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イケメン妖狐に憑かれて困っています  作者: 白紅魔
第二章

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 十月二十日、土曜日。雨天うてん

 私たちは咲倉の家に行くことになった。リトライとはまさにこのこと。


 音々ちゃんにLIMOでメッセージを送る。


『おはよー、御影みかげ公園で待ち合わせでいいかな?』

『おはようございます。いいですよ』

『じゃ、よろしくね』


 私と京は朝食と準備は既に済ませてあるので、あとは家から出るだけなのだが――。


「楪葉さん、行きますy――何ですか、その格好」


 京の手には錫杖しゃくじょうが握られており、まさかの白い袴姿はかますがただ。

 私たちはコスプレ会場に行くんじゃなくて、依頼主の家をはらいに行くんだけど。何か、間違ってない!?


「――見て分からないか? 君たちに『心細い』とか『心許ない』とか『不安』とか言われたから、俺もパワーアップしたんだ。叶もとくと俺を見るがいい」

「イタイです」


 ……ん?

 京の周りに白い光のような浮遊物が……。何だろう……。


「その白い光はなんですか。特別なエフェクトか何かですか?」

「おい。俺をアニメキャラみたいに言うんじゃない。俺の御霊みたまさまだ」

「御霊さま……?」

「俺に憑いてる神様の幽霊だ」

「ちょっとなに言ってるか、分からないです。あやかしに憑いてる幽霊? 私に憑いてるあやかしの、そのまたあやかしに憑いてる幽霊あやかし? ゲシュタルト崩壊しそう、というか脳がショートしそうです……」

「君たちが俺のことを心許ない、とかいうから小規模の神様を連れてき――痛っ、いてててて」

「ほら、小規模とか失礼発言するから神様の幽霊、怒ってますよ」

「そのようだな」

「つくづく楪葉さんって誰からも嫌われてますよね。行きますよ」


 外に出ると、両サイドに温かなぬくもりを感じた。今日は太陽が出ておらず、雨だからこのぬくもりの正体は気候の関係ではないだろう。

 私は傘をさしているのに、京はマイペースに傘をさしていない。しかも《《濡れてない》》。


「――水もしたたる良い男」

「雨水を超人的な能力でね返す悪い男の間違いでは?」

「まったく。君にはロマンの欠片かけらも無いな。独り言に介入してくんなよ」


 京は溜息をつく。

 京の独り言は京らしいといえばそれまでだが、現実的に考えるならかなり変わっている。


 彼が雨に濡れず、私にしか見えないとはいえ、こっちから見るとかなり不自然な絵なので、彼にも傘を差し出してあげた。


 すると彼は驚いた表情をしていた。


「別に楪葉さんに優しくしたいわけじゃありませんから。勘違いしないで下さい。ただ不自然なので。それより――このぬくもりって……」

「ああっ! 俺の御霊さまが……」

「あ、やっぱり?」


 なんとなく予想はしていた。このぬくもりの正体は御霊さまなんじゃないかって。でも、どのタイミングで何故私に憑いた?


かえってこい、御霊さま」

「そこはうやまって『お願いです、還ってきて下さい』では?」

「うるさいな」


 京曰く、私に御霊さまが憑いたところで無意味らしい。でも私は御霊さまに気に入られている。


 今のところ、京に2体、私に2体、御霊さまが憑いている。


 バランスが取れてて、丁度いいような気がするが……。


「オオンー、オオンッ……オオーン」


 泣き声が人間のそれじゃない。

 こいつ、前世は悪役令嬢でもなく、ゴリラでもなく、ウルフだったか……。狼の遠吠とおぼえによく似てる。


「ウルフの泣き真似してなくていいですから」

「俺の御霊さま…………オオーン」


 そんな掛け合いをしていたら、御影公園に着いてしまった。


 そこには水色のワンピース姿の可愛らしい音々ちゃんがいた。彼女はちゃんと傘をさしている。


「こんにちは、叶先輩と楪葉さん」

「可愛いけど……何その格好。彼氏とデートに行くわけじゃないんだよ? 楪葉さんといい、音々ちゃんといい……」


 似たようなことをさっき言った気がする。


「……これでどうでしょう……?」


 今度はフリルとリボンがついた、白いカーディガンを着だした。更にオシャレ感が増した気がする。

 音々ちゃんって異性にモテそうだな……これなら男子はイチコロだろう――じゃなくて! 私たちはこれからコスプレ会場でもなく、遊園地デートスポットでもなく、咲倉さんの家に行くんだって!


「更にオシャレ度増したから」

「逆になんで叶先輩はオシャレ、しないんですか?」

「だよな。叶はもっと見た目に気をつかうべきだ」

「……」


 分かってますよ、私が地味なことくらい。


 公園にいつまでも滞在してても何も進まないので、私たちは咲倉の家に向かって歩き出した。



 ***


 歩き始めてすぐのこと。

 音々ちゃんが唐突に衝撃発言をした。


「――叶先輩ってお亡くなりになられたんですか?」


 いきなり何てこと言うの!? 音々ちゃん。

 そんなわけ、ないでしょ。


「死んでないけど。勝手に殺さないで」

「だって……御霊さま」


 私の両サイドを指差す音々ちゃん。そっか。音々ちゃんは《《視える》》んだった。


「違う、藤白。こいつが俺の御霊さまを強引に奪ったんだ」

「ダメですよ、他人の御霊さまを強引に奪ったりしたら。叶先輩」

「違うよ、ぎぬだよ。楪葉さんの御霊さまに私、好かれたの」

「そんなことあるんですか!? 何があったんですか?」


 普通、御霊さまがあるじ以外の人間に憑くことはないらしい。そして、御霊さまに憑かれているのは大抵《《死んだ者》》らしい。つまり、私は死んでいるらしい。……いや、死んでないよっ!


「さっき楪葉さんが御霊さまのことを『小規模の神様』とか御霊さまに対して失礼な発言して――」

「――ああ、それで……」


 一度、音々は納得したような反応を示した。でも――。


「いや、それでも楪葉さんの御霊さまが叶先輩に乗り移るとかありえない話だと思いますよ!?」


 ……ありえないらしい。でもしょうがないじゃん、憑かれちゃったんだから。


「起きてしまったことはしょうがない。時間は過去には巻き戻せない」

「なんか正しいこと言ってやった感、ありますけど後々大変なことになりますよ?」

「大変なことって?」

「叶先輩が人間じゃなくなるとか叶先輩があやかしになるとか」


 どうも音々(いわ)く、おはらいしなくちゃいけない案件らしい。只事ただごとじゃないことが起きているのに私は平然としている。それを音々は不思議そうに見ている。


 いや、ちょっと待って!

 あやかしになるって――。


 京をさげすんだまなざしで一瞥いちべつする。


「なんだ、その目は?」


 ――京と《《同類》》になるってことじゃん!


 絶対イヤ!


 イヤイヤイヤ。


「叶、あやかしは悪いあやかしだけじゃないんだぞ。……ったく、俺をそんな目で見るなよ」

「あやかしになんて、絶対なりたくない! あやかしになったら、罪悪感でこの先生きていけない……!」

「おいおい。妖狐あやかしの前で言うことかよ」


 まあ今度、楪葉京の御霊さまが私から離れて元の持ち主へ還る儀式でもしよう。


 ――この話はここまでで。


 そんなことより、気づけば咲倉の家の前まで来ていた。


(あれ……? 以前来た時は体調悪くなったのに、今は全然苦しくない。なんで?)


「叶、大丈夫か?」

「はい」

「だろうな」


 彼は見透みすかしたように言う。


「音々ちゃんも大丈夫?」

「はい、大丈夫です!」


 音々も以前来た時は顔色悪くしてたのに、今日はピンピンだ。


 ――ん?


 音々の首周りを白いねずみう。


 なにその、ハツカネズミ?


「なにその、ハツカネズミ?」


 思っていたことが口をついて出た。すると、音々の顔は怒りの色に染まる。


「ハツカネズミじゃありません! 立派な神の使いです! 今日の為に連れてきました」

「その子が音々ちゃんの新しい契約者パートナーか」

「頷きたいですけど、白鼠は助っ人です。今日限りです」

「死なないで……」

「失礼」

「白鼠を扱えるとは……! お前、タダモノじゃないなっ!?」

「タダモノじゃないです、はい。……あ、言ってみたかっただけです」


 白鼠より、叶先輩と楪葉さんの扱いのほうが難しいよ!


 ――そう、音々は叫びたかった。


 白鼠のお陰で音々は無事、京の御霊さまのお陰で私も無事。

 いいんじゃない?



 ピーンポーン――。


 誰も出ない。


 誰も出なかったら、何も始まらない。


 ピーンポーン、ピーンポーン――。


 何度も押す。でも状況は変わらない。


「強行突破。強引に開けるしかないか――バチッ」


 京がびついた柵に触れた瞬間、はじかれた。


「いったっ!」


 ――痛がる京は無視する。


「叶先輩、あれ」


 私は音々が指す方向を見て、唖然あぜんとする。


 そこ――屋根には真っ黒で大きな蛇が鎮座ちんざしていたのだ。


 京が柵に触れると弾かれたのもこの蛇のせいで間違いないだろう。


 私の記憶が正しければ、この蛇はあやかしで名前は確か――


「――夜刀神やとのかみ


 京の声だった。


「夜刀神。何故お前がここにいる?」

「あの者に頼まれた」


 あの者……多分、切り裂き女のことだろう。いや、上位種かもしれない。


「とはいえ、あやかしの視える者二体と妖狐一体か……厄介やっかいだがここは通さない」


 何? あやかしってみんな妖狐とか視える者とか、固有名詞で呼んであげないの?

 あと二《《体》》、一《《体》》ってその言い方落ち着かないんですけど!!


 夜刀神が攻撃態勢に入り、京は私たちの前に立った。私や音々ちゃんに危害は加えない、というように左手でガードしている。カッコいい……。こういう所が憎めないんだよね。


 確か夜刀神ってかなり強いあやかしだった気がする。それを一人でやっつけるつもりなのだろうか。私たちも加勢してあげたいけど、何も出来ない。


「二人は下がれ」

「「分かりました」」


 私と音々ちゃんは生垣いけがきの裏に隠れる。でも漂っている瘴気しょうきの量は玄関前と変わらない。



 ***


 ――バチバチッ、バチバチバチッ。


 闘いの火花が散る、呪われた家――咲倉の家――の玄関前。


 白い雷が空から落ちる。それは目を開けられないほど、眩しいもので――。私は目を閉じた。


「妖狐。君は相変わらず強いな」

「お前こそ。昔から」


 京は夜刀神に向けて錫杖を鳴らす。そして、消えてくれ、と願う。


 悪いあやかしほど、錫杖とか式神とか御霊とかそういう神聖なモノを嫌う。けど、目の前の蛇はひるまない。

 ――違う。夜刀神は完全なる悪いあやかしではなく、《《悪いあやかしに命令された手下》》のような立ち位置なのだ。だから、効果が薄いのかもしれない。


「――人形ひとがたもあと一枚しか……」


 京が嘆く。


「――結界生成」


 さっき破った結界も呆気なく修復されてしまう。


「困ったな……」


 これじゃあ、いたちごっこだ。


 この家には『呪縛じゅばく』という術がかけられている。

 呪縛を解く方法はただ一つ。《《聖なる力で呪いを解く》》しかない。

 でも生憎あいにく京は聖なる力を持ち合わせていない。


 普通の人には視えない鎖。あやかしや視える者には視える鎖。それがこの家をしばりつけている。


 そもそもこの蛇をまず退かさないと呪縛くさりは解けない。


「――白霧しらぎり


 夜刀神が妖術を使い、彼の姿が視えなくなる。気づいた時には背後に回られていた。


「痛っ! うっ」


 蛇は容赦なく、狐に噛み付く。

 京の腕からは出血していて、綺麗な着物が汚れる。これを叶が見たら、一目散に駆け寄ってきて、手当てするだろう。でも、彼女はそばにいない。そもそも、こんな霧の中、お互いの姿を視認できるはずもない。


 妖蛇ようじゃに噛まれると噛まれた時に猛毒も体内に入ってくる。


 意識が毒のせいかぼんやりしてくる。


 いくら妖狐が強いからといって、これは少なからず痛手ダメージになっている。


 絶望的状況。どうする――?


「毒のせいで君は死ぬだろうな」

「俺は死なない。叶がいるから」


 まあこのくらいじゃ、京は死なないが。


 でもいつまで経っても、この家に立ち入れないのはせない。



 京は逃げた。右腕を押さえて。


「おい。妖狐。逃げるのは君らしくないぞ」


 京はそれに無視する。


 京は逃げ足が速い。夜刀神よりも格段に。

 一分もしないうちに叶と音々の元に到着。


「楪葉さん! その傷……! 痛々しいです、大丈夫ですか?」

「叶。琥珀糖持ってるか? それか羊羹ようかん

「戦闘に疲れて、和菓子が食べたくなったんですね。……でも今はダメですよ。咲倉の家に入ってからにしません?」

「今は和菓子がどうしても必要なんだ」


 いつになく真剣な目。

 それを見て、叶も目を見開く。


 なんで和菓子が必要なのかは知らない。でも渡さないと危険。そう叶は察した。


 ポケットから羊羹と琥珀糖を一つずつ取り出した。そして、京に渡した。


 でも、京はその場で食べようとはしない。


 また来た道を戻り、夜刀神の元へ。


 相変わらず、屋根の上に鎮座する蛇。


 やな奴だ。


「お。また戻ってくるとはな。手にしているのは和菓子か?」


 ポーン、と羊羹を投げる京。


「和菓子、一緒に食べないか?」


 シリアスな空気に一転、和やかな空気が流れ始める。


「君、とうとう毒の影響で頭がバグり始めたか……あわれだな」

「違う。これは俺を変えてくれた少女の影響なんだがな。頭の悪いお前には分からないだろうな」

「なんだと!?」


「炎雷――」


 術を唱えようとする夜刀神を京は妨害ぼうがいした。


「――和菓子を食べた俺は強い」


 そう、彼はちゃっかり琥珀糖を食べていたのだ。


「式神、あいつを囲いたまえ」

「……」


 無言で夜刀神にまとわりつく式神。もう逃げられない。


 抵抗出来なくなった彼の口の中に京は琥珀糖を放り込んだ。


「――浄化」


 経を唱え、更に《《最後の一枚》》の人形ひとがたを夜刀神の額につける。これで大丈夫なはずだ。 


 一時意識不明になった夜刀神だが、しばらくすると彼も意識を取り戻す。


 目を開けると爽やかな笑みをたたえた妖狐が自分を見下ろしていた。


「――りにするか? 琥珀糖にするか? それとも……みたらし団子でも食べるか?」


 激しい戦闘が終わった後とは思えない、わけの分からない事を京はのたまっている。

 それに呆気に取られた夜刀神は口をぽかん、と開けている。

 呪いをかれた今、彼に闘う意志も無い――のだが。


「……は?」


 それしか返す言葉が無い。


「――戦いで疲れただろ。俺と一緒に和菓子パーティーでもしようぜ」

「とうとう君は末期だ。話しかけないでくれ」

「俺、末期がんじゃないんだけど」


 ふぅ……。


 二人して息をく。


「――じゃ、練り切りもらうわ」


 夜刀神が練り切りに手を伸ばす。


「650円」

「金取んのかよ!?」


 彼は驚いているが、練り切りを口に含むと頬が思わずゆるんでいた。650円徴収(ちょうしゅう)されてもおかしくない……むしろお金を払いたくなる味。流石、叶の和菓子屋。


「美味え。これ、お店のだろ」

「そうだ、お店のだ」

「妖狐。いつの間に買いに行く隙があった」

「――貰ったんだよ」

「好きな女の子にか?」

「馬鹿。なわけ」

「その顔は、あやかしの女の子じゃなくて人間の女の子っぽいな。君にもとうとうその時期が来たか。聞かせてくれよ、妖狐の恋バナ」

「お前には二度と和菓子、与えてやんねえ」

「すまん」


 妖狐と妖蛇が和気藹々《わきあいあい》と和菓子パーティーを繰り広げていると、一帯いったいの瘴気が消えたことで女子二人があやかしの元へと駆け寄ってきた。



 ***


「――何やってるんですか? 楪葉さん、と夜刀神さん」

「見て分かんないか? 和菓子パーティーだよ」

「さっきまであんなに不穏な空気だったのに……命の危険もあったはずですよね?」

「命を賭けた闘いのあとは優雅なお茶会を、と言うだろ?」

「それどこの国のことわざですか」


 ――本当に良かった。京が無事で。


 でも、夜刀神を退治しても根本こんぽんは《《まだ》》解決していない。というか、何一つなにも解決していない。


 ――錆びついた柵に触れる。今度は弾かれなかった。


「……じゃ、僕はこのへんで」

「えっ? 夜刀神さん、帰っちゃうんですか?」

「帰るって?」

「いや、もう少し居て欲しかったなって」

「妖狐に好きな人が出来たらしい。だから、僕は帰っ――」

「――楪葉さんに好きな人!? 誰ですか、それ」

「私も……気になります…………」


「こうなるから、嫌だったんだよ……。夜刀神、覚えてろよ」


「――記憶剥奪」


 京の手の中から白い光がほとばしる。その光の中に夜刀神は吸い込まれていった。


「ああああ〜」


 そんな情けない声が聞こえたのも刹那。

 気づいた時には私たちの記憶も消滅していた。光が落ち着いてくると「夜刀神? 誰それ」状態。


 絶対、京が何かやったとしか思えない。


 こんなところで妖術を使うなんて勿体なさすぎる。


 でもそれだけ恥ずかしかったのかもしれない。



 ――柵を通り抜ける。

 インターホンを押しても反応が無いので、京が強引に家に足を踏み入れる。


 その後ろに私たちも続く。


 遂に玄関の扉を開けることに成功。


 朝食だろう、トーストの焼きげた匂いとウインナーの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。


 あれ? 腕時計に表示されている時刻は12時05分。夜刀神との闘いで随分、時が経ってしまった。


 ……なのに、朝?


 リビングを覗くと他愛のない話をしている咲倉の両親。咲倉母はフライパンを手に持っており、咲倉父はテレビで朝のニュース番組を見ていた。


 どうやら、咲倉は《《リビングには》》いないようだ。


 階段を上り、二階へ。


 咲倉の部屋であろう、部屋の扉にはネームカードがげられていた。


『SAKURA』という文字。文字の周りには花の模様が装飾されていた。


 女の子らしくて可愛らしい。


 ――ドアノブに手をかける。

 この動作だけで、尋常じんじょうじゃない異常さを感じた。


 《《当然、扉は開かなかった》》。


 また術を使わないといけないみたいだ――。


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