表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

834/839

博子の話を聞いてくれる弁護士先生。球が無くなりすぎて搾りかすですよと嘆く博子に笑う弁護士先生www

「あと、その他の話ありますかね。」

そう言いながら、博子はグラスの中身をぐびっと飲む。

なすの煮浸しと出しまきで少し胃が落ち着いてきたところで、弁護士先生も、

まだ聞く気満々という顔をしている。

「薬品会社の社長さんたちは、まだ二回目ですから。」

「山崎のウイスキー工場行って、西中島のお料理屋さんでおもてなしして。」

「うん。」

「次回、伏見の酒蔵行きましょうっていうふうになってるんですけど。」

「順調ですね。」

「まあ、これも他の座組で回してるやつなので、焼き直しではあるんです。」

博子は、少し苦笑いする。

「けど、その辺は丁寧にやっていきたいなと思います。」

「その辺は、さすがっすね。」

弁護士先生は素直に感心したように言う。

「焼き直しって言っても、お客さんからしたら初めてなわけですし。」

「そうなんですけどね。」

「博子さんの中では、ああこれ前もやったな、ってなるんでしょう。」

「なります。」

「でも、それをちゃんと新鮮に見せるのも仕事でしょうね。」

「そうなんですよ。」

ヒロコは軽く息を吐く。

「それがまた、地味にしんどいんです。」

そこで、話題は東京イキリ社長の方に移る。

「で、東京イキリ社長の方はですね。」

「最近、全然イキってこないんですけども。」

弁護士先生が思わず笑う。

「なんなんですか、その言い方。」

「いや、なんかだいぶ私になじんでくれてるみたいで。」

「なじむ。」

「お行儀よくしてくれてます。」

「社長をお行儀よくさせるキャバ嬢って、なかなかですね。」

「いや、そんなつもりはないんですけど。」

博子は少し笑いながら続ける。

「前回は、東京の社長たちに大阪の第三ビル付近をぐるぐる放し飼いさせてもらいまして。」

「放し飼いって言い方がまた。」「いや、あの辺の界隈を勝手に散歩させたわけですね。」

「それ、なかなか面白いじゃないですか。」

「そうなんです。」

「博子さんが全部ついて回らずに、行ってきてくださいって投げるんですね。」

「全部は無理ですから。」

博子は、少し肩をすくめる。

「で、北海道とか九州とか、いろんなところ見てきてはったらどうですかっていう話をしたら。」

「ほんまに札幌行ってきはったみたいで。」

「行動力ありますね。」

「そうなんですよ。」

「札幌の女の子たちの良さとか、観光の強さみたいなのを、結構分析してこられて。」

「それはそれでまた、アグレッシブですね、社長たち。」

「もうね。」

博子は笑う。

「六本木界隈に遊び飽きたみたいで。」

「はい。」

「私のところをハブにして、色々遊びに行ってくれてるみたいなんです。」

その言葉に、弁護士先生は少し大げさに頷く。

「博子さん、あれですね。」

「なんですか。」

「全国を股にかけて、本当に遊び回してますね。」

「そんなつもりはないんですけど。」

「いや、話だけ聞くとそうですよ。」

「勝手にそういう遊び方をしていただいてるだけです。」

博子は少し弁明するように言う。

「私も、無理なものは無理って言ってるんで。」

「そこは大事ですね。」

「で、結構まったりでさせてもらってるんです。」

「まったりで全国を股にかけるって、なかなか矛盾してますけどね。」

「確かに。」

二人で笑う。

「で、個別でも来るって言ってるんで。」

「ほう。」

「それは、丁寧に仕事のことも含めて、お返しできたらなと思ってるんですけど。」

「なるほど。」

「なんか、その辺のバランスが、そういう……。」

博子は少し言葉を探す。

「難しいんです。」

「でしょうね。」

「来てくれるのはありがたいけど、全部受けたら壊れるし。」

「うん。」

「でも、無理って言いすぎると次がないかもしれないし。」

「かといって、全部自分で抱えると他の女の子にも悪いし。」

「そこがまさに座組運営ですね。」

「ほんまに運営です。」

そんなふうに話しながら、二人は同伴の店を出て、店の方へ向かうのでございました。

道すがら、弁護士先生がぽつりと言う。

「でも、お客様に恵まれてるっていうのもありますよね。」

「それはあります。」

博子はすぐに頷く。

「本当にそれはあります。」

「話を聞いてると、皆さんそれぞれクセはあるけど、ちゃんと返してくれる人たちじゃないですか。」

「そうですね。」

「お手当もそうですし、次に繋げるところもそうですし。」

「そこはありがたいです。」

博子は、少し歩きながら考える。

「私の、言うたら雑な。」

「雑な?」

「丁寧にやってたのに、最近ちょっと扱い雑になってきてる感じもあるんですけど。」

「ありますか。」

「ありますよ。」

「でも、それでも来てくれてる。」

「そうなんです。」

「多分、玉の面白さで来てもらってると思うんです。」

「玉。」

「はい。」

「でも、玉がなくなるのが怖いっていうのは、めっちゃ言ってます。」

弁護士先生は、その言葉に少し笑う。

「まあ、そうちゃいます?」

「何がですか。」

「そら、こういう頻度でいろんな玉投げてたら、なくなってきますよ。」

「ですよね。」

「でも、なんかそこからまた捻り出すっていうところを、みんな楽しみにしてるんちゃいますかね。」

博子は、少しだけ嫌そうな顔をする。

「いや、それもね。」

「はい。」

「ほどほどにしてもらわんと、私も本当にしんどいんですよ。」

「でしょうね。」

「玉がない玉がない言いながら、毎回絞り出すの、普通に疲れますから。」

「でも、今日聞いてる限り、かなり絞り出してますよ。」

「絞りカスですよ、もう。」

「言い方。」

そんな話をしながら、二人は店の前に着く。

弁護士先生は、博子を少し見て言う。

「でも、僕はその絞り出してる感じも含めて、聞きに来てますから。」

「また変なこと言う。」

「変じゃないです。」

「ほんまに先生、そっちのニーズなんですね。」

「そっちのニーズです。」

博子は、少し笑いながら店の扉に手をかける。

「じゃあ、今日も絞りカスの話をもうちょっと聞いてください。」

「喜んで。」

そう言って、二人は店の中へ入っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ