東京イキリ社長達をお見送り後、女性陣は軽く雑談して解散する
一方、東京行きの社長たちと新大阪の改札口で別れた博子たち一行は、
そのまま少しだけ駅の端に寄って、帰りがてら雑談していた。
大きな声で反省会をするほどではない。
けれど、土曜の天満から日曜の焼肉まで、ひとまず一区切りついたので、
三人とも自然と足が少し遅くなる。
「いやー。」
アルカちゃんが、軽く肩を回しながら言う。
「今回もなんとかなったな。」
「なんとかなった。」
さきちゃんも頷く。
「でもほんまに。」
博子は、少し疲れた顔で笑う。
「もう玉ないで。」
「またまた。」
アルカちゃんがすぐに返す。
「毎回それ言うて、結局なんか出してくるやん。」
「いや、今回はほんまにない。」
「それも毎回聞いてる。」
さきちゃんも笑う。
「でも、今日の焼肉はよかったと思うで。」
「そうかな。」
「うん。北山まで行ってたら、たぶん私らも向こうも疲れてた。」
「それはある。」
博子は、そこで小さく頷く。
「毎度毎度来てもらってるけどさ。」
「うん。」
「私らが座組でバタバタしてる分、結構ライトなやつでやってるやん。」
「うん。」
「昨日も天満やし、今日は焼肉やし。」
「でも、それでそこそこ満足して帰ってもらってるから、悪くないんちゃう?」
さきちゃんがそう言うと、アルカちゃんも続ける。
「いやでもね。」
「ヒロコちゃんのまとめ方がうまいんよ。」
「まとめ方?」
「そう。」
「店とか場所そのものが超ド派手じゃなくても、前の第三ビルの話とか、北海道の話とか、来月の北山とか、全部ちゃんと線にして返すやん。」
「それはある。」
さきちゃんも頷く。
「ただ焼肉食べて終わりじゃなくて、店への戻し方とか、長く遊んでもらう話とか、
ちゃんと会話で意味つけてるから。」
「そうかな。」
「そうやで。」
アルカちゃんが少し真面目に言う。
「だからその辺は、私ら多めに見ると思う。」
「何を?」
「お手当とか、外遊びの濃さとか。」
「そうそう。」
さきちゃんも笑う。
「私ら全然文句言わんし。」
「ほんま?」
「少なくとも、今日は文句ない。」
「昨日も芋焼酎うまかったし。」
「里芋の揚げたやつ、私も普通に好きやった。」
「それはよかった。」
博子は、少しだけほっとする。
自分では、球が弱かったかな、ライトすぎたかな、と思うこともある。
でも、こうして一緒に動いてくれてる二人が、流れとして納得してくれてるなら、
それだけでかなり救われる。
「で、次やな。」
アルカちゃんが言う。
「北山、来月行くって話になったから、これは入れとこう。」
「うん。」
博子はすぐにスマホを見ながら頷く。
「来月の紅葉手前ぐらいで、北山ブリアンから植物園。」
「それは綺麗やな。」
「で、帰りにお茶か、軽くランチ。」
「その辺はまた調整やな。」
「そうやね。」
さきちゃんが少し笑う。
「来月までにまた球増やしとかなあかんな。」
「言わんといて。」
博子が少し顔をしかめる。
「ほんまに枯れてるんやから。」
「まあでも。」
アルカちゃんが言う。
「枯れてる枯れてる言いながら、こうやって回してるのが博子ちゃんやしな。」
「それ褒めてる?」
「褒めてる。」
「半分呆れてる。」
三人で笑う。
「私はまだ月曜日まであるから。」
博子は、少し現実に戻るように言う。
「今日はちょっと昼寝がてら帰るわ。」
「それがいい。」
「ほんま寝た方がいい。」
「明日もあるん?」
「ある。で、その後も麻雀の練習とか、なんやかんやある。」
「忙しすぎやろ。」
「自分でもそう思う。」
そう言いながらも、博子の顔はそこまで沈んではいない。
疲れてはいる。
でも、今回もなんとか回したという安堵がある。
東京の社長たちも満足して帰った。
来月の北山も決まった。
アルカちゃんとさきちゃんも文句なくついてきてくれている。
それだけで、今日は十分である。
「まあ、無理せずやってこうや。」
アルカちゃんが、最後にそう言う。
「ほんまそれ。」
さきちゃんも頷く。
「座組が増えてきたからこそ、潰れたら終わりやし。」
「うん。」
博子は、小さく息を吐いて頷く。
「無理せず、でも一個一個返していこう。」
そうまとめると、三人はそれぞれの帰る方向へゆるく歩き出すのでございました。
新大阪の人混みの中で、
土日の熱が少しずつ抜けていく。
でも、来月の北山、麻雀同伴、座組の次回。
また次の予定は、もう始まっている。
そんな日曜日の帰り道だった。




