金曜日、税理士先生たちと麻雀同伴。勝負時やと思っていたがやってみたら意外とうまく回る。景品の話などして形を整える
金曜日。麻雀同伴の日やった。
これがうまく回れば、月一回で回せる。
しかも、来月から残りの二人も入れて四人そろえば、トーナメント形式みたいなことまで
できるかもしれん。
そう考えると、博子としては今日はちょっと勝負の日かな、というふうに感じているのだった。
夕方、アルカちゃんと少し早めに落ち合って、先生たちを待つ。
まだ店に入る前やのに、もう二人とも頭の中では先のことを考えている。
「これがうまくいけば、トーナメントまで持っていけるからさ。」
博子が言うと、アルカちゃんもすぐに頷く。
「そうやねん。」
「言うたら四半期なんとかなるしな。」
「で、私たちも私たちでなんかあれしとく?」
「何を?」
「総当たり戦にして、で一番最後に勝った人に、なんか賞金か商品かプレゼントするとか。」
アルカちゃんが少し笑う。
「それ、いいかもね。」
「やろ。」「先生方は先生方で掛けてもろて。」
「うん。」
「私らは会費一万ぐらいで。」
「最後、現金の総取りにするのか、四万円分ぐらいの商品プレゼントにするか、ぐらいで。」
「ちょっとジャブ打ってみようかなって。」
「なるほどな。」
「あと、あれかな。」
博子は少し考える。
「先生たちのスピードかな。」
「結局、私らで言うたら、東南でダラダラ喋りながら二時間やけど。」
「男性ってやっぱ、打つの早いし、ご飯も食べるの早いやん。」
「それはある。」
「ひょっとしたら、東南西ぐらいまで打って。」
「で、雑談というか、次の座組の話含めてちょっと喋るとかくらいがちょうどええかもやし。」
「まあ、その辺はやってみてやな。」
「そうそう。」
そんなことをだらだら話しているうちに、税理士先生達が現れるの。
「お待たせ。」
「いえいえ。」「先生、そんなに汚くないところで、近いところ見つけてますんで。」
「お、ありがたい。」
そう言いながら、富国生命ビル近くの雀荘へ向かう。
ビルの中に入って、数フロアある中の一つへ上がると、たしかに思ったよりずっときれいである。
「意外ときれいやな。」
先生が素直にそう言うと、博子も頷く。
「やっぱ梅田は雀荘多いから、競争が激しいのかわかんないですけど。」
「綺麗なところ、ちょこちょこあるみたいですね。」
「なるほどな。」
「一番上が健康麻雀なんですよね?」
「そうです。」
「で、下の階が貸し卓。」
「じゃあ、たぶんクリーンなイメージでやってんちゃいますかね。」
「まあ、そうやろな。」
税理士先生も笑う。
「裏なんて、梅田界隈言い出したらきりないしな。」
そんなことを言いながら、卓について、牌を触り始める。
電動麻雀卓の音がして、牌がきれいに並んで出てくると、もうそれだけでちょっとテンションが上がる。
「じゃ、いきますか。」
「お願いします。」
そんな感じで、麻雀同伴が始まるのやった。
打ち出してすぐにわかるのは、やっぱり男性陣の打牌が結構早い、ということである。
昨日、女子四人で練習した時は、東南をダラダラ喋りながら打って二時間ぐらいかな、
という感覚やった。でも今日は違う。
牌の回りが早い。こっちがちょっと考えてる間に、もう次の流れが来る。
博子も、ちょいちょい切り間違いしそうになりながら、なんとか食らいついていく。
サキちゃんやカレンちゃんやったら確実にもたつくやろうな、というスピード感やけども、
それでもやってみると案外なんとかなる。
特にアルカちゃんは、やっぱり慣れているのか、男性陣のテンポにもあんまり物おじしない。
「いやいや、アルカちゃん強気やな。」
税理士先生が笑いながら言うと、アルカちゃんも笑い返す。
「勝つかどうかは別として、負けたくはないですね。」
そう言いながら、ポンもチーも迷いなく入れて、形を整えていく。
博子から見ても、アルカちゃんはやっぱりこういう勝負事になると、ちょっと気持ちが前に出る。
それがまた先生たちには面白く映るらしくて、卓の空気も悪くない。
そんな流れで、東南をきれいに打てたところで、一回カレーを食べながら小休憩に入る。
「おお、いいでいいで。」
税理士先生が、カレーをつつきながら言う。
「この感じやったら、なんか回せそうな気するよな。」
博子も、そこで少し安心したように頷く。
「そうですね。」
「正味なところ、先生たちの打牌が早かったです。」
「私ら、女子四人で昨日来たんですよ。」
「おお、やっぱり。」
「その時は、東南打ってダラダラ喋って二時間くらいかな、って感じやったんですけど。」
「この調子やったら、もう一回りできるかな、みたいな感じですよね。」
「まあ、そうやな。」
税理士先生も納得する。
「で、一応。」
博子はそこで、さっきアルカちゃんと話してた案を軽く出してみる。
「来月、もう一回ぐらい女子もちょっと練習して。」
「うん。」
「残りの二人も参加させれば、もう一卓借りて、総当たり戦ができるなと思ってて。」
「お、それええやん。」
すぐに食いつく。
「で、総当たりにして。」
「最終で、一位決定戦と四位決定戦とやって。」
「うん。」
「一位の人に、賞品みたいな形でなんか考えようかなと思ってるんです。」
「なるほどな。」
「それはそれで盛り上がるな。」
「男性と女性で分けるかどうかは考えもんですけどね。」
博子がそう言うと、税理士先生もすぐに現実的な話に乗ってくる。
「まあ、掛金の問題あるしな。」
「そうなんです。」
「女性陣は一万円ぐらいにして。」
「最後、一位にみんなで渡す、ぐらいのノリで考えてるんです。」
すると先生は、すぐにゴルフの感覚で理解する。
「確かにな。」
「ゴルフやったら、景品で十万仕事になったりするからな。」
「そこの一人頭のあれは、ちょっと考えるにしても。」
「分けてあげた方がいいかもしれんな。」
「ですね。」「掛金の問題でね。」
そんなことを言いながら、また後半戦に戻っていく。
麻雀そのものも、会話も、企画の話も、いい感じでぐるぐる回る。
ただ卓を囲むだけやなくて、この先どう持たせるかまで自然に話題に出る。
そこが今日の麻雀同伴のええところやな、と博子は思うのだった。
金曜日。
勝負の日やと思っていたけど、
今のところはちゃんと勝負になってる。
しかも、次につながる形で。
そんな、なかなかええ麻雀同伴の時間やった。




