#28:王都
ちょっとだけほのぼの回。
次回からvs魔王の話になります。
ただ、異世界編をずっとやる予定はないので数話程度で終わる予定です。
「うわぁ、凄い綺麗な街だなぁ」
「本当に綺麗……」
「私たちの住む世界とはだいぶ違いますね」
「うんうん、これぞファンタジーって感じだよね?」
お城を出て、城下町に出た俺はそう言った。胡桃と新条先輩、暁先生の地球組も同じ気持ちみたいだ。
「確かに、美しい街だと思いますよ」
「ええ、人々も活発だし世界が変わるだけでこんなに街も変わってくるのねぇ」
「この街は私には眩しすぎる」
エマや恵令奈さんの二人は自身の故郷を想像しながらそう言っているのだろうか。影音の元々いた世界は確かに暗いって話だったけど、そんなに違うものだろうか。正直、彼女との距離が一番遠いので詳しい話を聞いたことがないから、分からないけど。
「おっ、勇者様じゃねえか」
「あ、こんにちはーおじさん」
俺たちが歩いていると、ライリーが屋台のおじさんに声を掛けられていた。彼女は勇者としてこの世界の人々に知れ渡っており、彼女自身もたくさんの人と交流がある。故に街を歩いていると、こうやって声をかけられるみたいだ。
彼女は屋台のおじさんから何かを受け取っていた。
「あ、カケル君も食べる?」
「何それ?」
「コボルドの串焼きだよ」
そう言って彼女は、一本俺に渡してきたのでそれを口に運んだ。というか、この味焼き鳥みたいだな。違うのは、肉の歯ごたえが強いということだろう。
「あー確かに、カケル君の世界の料理だとそれに近いかもねっ」
俺が焼き鳥みたいな感じだと言うと、ライリーはうんうんと頷きながらそう答えた。それに興味を持ったのか、胡桃が先ほどの屋台に買いに行っていた。そして、既に食べた俺とライリーの分を除く全員分を買ってきた。
「山本さん、私が払いましょうか?」
「大丈夫ですよ、先生。それより一本ずつあるのでどうぞ」
「ありがとうねぇ、胡桃ちゃん」
「ありがとうございます、胡桃さん」
「ありがとう……いただきます」
そう言って、彼女たちは一本ずつ取って食べ始めた。
「次はどこに行きたい?」
串焼きを全員が食べ終えた後、ライリーが俺に聞いてきた。
「……そうだなぁ」
正直言って色々なことをしてみたい気はする。商会とか宿屋とかドラゴンの住む火山とか、テンプレな場所はいっぱいある。けどやっぱり一番のテンプレは何と言っても、冒険者ギルドではないだろうか。ファンタジー世界の定番と言えるだろう。
「えー行かなくてよくない?」
「影音はこのロマンが分からないのか?」
「人が多いところ行きたくないし。それにギルドとかむさ苦しそう」
「んーそんなことはないと思うけどね。まぁ、でもとりあえず行くのは辞めとこっか」
「正直私も行ってみたかったんだけど」
「私もです。異世界物といったら冒険者ギルドだったのに」
胡桃と新条先輩の二人はライリーにそう言った。
「でも、それだとカケル君が新しい女の子連れてきちゃうかもしれないからね」
「あー確かにありえるかも」
「あはは。まぁ、だとしたら我慢したほうがいいかもしれませんね。ここの世界の人美人ばかりなので、あまり目移りしてほしくないですし」
3人でコソコソ何かを話した後、結局冒険者ギルドには行かないことになってしまった。美人な受付嬢とか、テンプレ展開を期待してたのになぁ。恵令奈さんとエマと影音は会話を聞いていたのに、俺だけ聞かせてもらえないってちょっとひどくないか?その後、俺たちはライリーの作った家へと『テレポート』した。用事があるからと言って急に家に帰ることになってしまった。




