恵令奈さんが、ライリーの方を見てあきれたようにそう言った。ライリーは、思いっきり扉を開けた。すると、誰かが扉にぶつかったのか、思いっきり後ろに倒れた。
「何事じゃ!?」
如何にも王様って感じの人が、叫ぶ。しかし、俺はそんなことには目も行かなかった。目の前に倒れた人物の後ろに、拘束具をつけられた新条先輩と暁先生がいた。俺は一瞬固まった。
「なっ!?新条先輩に暁先生!?」
胡桃が珍しく大声で叫んだ。すると、倒れていた人物が立ち上がり、俺たちのほうを見た。
「おや、ライリー。僕の結婚の申し込みに応じに来てくれたのか?」
「んなわけないでしょ。私には彼氏がいるんですからね」
ライリーはあっかんべとやると、俺に肩を寄せてきた。すると、その人物は俺のほうを見て、そして睨んできた。
「ふむ、そんな男よりも僕と結婚しましょう。あなたもそのほうが幸せになれますよ?」
「嫌よ。というか、その人たちに酷いことをするな!」
「その人たち?」
王子は首をかしげると、後ろを向き新条先輩たちのことを見る。すると、何か合点がいったのか彼女たちの元まで歩き、こちらに振り返った。
「異世界から召喚したんですよ。勇者を」
「だったら、その拘束は何?」
「これは、彼女たちの趣味でしょう。びっくりしましたよ。召喚してすぐに、そんなことをいうものですから」
「なっ、違っ」
「『サイレント』」
何かを言おうとした、新条先輩は突然その口を閉じた。いや、閉じさせられた。おそらく、魔法か何かだろう。
「彼女たちを解放しなさい」
「無理ですね。彼女たちは、魔王討伐のための戦力となってもらうのですから」
彼はそう言うと、不敵に笑みを浮かべた。




